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MXテレビのセキュリティ感覚を疑う [音楽業界]

今、作文仕事しながら、民放地上波各社が本日の参議院予算委員会証人喚問についてどんな扱いをするかカチャカチャしてました。なんせねぇ、我が佃オフィス、先月にアナウンサーの顔が実物の3倍くらいに写る巨大モニターが入ったもんで、なんか新鮮で嬉しくてね。「イノセンス」の北端の場面と、森美術館が作った「東京水脈」と、タン・ドゥンの「ゴースト・オペラ」と、「クレージーキャッツ・デラックス」ばかり映してたんだけど。いやはや。

んで、カチャカチャやってたら、MXテレビが「ニューヨークフィルが港区の小学校で教育プログラム」なんてのをやってる。午後6時3分くらいからです。どういう放送時間なのか知らぬが、ヘッドラインに近くないかね。へえ、我らがヴィオレッタとか視られるかなぁ、知り合い映るかなぁ、なんて眺めてたわけですわ。

弦と菅のクィンテットくらいのアンサンブルで、教室で弾いて、その後に7、8人くらいの小グループになって、それぞれにひとりの奏者と通訳がしっかりついて、どうやら子供らとリズムを作っていくミニ・ワークショップ型でした。ま、どういうことをやってるのか、どんなやり方してるかは、とてもこの紹介内容では判らないけど、ま、それはそれ。いろんなやり方があるし、NYのやり方が東京港区の子供にそのまま使えるかはまるで判らない。アウトリーチとしての評価は実際に眺めてみないとなんともいえません。

問題はこの報道の仕方。「音楽を通じた教育プログラム実施の世界的見本」などとプレスリリースまんまをなぞったようなナレーションがついていて、子供らをテレビクルーがズラリと取り囲んでるところがバッチリ映ってる。誰が仕掛けたのやら、やっぱりNYフィルとなるとシティ・グループかしら、どこの広報会社が入ったのかしら…なんて考えたんだけど、ふと、真っ青になったです。

驚くなかれ、ウェブにそのニュースがまんまアップされてます。これです、って紹介すると、ますます危険を広めることになるわけだけど…ここまで堂々と上がっている以上、小生がどうこうしても仕方ない。あと千人がた視聴者が増えたところで、影響はあるまい。で、載っけます。これ。http://www.mxtv.co.jp/mxnews/news/200711156.html

さても、このフィルム、ご覧のように子供の顔を正面から撮るどころか、バッチリ真っ正面からアップであおるような視線で収録してる。クラリネット奏者と通訳さんを子供らが囲んでる中にカメラクルーが入り込んでる他にあり得ない構図。それどころか、最後は教室で子供を3人並べてインタビュー、どうでした、なんてマヌケなこと尋ねてる。

って、MXテレビ社内にはセキュリティ規定はないのかね!?

流石にどこの学校、とは言わなかったけど(ああああ、書いてあるうぅううううう…)、「この授業はあすも行われ」なんて、これまたアブナイことを喋ってる。←なんでアブナイか分からない方は、学校アウトリーチなんてもんに近付いてはいけません!

アウトリーチの広報は、極めて危険で、極めて微妙なことである、という基本を弁えぬ広報会社が入ったとしか思えぬ。NYフィルって、今、来てるんじゃろか。どうもそうとも思えない(来年2月に平壌公演を含むアジア・ツアーがある筈だから、このタイミングで来日はあり得ないだろう)。このイベント、なんなんだろーか?今眺めたものは現実ではない、締め切り迫るがアイデアありすぎで困ってる状態の生んだ幻なんじゃなかろーか、そーであってくれ、あれは幻であってくれ、MXテレビのためにも、幻影であれ。

テレビ、それも地上波ゴールデンアワーというのは、オソロシイほど不特定多数の人が眺めている媒体です。ブログ記事やら、雑誌記事やら、はたまた新聞記事と比べても、圧倒的に眺めている奴は多い。そんなこと、テレビのプロならいくらでも知ってるだろーに。MXテレビ、これじゃあ、敢えて暴言を吐けば、周囲に悪い人は誰もいない、周りの人はみんな知り合いの、地方のローカルニュースと同じセキュリティ感覚だよ。

不特定多数が接するメディアではアウトリーチの報道はしない--これを常識にしないと、いつかなにかとてつもない事件が起きて、アウトリーチそのものが一切やれなくなるぞ。こんな不穏な予想はしたくないけど、常に可能性として考えておかねばならないことである。誰か知り合いにMXテレビのディレクターがいたら、そう言ってやってくれ。お願いだ。

追記:こちらの方のブログが、今回のNYフィルのアウトリーチについて書かれています。http://blog.goo.ne.jp/lmp2006/敢えて、リンクを張りました、とか連絡しておりません。必要があればご連絡くださいな。


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コメント 5

アトムの子

このニュースわたしも見ていました。最初のうちは子供の後方から写していたのですが、途中から開き直ったようにばっちりと・・・。

以前、子供が参加したイベントの写真を広報で使おうとした事があり、顔は判別できないんですが念のため保護者に使用許可の確認をとったところ“服装でわかっちゃうから駄目”とNGだった経験があります。

どこもそうだと思いたくないんですが、テレビってこう言うことを簡単にやってしまうのでしょうかね??
by アトムの子 (2007-11-16 00:55) 

すみこ

ものすごくずれてるかもしれませんが、あの、子供の映像はTVには
もう出しちゃいけないんですか??TVで見てかわいかったから誘拐
したとかそういう事件があったんですか?子供に関するドキュメンタリーとか
もぼかすんでしょうか?それともアウトリーチ活動の撮影の場合だけ
の規制?フィクションだったら良いんでしょうね。
時々インターネットで日本のTVのニュースを見たりすると、そういえば
確かに学校のシーンとかぼかしてある様ですね。だとすると学校で面白い
試みがあったりするのを報道しようと思ったら、子供達がどんな表情で
活動してるかなんてもう映せないという事ですよね。
なんかへんてこな時代だなあ。関係ないけど学校で運動会なんかのかけっこに
順位をつけない事があるって本当ですか?もし本当だとしたら平等の完全な
履き違えだと思うけど。うーん、日本って不思議な国。
by すみこ (2007-11-16 02:10) 

Yakupen

すみこさま、この話は非常に複雑、ある意味、簡単です。まず、世界で一番こういうことにうるさいのは、NYシティです。正に今回、アウトリーチに来ている連中の本拠地です。そもそもアウトリーチのマスメディア取材など絶対に不可能です(小生も同行取材を断られたことがあります)。テレビで報道するなんて非常識極まりないことです。

どうしてかというと、簡単な話。子供がどこの学校に通っているかが特定されるのは、極めて危険なことだからです。冗談じゃなく、ホントに誘拐されるかもしれないし、ストーカーがつくかもしれません。実際に、南米などではそういうことはごく普通にあることですし。

日本では、東京などの場合、子供の親が自分の子供がどこに通っているかを知られるのを嫌がる傾向にあります。気にしない人もいるかもしれませんが、恐らく、この映像が出た小学校の場合も、既に昨晩から教員室に電話がかかってきていて、問題になってるでしょう。なんせお台場の学校、正に意識の高い新住民の集まりですからねぇ。
もしかしたら、事前に全て「撮ります、テレビに出します、良いですか」と先生と親にOKを取っている可能性もある。MXテレビは昔お台場に本拠地がありましたから、このニュースのプロデューサーの子供がこの学校の生徒で、きっちりした根回しが事前に出来ていたのかもしれない。もしもちゃんとそこまでやってれば、それは偉い。ホントに偉い。
だけど、テレビ局って、普通、そこまでやりません。

例えば、ラトルがベルリンフィルで子供に「春の祭典」を踊らせる映画などがありましたが、あれは映画まで作ることまでパッケージになったプロジェクトですから、子供らや学校にはその旨了解を取っているはずです。まあねぇ、すみこさんのご意見を拝見しても、ヨーロッパの感覚はまだノンビリしてるみたいですねぇ。子供を使って感動させる、というのは映画プロデューサーとしてみれば一番簡単で失敗のない方法だから、なかなか賢いパッケージの作り方だと思います。実際に、日本でも評判になりましたもんね。小生はああいう感動の作り方は大嫌いですけど、ま、それは個人的感想。

なんにせよ、「アウトリーチに音楽家が来て子供が喜んでる姿」というのは、テレビ屋さんやアウトリーチをした側にすれば、とっても嬉しい。不特定多数の観る人も、なんかちょっといい話、みたいに感じる。でも、残念ながら今の世の中、全ての人がそう思うわけではない。はっきりいっちゃえば、実際にそこから事件性のあることが起きたとき誰が責任取るのか。メディアのせいだ、で済ませられない。結果として、「もうアウトリーチということそのものを中止しよう」となってしまうのです。善意が、不用意な広報によって、全て徒になる可能性がある。

つまり、アウトリーチという活動は、現在の資本主義経済に不可欠な「広報」という作業に最も馴染まないのです。だって、不特定多数にアウトリーチを広報して実際に利益(ちょっといい話、というのではなく)になるのは、「私たちはこんなアウトリーチをしていますよ、だから支援してください」というアウトリーチを仕掛けた側だけで、アウトリーチをされる側には何の利益もない、リスクしかないのですから。
アウトリーチを仕掛ける団体も、資金提供者からお金を集めてきたりしてやってるわけで、そういう人たちにどんなことをやってるか知って貰う必要はあります。ですから、特定の人々に向けた報告書的な広報は不可欠です。また、今、「アウトリーチの質の評価をどうやるか」がアウトリーチ業界(?)最先端での一番大きな問題になってますから、その観点からも、どういうことがあったかが必要な人に伝わることは絶対に必要です。
でも、不特定多数の相手に情報として垂れ流すものではありません。

なんか長くなりました。最後に判りやすい例を挙げておきましょう。

自分が体が動けないヨボヨボの老人になって、老人ホームに暮らしているとします。そこに有名な音楽家や舞踏家がアウトリーチに来て、とっても嬉しかったと思ってください。さて、アウトリーチの間中まわりにメディアがいっぱいいて、眺めて嬉しいと感じている自分を被写体として一生懸命撮影していたら、それって、嬉しいでしょうか。
もの凄く不愉快な気持ちがする人がいても不思議じゃないでしょ。
by Yakupen (2007-11-16 11:00) 

Yakupen

蛇足のコメントを付けますと、テレビ局とすれば、ああいうアウトリーチを報道したいなら、以上のことを踏まえたテクニックを弄すべきなのです。

具体的には、「絶対に子供の顔を正面から撮らずに、子供が喜んでいる姿を視聴者に判らせる」というテクニックです。プロのテレビ屋さんならば、それくらいのことは出来ないはずがありません。小生らのような素人カメラマンでも、どうやって子供ら個々人の顔を特定できないようにしてその場の雰囲気を伝えるか、最低限の工夫をするものなんですから。200ショット撮影して使用可能なもんは3枚だけ、なんてのは普通です。テレビクルーはプロなんだから、もっとちゃんとした仕事が出来るでしょうし、ある意味、プロとしてのチャレンジでしょうしね。

つまりね、ホントのこといえば、あたしゃMXテレビクルーのしろーとさ加減にあきれて、怒ってるんですわ。プロならばもっとちゃんとプロらしい仕事をしろ、ということ。プロが素人臭い仕事をするのは、小生が最も忌み嫌うことです。何せ世の中には、音楽であれ写真であれ作文であれ、ある特定のことに限れば、プロよりももっと素晴らしい仕事をするアマチュアなんぞゴロゴロいるわけですから。
by Yakupen (2007-11-16 11:16) 

すみこ

とってもわかりやすい説明どうも有難うございました。
アウトリーチ自体は普段機会のない人達にとって素晴らしい出会い
にもなり得るし、全く興味もてずに通り過ぎるかもしれない。
当り前の事です。でもあの「春の祭典」にしても、自然なドキュメンタリー
を装ってどうしても美談としての演出が鼻につく。私も基本的に
ああいうのはじんましん出ますが、全くの素人の子供がどういう動き
をするのかというとこはとても面白かったです。
子供の映像に関してそれだけ社会的に神経質になるのが常識の世界で、
TVのカメラさんがそういうことを平気でやっちゃったというのは
確かにものすごいプロ意識の欠如ですね。TVのカメラマンというのは
業界に共通のお勉強をしないでなれちゃうんでしょうか?
by すみこ (2007-11-16 16:21) 

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