So-net無料ブログ作成
検索選択

ハーバード駅前築201年のオフィスビル [こしのくに音楽祭]

チャールズ・リバーを越えMITやハーバード大学に向かうボストン地下鉄Tレッドラインのハーバード駅を下車し地上に出ると、まあるいブックスタンドがありますね。一瞬、まるでイギリスのどっかの街にいるように錯覚するでしょうが、ここはマサチューセッツ州のケンブリッジ。ハーバード・スクエアと呼ばれる場所。道がグチャグチャに入り組んだ向こう側、JFK通りとブラットル通りに挟まれたタワーレコードなんぞが入る△ブロックの角地に、古いオフィスビルが建っています。古いといっても、綺麗に手入れされているし、かの森ビルが最初に建てた某M音楽事務所が入っている新橋の第2森ビルよりは新しく感じられるぞ。

このビルの3階の6畳ほどの一室に工房を構えるのが、マルコ・コッピアルディ氏。クレモナ生まれのヴァイオリン製作者です。http://www.violin-art.co.jp/products/COPPIARDIMarco.htm
スミソニアン博物館に13年間眠っていた故シモン・ゴールドベルクのグァルネリ・デル・ジェズ(主イエスのグァルネリ)を救い出し、再び現役として再生させる今回のプロジェクトでは、演奏者ニコラス・キッチン氏と共に最も重要な仕事を受け持つ楽器補修とメインテナンス担当者であります。古い楽器の複製製作専門家でもあり、鈴木秀美さんのチェロのコピーを造ったりもなさってます。といっても、贋作製作者ではありません。楽器修復のもうひとつ先を行く、古い楽器の研究者みたいなものですね。ちなみに、皇太子ご愛用のヴィオラも、若き日のマルコの製作だそうな。

「こしのくに音楽祭」の広報のため、マルコにヴィデオの前で喋って貰うのが昨日のお仕事。あんまり口達者ではない職人マルコだけど、こういう特別な楽器を前にすると饒舌です。ワシントンの国立国会図書館に納まるクライスラーの使用楽器と同じ木から造られている姉妹楽器である、グァルネリとしてはまだストラディヴァリウスの影響が強い頃の楽器である、状態は非常によろしい…等々。

ひとわたり喋り終え、隣の部屋の弓製作者さんの邪魔にならぬように外でお茶でも、と工房を出る。部屋の横のエレベーターがなんとも奇妙な五角形をしているぞ。
「以前は籠形のエレベーターだったんだ。そう、ヨーロッパのホテルなんかであるでしょ。この建物、1805年に建てられてるんだよ、エレベーターはあとから作り付けたわけだし。(マルコ)」

17世紀の楽器を日々手にし、過去の巨匠達がどんな風に木を貼り合わせていたか、どんなニスを使ったか、どんな工具で穴を穿っていたか、そんなことばかりを考えている職人にすれば、たかが200年前、ベートーヴェンが「春」やらを書いていた頃に新大陸で建てられたビルなど、古いという程のもんじゃあないんだろうなぁ。

かくて復活したグァルネリ・デル・ジュス「ヴィッタ男爵」、昨晩はニューイングランド音楽院ジョーダン・ホールで、ブリテン3番第3楽章のハイピッチを見事に響かせ始めました。わずか数日の弾き込みと手入れでここまで音が変わるかとビックリするほど。
楽器はやっぱり美術品じゃあない。鳴ってなんぼ。マルコもニックも連日の奮闘、ご苦労様。こっちも頑張らなきゃね。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

マルコが立山にやってきた(やくぺん先生うわの空 2006-07-02 11:16)

昨日7月1日午後、富山近代美術館会議室で、「こしのくに音楽祭」の緊急記者会見が開催されました。 楽器納入のために東京に滞在中のクレモナ生まれの楽器製作者マルコ・コンピアルエディさんを迎えて、9月に立山に13年ぶりに戻ってくる「バロン・ヴィッタ」の説明を地元メディアの前で行ったわけで…[続く]

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。