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ロシアは煙のなかに… [音楽業界]

ソウル・アーツセンターのオペラハウスで、韓国国立オペラの新演出《ボリス・ゴドゥノフ》を見物して参りました。
http://www.nationalopera.org/ENG/Pages/Perf/Detail/Detail.aspx?idPerf=500390&genreid=88&year=2016
どっかでやった舞台をまるごと買って来て「新演出」で御座い、と仰る初台のなんちゃって新演出とは違って、演出家がちゃんと最初から全部作る、ホントに、ってか、まともな「新演出」でありまする。一説に拠れば、東アジア地域での引っ越し公演ではないこの作品の「新演出」は、なんとまあ岡村&小澤&二期会の日本語での上演以来とか。へええええ、まあ、東京ではゲルギエフ様が自分の手兵連れていくつものヴァージョンでやってるので、なんかいつもやってるみたいな気がしていたけどなぁ。

考えてみれば、民衆のパワーで就任の経緯がアヤシいと噂される皇帝を追いやってしまう、という次の大統領選挙真っ最中のソウルで上演するには余りにもぴったりな作品なんだけど、今回の上演はクリュイタンスやカラヤンでお馴染みのリムスキー=コルサコフ版がベースだったようで、改定初演版の革命シーンで終わってこの先の政治混乱を予見させる、というもんではありませんでした。無論、こんな政治状況になる遙か昔から決まってた上演ですから、たまたま、ってことですけど、こういうたまたまがとっても意味ありげに見えるんですよねぇ。

ま、それはそれ。で、今回、日本政府や一部マスメディア、ネット上のアベちゃん勝手連サポーターさんなどがまるで明日にも戦争だ、という空気醸し出し毎度ながらの失政隠し、滅茶苦茶法案審議目眩ましをする真っ最中に関空からソウルまで1時間ちょっと飛んで来た最大の理由は、演出でありまする。無論、アジア最強の韓国オペラ合唱パワー、世界を席巻する男声歌手人の層の厚さ、ゲルギエフやふたりのペトレンコに続くロシアが生んだ新しいスターオペラ指揮者コチャノフスキー、などなど、いろいろな理由はあるわけだが、やっぱり演出のステファノ・ポーダをきっちり眺める最高のチャンスだということ。カーテンコールで、指揮者とボリスの間にいる長髪のにーちゃんです。
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このイタリア人の演出家さん、所謂、ドイツの小さな劇場で「オペルンヴェルト」のすれっからしというか、ちょっと斜に構えすぎたというか、余りにもマニアックというか、まあとてもじゃないが日本のオペラ批評では考えられないような厚いバックグラウンドと豊富な知識と溢れる教養を前提とした方々がなんのかんの喜んだり貶したりするところで育ってきてる演出家とはちょっと違う。なにせ、今回のプロダクションでも、「演出、装置、衣装、照明、振り付け」となってる。つまり、舞台上で起きることをほぼ全てひとりで仕切っていて、指揮したり歌ったり踊ったりしてないだけ、って方。今時、こういう総合的な仕事を出来る若手演出家って、どれくらいいるのかしら。基本的に「舞台の美しさ」から始まる美術から出て来たラテン系というと、ポネルみたいな在り方のモダン版と思ってもそう間違いないかも。ともかく、頭でっかちで自意識過剰(だけど、議論する側からすればもう猛烈に議論しやすくネタ満載で楽しい)、というのではありません。

今回の《ボリス》、なによりも印象的なのは、黒を基調としたスタイリッシュな衣装(よく眺めると、それぞれの政治的な立ち位置を反映した舞台装置と関連した衣装になってます)で重苦しく暗い装置のロシアと、白を基調とし奇妙なほど明るいポーランドとの対比。とりわけ、ロシアが舞台となる間はずーっと漂っている煙が、装置の一部となっている。このオペラ劇場の上下左右に動く巨大な舞台をしっかり利用し、いくつもの巨大な箱が上がったり降りたり、上手下手に水平移動したりする中でステージが展開するのだけど、ロシアのシーンは常にうっすらと、あるいははっきりと煙ってます。その煙にいろいろな照明が当てられることで、登場人物のモノローグやら対話の動きの中で舞台全体が赤くなったり青くなったり、或いは白くなったりする。

そんな意図が極めてはっきりしているのは、修道院の青年が偽ドミトリーになる決意をする場面。歴史書記家さんが秘密を語るのを聞く間、若い修道士は上から煙を吹き出しながら降りてきたデッカい球体を引っ張って前後に動かし、部屋を煙で満ちあふれさせていく。ロシアの混迷がどんどん深まっていくのを象徴するような動き。なるほどねぇ、と思わされるだけではなく、視覚的にもとっても綺麗なんですわ。ともかく、煙に光を当てるのがとっても巧みな舞台です。

たた、ひとつ問題があって、この演出、煙ったいんです。比喩ではなく、文字通り、煙ったい。舞台の奥の方や袖、それどころか客席でも、咳をする人が絶えずいる、ってことになる。なんせ、幕間に明るくなった客席を眺めると、なんとなく煙ってるんだもんさ。ほれ。
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ま、そんなこんな、ポロネーズのシーンを含めた舞踏の振り付け(太極拳みたいなモダン舞踏の動き)ともかも含め、演出家の意図が隅々まできっちり透徹した舞台で、「演出家がしっかり仕事をするとはどういうことか」を眺めたい方は必見です。どこかとの共同制作でもないようだし、映像も収録していた感じはないので、これだけのプロダクションがあと週末2回でお釈迦になってしまうなんて、ホントに勿体ない。演出家がその場にいないと維持再現は難しそうな舞台だし。

さて、明日明後日、午後3時からソウル・アーツセンターで上演がありますので、お暇な方もそうで無い方も、是非ともソウルまでいらっしゃいな。失礼ながら、某ドイツの著名劇場日本公演に500ユーロ払うより、遙かに意味あります。これホント。

音楽祭復活への道(1):かつてのボランティアさんへの連絡事項 [ゆふいん音楽祭]

シリーズになるのか、「音楽祭復活への道」を始めましょうぞ。第1回は、2009年まで7月の最後の週末になるとゆふいん盆地にやってきてなんのかんの騒いだりお手伝いをして下さっていた日本全国津々浦々の元ボランティア・スタッフさんたちへの重要な連絡事項でありまする。ですから、ホントは「読者限定」なんだけど、ま、私設電子壁新聞だから勝手にいろんな方々が立ち読みするのはしょーがないわなぁ。そういう方々は、呆れて眺めて通り過ぎるよーに。

ええ、復活音楽祭、主催は「湯布院観光協会」と「音楽祭実行委員会」であります。で、前者の責任者はS.T氏で、後者はこところやのF.K氏であります。前実行委員長の加藤さんではありませんので、「どーなってるんですかぁ」などと加藤さんのところに電話してもダメですっ!ぶっちゃけ、状況を最も簡単に把握する方法は、ことことやに行ってF氏をつかまえることであります。なお、隣の美術館は閉館になり、今はこんなことになってます。おおお…
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F氏、普段はジャム作ったり仕込みで出歩いたりでお忙しい方なので、タダでダラダラ長居せず、ちゃんと珈琲飲んで待ってるよーに。←なんだか完全に町会レベルの連絡だなぁ

で、ホントに重要な連絡は以下。今回、庄屋が使えません。というか、昨年の震災で庄屋が倒壊しました。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16
その後、復旧工事は完了し、住居機能は回復しているそうです。が、その際に、かつての旅籠というか、集会所というか、湯治場長逗留宿としての機能を廃止したそうであります。まあ、考えてみれば天下の高級観光地ゆふいんにあんな場所が残っていたことそのものが不思議だったわけで、それはもう時代の流れとして仕方の無いことでありましょう。

てなわけで、ゆふいんにともかく行ってしまえば寝泊まりするところはある、という状況がなくなってしまったのでありますよ。

今回の復活音楽祭、まずは新体制でやってみるべーか、という実験でもあり、規模も恐らくは「音楽祭」と名打った夏のイベントとしては最も小さい。ですから、宿ひとつ提供して貰ってそこに演奏家がみんないて深夜まで酒席、という状況も難しそうです。「それじゃゆふいんじゃないじゃないかぁあああ」という声が挙がりそうなのは百も承知でありますが、やれることからやってみようということでありますので、お許しあれ。

結論。現時点では、今年は、実質、ボランティアの皆さんに集まっていただいていろいろやる、ということは出来そうもありませんです。無論、ゆふいんですから、直前になって「みんなきてくれぇ」となる可能性はあるとはいえ、今年はそういう感じにはならないとお考え下さいませ。だから、皆様、今年の音楽祭、関わりたい方はもう今から慌てて宿なんぞを適当に自分で押さえて下さい。寝るところはない、と思って下さいです。毎度ながら、動きの判る方が当日の会場に来てしまえば、看板立てだのチラシ撒きだの、やることはあるでしょう。それはそれでよろしくぅ。

今まではボランティア裏方で走りまわっていた皆様とすれば、ゆったりと夏の湯布院を過ごす良いチャンスだと思いましょうぞ。新実行委員長と話して言うわけではないんだけど、個人的に今のゆふいんで最も必要なボランティア人材は、韓国語と中国語の対応が出来る人だと思うんだけどなぁ。

アタッカQのアウトリーチ始まりました [弦楽四重奏]

昨日、大雨の中、アタッカQの関西アウトリーチ、始まりました。公式なレポートは日本室内楽振興財団機関誌「奏」の、来月のコンクール後に出て来る「コンクール纏め号」に掲載する予定で、随分と先のことになるし、ある意味での公式な報告書みたいなものになるので、ともかく今日明日にお伝え出来るようなことは、この無責任電子壁新聞に記してしまいます。後から「聴きたかったのにぃ」と恨まれるのもイヤだもんっ。

昨日は、大阪府内の某府立高校、音楽部も持つというちょっと特殊な学校に参上しました。
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なんせ、学内に250席くらいはありそうな立派なホールが備えられ、学内オケやらブラスバンドの練習をやるだけでなく、ちょっとした演奏会は出来るようになっている。流石にホールの写真はダメでしょうから、警備室横のポスターでお許しを。
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放課後の「校特別公開講座」ということで、少ないながらも親御さんだか生徒さんのおじーちゃんだか、明らかに一般の聴衆の方もいらしてました。どうやって入ったのか、良く判らないです。スイマセン。

なんせアタッカQ、今やニューヨークばかりかテキサスでも盛んにアウトリーチも行っているだけのことはあって、きっちり1時間という時間に古典からロマン派、20世紀初期、そしてアンコールにはかの某フランチャイズの手前大声では言えないアタッカの影のレパートリー、みんな大喜びのあの曲まで披露。あ、まだYouTubeにあるじゃないかぁ。こちら。
https://www.youtube.com/watch?v=9Rp4rLXbrDw
この編曲、やっぱり「♪てーこーくわぁ、とーてもーつーよぃい」のところ、第2ヴァイオリンとチェロが旋律を担当し、ファーストとヴィオラが兵隊共の歩みを強烈に刻む、ってとこがいちばんのミソかな。なんにせよ、これがライブで聴けるのは、おそらく今日だけなんじゃないかな(勿論、やらないかもしれませんし…)。こういうボランティア・イベントじゃない普通の演奏会では、いろんな問題があって、やれませんからね。

21世紀の弦楽四重奏超激戦区ニューヨークでバリバリでやってる若手連中がどういうスタンダードなのか、どういう関心なのか、そしてどういうアピールをするのか、とっても良く判るショーケースでありました。

本日の北野病院のアウトリーチ、相手が音楽の学生さんじゃなくて一般病棟の患者さんや関係者さんということで少しは手加減するかというと、どうもまるでそんなことはないみたい。音楽ファンの皆さん、特に「アメリカのクァルテットはなぁ…」と思ってらっしゃる方にこそ、是非とも聴いていただき、その手数の多さに呆れていただきたいでありますなぁ。なんせ、ラッヘンマンやるわけじゃないのに、いきなり弓2本もって登場しますから。これが今の、アメリカン・スタンダード。

本日午後3時から、大阪は北の北野病院です。どなたでもお聴きになれますので、どうぞいらっしゃいな。
http://www.kitano-hp.or.jp/access

[追記]

開演前の北野病院5階ホールにいます。なんと、あの曲、やるってしっかり書いてありますぅうう!
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♪てーこーくわぁ、とーてもぉ、つぅおいぃいいい!

アタッカQ大阪アウトリーチ [弦楽四重奏]

宣伝ですぅ。2011年、311&312大混乱後の日本列島で最初に行われた国際的音楽イベントとなった第7回大阪国際室内楽コンクール&フェスタの第1部門に参加、熱戦を勝ち抜きグランプリを獲得したアタッカQが、懐かしい大阪の地で来る5月に開催される第9回大会を盛りあげるために本日来阪いたします。

明日からは基本的にアウトリーチのみで、アウトリーチというイベントはその性格上世間に一般公表するものではない。ですから、まさかここに詳しく日程を記すわけにもいきません。ただ、木曜日までの大阪滞在中に一度、実質的に昼間に公開での演奏会と言えるステージも用意されております。多数の聴衆が押し掛けられても困る場所なので、もしも状況がオープンにしても構わないと判断された場合には、月曜夜には当電子壁新聞でも場所と時間をお伝えします。(後述:下の[追記]参照)

ま、それよりも、是非とも聴きたいという方は、名古屋東京での演奏会の後にまた大阪に戻り、25日火曜日に大阪倶楽部での演奏会がありますので、そちらにどうぞ。
http://www.kojimacm.com/digest/170425/170425.html
会場も興味深いところですし。それぞれのメンバーがそれなりに生活も出来てきて、若手から中堅に向けての入口に立って、この秋からは大学レジデンシィも始まるアタッカQ。どんな音になってるか、大阪の皆さん、ご期待下さいませ。

なお、ジョン・アダムスの第2弦楽四重奏曲日本初演となる鶴見での演奏会は完売とのことです。東京のファンの皆様、スイマセン。この曲も録音はあるけど、今回は演奏はなしなのがちょっと残念。映像でお楽しみあれ。

以上、なんかちょっと情報が半端だけど、アタッカQ大阪訪問のご案内でありました。

[追記]

どうやらアウトリーチ先がホームページでイベントを一般にオープンにしているようなので、記します。以下のPDFファイル参照。火曜日、大阪北野病院です。場所柄、あくまでも「患者さんが優先」という状況を配慮の上で、ご来場お願いします。一般公開はここだけですけど、敢えて「皆さん、いらっしゃいませ」とは言いません。悪しからず。とはいえ、関西でアウトリーチの勉強などをなさってる方は、アタッカのアウトリーチ・プログラムは勉強になりますからねぇ。
149079132820170418_concert.pdf

香港フィル演奏の新作について [現代音楽]

どういう訳か知りませんが、久しぶりの日本公演を大阪はザ・シンフォニーホールでのみ開催する香港フィル、いよいよ公演は来週火曜日と迫って参りましたです。
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http://www.symphonyhall.jp/?post_type=schedule&p=7338

NYPの次のシェフに決まり、今や飛ぶ鳥落とす勢いのヤープがポディウムに立つとなれば、先物買いのマニアさんなら「なんで東京でやらんのじゃ」と怒り出す勢いでありましょうねぇ。

さてもこの公演、殆どの方には関心がないだろーけど、もうひとつ、大きなウリがありまする。それ即ち、最初に演奏される若き香港ベースでどうやら半分はイギリスに居るらしい作曲家、ファン・ラムの管弦楽曲であります。

この曲、ヤープと香港フィルのこの数年の世界ツアーでは盛んに演奏されているようで、この類いの「海外ツアー向けに書かれた香港を紹介する楽しい序曲」かなんかだと思っちゃいそうなんだけど、ところがどっこい、かなりガリガリの「現代曲」でありまする。諸般の事情でこの公演の広報関係のお手伝いをすることになり、録音を聴いたりすることもあったわけですが、へえ、というくらい面白い曲です。強いて言えば、「五」という数に拘った音楽で、五音音階の今風な展開を大真面目で考えている。5つの強奏の間に繊細な弱音部分が挟まれる、って感じかな、聴いた印象は。

所謂「何をやってるかまるで判らないゲンダイオンガク」ではありませんし、かといって中国っぽいメロディいーひゃらぴー、ってお手軽なもんでもありません。なかなか良いバランスだな、って曲でありまする。

お暇な方は、是非とも来週火曜日にシンフォニーホールにいらっしゃいな。以下、これはオープンになっているソースなんで、作曲家自身の解説と、音が聴けるサイトを貼り付けておきます。お聴きあれ。
https://soundcloud.com/lamfung/fung-lam-quintessence

The Chinese title of the work has two layers of meaning. It literally means ‘contain’, which refers to something of positive potential. The deeper meaning relates to the concept of the Five Aggregates in Buddhism, namely form, sensation, perception, mental formations and consciousness, which are the core aspects shared by sentient beings of all shapes and forms.

The English title corresponds to a similar concept in ancient Greek philosophy. Quintessence is the fifth and the highest essence after the four elements of earth, air, fire and water, and thought to be the magical substance of gods and latent in all living things.

This concept, with its lively and positive character, served perfectly as the starting point of this work, written in celebration of HK Phil’s 40th anniversary. The composition consists of a series of short and contrasting sections which share the same handful of distinctive core musical elements, the most significant of which being the zigzag shaped melodic line, signifying the journey towards one’s goals.

[速報]ゆふいん音楽祭2017夏開催決定! [ゆふいん音楽祭]

速報です。「ゆふいん音楽祭2017夏」の開催が決定しました。以下、現時点で発表出来る事実関係のみを記します。

会場:大分県由布市内
参加者:玉井菜採(ヴァイオリン)、佐々木亮(ヴィオラ)、河野文昭(チェロ)、津田裕也(ピアノ)
主催:湯布院観光協会、ゆふいん音楽祭実行委員会

日程
7月29日(土):昼のコンサート
7月29日(土):夜のコンサート(ピアノ四重奏メインを予定)
7月30日(日):ガラコンサート風な長めの午後のコンサート

以上です。会場、チケット発売予定などの詳細は、決定次第随時当電子壁新聞、Facebookなどでアップします。公式情報は、湯布院観光協会のホームページにアップされていく予定ですので、ご覧あれ。現時点ではまだ情報はありません。
http://www.yufuin.gr.jp/

「キチ」のあるホール [音楽業界]

先週末と今日と、「キチのあるホール」に座っておりました。

去る土曜日は、沖縄県浦添市のてだこホール。この地図をご覧あれ。
てだこホール.pdf
浦添市といえば、本土でもいくらなんでも話題になってる、アメリカ海兵隊が海外に分遣隊として出している唯一のオスプレイの本拠地たる普天間基地のある宜野湾市に隣接してます。てだこホールがある浦添市のスポーツ芸術総合文化施設は、地図から判るように沖縄南部の丘陵地の上に開かれた普天間基地の隣、谷を越えてもうひとつ南の丘に広がってる。基地滑走路滑走路南西端の真下4キロ弱くらいで、ホールがあって、運動施設があって、その向こうの丘の頂上の浦添大公園というところは普天間基地を一望出来るスポットとして、普天間でなにか動きがあるとマスメディアが詰めかける場所となってる。
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この写真は、文化スポーツ施設複合公園の横を通って、那覇から普天間方面に向かう幹線国道の跨線橋の上から、普天間方面を眺めたもの。丘の上の四阿のようなところが、普天間基地覗きスポットのようであります。なんせ、沖縄戦では大激戦地となった辺りですから。

浦添市には西の海岸沿い、那覇から嘉手納を通って名護に向かう幹線道路がもうひとつ通っていて、その海側には海兵隊のキャッンプキンザーが広がっていて、実質上普天間基地の海上からの補給基地となっているわけで、ここもやっぱり基地の街。当然ながら、日本国政府は我らが税金をたっぷりと浦添市には落としていることでありましょう。その辺り、地元の方はよーくご存知でありましょうが、めんどーなんでここではいろいろ記しません。ともかく、どんな理由であれ、独立棟の大ホールと小ホール、管理施設を併設した冷房完備の市民集会室、広大な中庭に面したダンス演劇練習室、などがいくつも併設された、浦添カルチャーパークというもの凄く立派な公共施設が存在している。
http://www.city.urasoe.lg.jp/docs/2014110102566/
小ホールに向けて駐車場から降りていくところは、シーサーたちが守ってます。
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世間は北朝鮮がどうだなんだ、シリアへのミサイル攻撃だと大騒ぎだったけど、先月から日本海で韓国軍との合同演習を行っていた海兵隊部隊を乗せた強襲揚陸艦(所謂「ヘリ空母」でんな)「善人ディック」丸は前日にミサゴ君含む全ての部隊をキャンプキンザーと普天間に下ろし、普天間は訓練が終わって完全にお休み状態で全く静かなもの。上空には、8キロくらい北にある嘉手納のP-3やら空軍特殊部隊のMC-130がノンビリと舞っているくらい。
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下の写真、C-130が写ってるのも判らないでしょ。この数日後、アフガニスタンで米軍が世界最大の通常爆弾をMC-130から投下したとの報道がありましたが、なんだか嘉手納のこの部隊が使われたような気がするなぁ。
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通常の平日なら、普天間のシースターリオンやら最新型コブラ、はたまたミサゴ君が散々に頭の上を通過しているだろうけど、この日は練習室でミュージカルのリハーサルで大声立ててる若い役者さんたちの方が遥かに騒々しかったです。

この状況を眺めて、「へえ、基地のアプローチ真下とはいえ、案外、静かなもんだなぁ」と思っていいものやら、なんとも判らぬ。だけど、こんなスゴい施設がここにあるということそのものが、どういうことなんだろーなーと思わざるを得ないのは致し方ないところでありましたです。


んでもて、沖縄から戻って数日の本日、やくぺん先生が沖縄・韓国取材のテープ起こしをやりながら座っているのは、こんなところ。
大和シリウス.pdf
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大和駅周辺商店街の向こうを降下しているC-130は、311復興特別予算使って我らが海自が中古品で買い込んだ奴じゃなくて、何故か習志野空挺部隊で葛飾でもお馴染みの空自の奴です。アリオスの東を南から進入し、相模原補給所の上辺りでグルッと回って降りてきました。なんの用事で海軍基地に来たのやら。

ここがどこかといえば、沖縄に継ぐ日本で2番目に米軍基地に溢れる神奈川県は大和市に昨年秋にオープンした総合文化施設、大和シリウスの6階市民交流広場野外スペースでありまする。小田急と相鉄が交差する大和駅から、横浜方面に向け相鉄が地下を貫いている道の真上。アメリカ本土以外に展開するアメリカ海軍唯一の航空基地たる厚木基地の滑走路北端、東名大和トンネルとして知られる辺りまで1キロちょっとの辺り。こちらはアプローチ真下ではなく真横なんで、頭の上を直接かすめるのはヘリくらいなのが救いですが。

やくぺん先生的には、佃の縦長屋の横やら上やらを高度300メートルくらいでいつでも我が物顔で飛び回っている空母ロンやらヘリ空母善人ディックの艦載ヘリ海鷹くんの巣(上の地図の厚木基地滑走路右側のエプロンが、海鷹くんの巣です)まで1キロ程の場所、って認識でありまするな。今日はもう明日からのイースター休暇ということで、海鷹くんは横須賀に人を運ぶお仕事をしていたくらいで、訓練で大和シリウス上空をグルングルンまわることはなかったけど、まるで佃縦長屋の勉強部屋で海鷹くんが六本木から銀座、八丁堀を抜けて大川遡り天樹遊覧飛行に向かうのを眺めてるのと同じ気分になってきたぞ。ま、飛んでるのはもっと物騒な、空母ロンの超蜂くんたちなのが違うけどさ。
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いやぁ、「世界でいちばん騒々しい飛行機」と言われるだけのことはある、いかにも艦載機らしく、決して編隊着陸はせず、滑走路上空を通過しブレイクして一機づつ着陸していくのだけど、そんな着陸よりも離陸の騒々しさったらありゃしない。南風で新幹線真上を抜け湘南方面に離陸していくときったら、北に開けたシリウス6階屋上からは姿はまるで見えないのに、街全体がガード下になったみたいな猛烈な爆音っぷり。これじゃあ騒音訴訟も起きるだろーに。

本日、こんな場所にどうしていたかといえば、オープン前に見物させていただいたときには空母ロンが出航中で、超蜂くんたちの爆音がホールにどの程度響くのかが経験できなかったから。朝鮮半島で戦争が起ころうが、巨大地震が来ようが、5月までは原子炉内部掃除も含めた定例大修理中の無敵巨大空母ロン、まるで動く気配もなく、艦載機は厚木の塒に降りて、練習してるわけでありまする。とはいえ、残念ながらホールに座っているときにこの騒音を味わうことは出来ませんでした。可能性があるのは、この日。
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わお、我らがヤマト弦楽四重奏団の人気者が昼間に演奏会をやって下さいます。とはいえ、イースター休暇の真っ最中だから、超蜂くんたちは飛ばないだろーけどなぁ。

大和シリウスったら、なんでこんな立派な、と思うほどのピカピカの図書館、ホール、集会所、練習所など集めた複合文化施設。
http://yamato-bunka.jp/
やくぺん先生が座ってたのは、上のホームページの写真右手のテラスでありまする。地上1階にはこんなものも入り
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盛況でありましたとさ。

「キチ」のあるホール、どこも立派なもんだ、うん。まるで六ヶ所村の巨大文化施設みたいじゃわい。

基地外で 基地は吉だと 叫ぶ阿房

NJP昼定期はディープな若隠居音楽ファンのためにあるのじゃ! [音楽業界]

本日、新日本フィルハーモニー交響楽団の来シーズン内容発表記者会見が行われましたです。内容は、こちらをご覧あれ。PDFファイルをピラっと開いて下さいませな。
https://www.njp.or.jp/archives/4567

ええ、ご覧になってお判りのように、まあぶっちゃけ、「人口30万から50万人くらいの、自前のオペラ劇場をもっているくらいのドイツ地方都市のオーケストラ定期公演」って感じの演目ですね。基本、小規模ながらもトンデモな演出が次々出るような劇場がちゃんとあるから、演奏会形式オペラとかのイロモノはやりません、あくまでもシンフォニー・コンサートに徹してますよ、うちは、って感じ。

音楽監督の上岡氏が何を喋っているかなんぞは、あちこちのFacebookなどで出席なさっていた同業者さんがいろいろ書いてますから、そっちをご覧あれ。
https://www.facebook.com/yamadaharuo1964?fref=nf&pnref=story
https://www.facebook.com/kyosuke.hasegawa?fref=pb&hc_location=friends_tab&pnref=friends.all
あれ、Facebookって、記事そのものにリンク出来ないのか。ま、スクロールしてみてくださいな。

って、めんどーなことは他人に任せて、敢えて引き籠もり老人やくぺん先生が勝手なことを言えば、来シーズンのNJP定期、とうとうやってくれたなぁ、感が漂いますね。

ええ、昨今、こういう音楽団体のシーズン記者会見などでは、必ず新聞系なんぞの記者さんから「若い聴衆の開拓はどうなっているのですか?」という質問が出ます。そりゃね、ある意味で「この団体の財政状況はどうなってますか?」と並ぶ、どんな新人記者でもやれる定番質問ネタだし、そこでなんか出て来れば良い記事と褒められるようなものが書けるから、ま、それはそれで結構でありましょう。

だけど、ホントは、この裏には、誰も敢えて訊ねない大きな質問がある。「高齢化した聴衆はどうするですか?」ってのがそれ。

今、コンサートに客が来なくなっている、客が高齢化しているからだ、という議論は、全く正しい。で、若い聴衆を集めなければ、という危機感になるわけです。だけど、高齢化して定期演奏会に来られなくなった人達は家で寝てろというのか。それはないでしょ。

てなわけで、21世紀になって、どの主催者も音楽団体も、「私たちは他に先駆けて平日昼のコンサートをやって、沢山の聴衆を集めています」などと誇らしげに仰るようになった。実際、昼間の演奏会は呆れる程増えているし、最近では週末の昼は演奏会が目白押しで重なりまくってたいへん、でも平日夜はこの東京首都圏でもオケやオペラの演奏会がない、なんてことは珍しくなくなっている。

どうしてそうなっているかといえば、話は簡単で、この東京首都圏という世界でも珍妙な、敢えて似たところを探せばソウル首都圏くらいしか似たものがない人々の生き方にある。「都心」と言われる場所が20キロ圏内くらいに分散して存在し(上野、北千住、錦糸町、門前仲町、浅草、銀座…どれも世界の普通の国ならばそれぞれが独自の空港を持つくらいのひとつのシティです)、東京そのものがひとつの都市ではない。そのそれぞれに50キロ圏くらいの居住地域が広がっていて、更にその外に鉄道会社が建設開発した郊外都市が広がっている。

結果として、都心と呼ばれる場所のコンサートホールで夜に演奏会が終わると、かなり多くの人が帰宅が深夜前になったりする可能性がある。これじゃあ、若い頃はともかく、ご隠居になったらとてもじゃないけど出ていくわけにいかない。てなわけで、聴衆高齢化と共に昼間の演奏会がガンガンに増えているわけです。ま、猿にだって判る理由。

ところが、興味深いことに、「昼間のコンサート」になった途端に、主催者の皆さんが「昼間なんだから名曲コンサート」とほぼ自動的に思ってしまう傾向にあるんですな。

夜の演奏会はブルックナーの6番をやるけど昼間の演奏会は同じオケが同じ指揮者でメンデルスゾーンの《スコットランド》をやる、とか、夜の演奏会はリゲティの協奏曲だけど同じソリストが昼間の演奏会ではパガニーニを弾く、とか。ま、なんとなくそんなもんだろう、だって昼間だもん、って思ってしまう。

だけどさぁ、ちっとも「だって昼間だもん」じゃないんねん。平日夜のコンサートに来ていた聴衆は、歳を取ったからといってブルックナーはもう聴きたくないと思ってるわけじゃない。「ああこの指揮者、夜はブルックナーやるのかぁ、昼間はブラームスなのは残念だなぁ」と思ってる、かつて朝比奈一般参賀に率先して加わっていたような爺様だって、いっぱいいるわけですよ。

NJPさんは、この「ルビー」なるどういう意味かよー判らぬ題名を付けた「金曜午後2時&土曜午後2時」というシリーズを、定期3本柱のひとつに立てた。で、その演目たるや、尾高さんがウォルトンの交響曲第1番、上岡監督がレーガーの《ベックリンの音詩》、ジェイムス・ジャッドがロッシーニの《スタバート・マーテル》、カムがしべ2の前にサリネンの序曲、んでもてファレッタねーさんがバーバーの交響曲やってカーニスやって、最後はヤングおばさまがブルックナーの4番で締める。ハイドンやメンデルスゾーン《宗教改革》なんて普通の演目があると思えば、なんと指揮者は鈴木雅明!これって、もう堂々たる「夜の勝負定期」の演目&出演者でんがな。

こららの演目を眺めれば、多摩市の奥地に引っ込んでしまった元ヘビー・コンサートゴーアーさんであれ、水上で畑弄りながら次々と出て来るアーベントロートの新譜をAmazonで購入してるご隠居さんであれ、「金曜の昼なら、錦糸町まで行ってみるか」と思うでしょ。つまりこのラインナップ、関東圏全域のオールドファンに、月に1度、金曜日に東京に出てみましょうよ、と誘ってるわけであります。流石にオケ自身はそうは言っていないものの、実体は誰がみてもそう。

さああ、この実験、どう出るか?オケがホールを本拠地にしている団体じゃないとやれないかもしれないけど、どんなことになるか、他の団体も結果を横目で眺めてるんじゃないかしらね。

さても、この週末には今シーズンのルビー定期がありまして、なんとメイン演目は、ヒナステラのバレエ曲全曲であります!
https://www.njp.or.jp/archives/1041
もちろん、爺初心者のあたくしめも参上させていただきまする。

関東各地に散らばるかつて毎晩上野に通っていた爺様どもよ、月に1度、錦糸町に結集せよっ!

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