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卒業生たち [弦楽四重奏]

ネッカー河が貫く静かな街、ハイデルベルクに来ています。週末に、弦楽四重奏をフィーチャーした小さな音楽祭が行われていて、直接の目的はそこに参加しているアマリリスQにインタビューするため。

この街、フランクフルト空港から団体バスなら1時間くらいなんで、どうやら極東の放射性物質まみれの島国から夕方遅くに到着した観光団老若男女が、翌朝からのロマンチック街道観光の入口として眠い最初の晩を過ごす場所らしい。とはいえ、フランス系某駅前チェーンホテル近辺にはそういう方々をまるでみないのは、流石に雨模様で昼の短い観光シーズンオフということなのかしらね。市内も、金曜の晩だけど、いかにもドイツの小さな街らしく寂しく、俺たちにはブンデスリーグの他に楽しいことはないもんね、ってのがよーくわかる空気が流れてたし。

なんせ今、この街は劇場も改修中のよう。長い夜の時間を潰すのはもー、弦楽四重奏に行くくらいしかない…ってことなんかしら。ちなみにハイデルベルクの劇場、ドイツの細かい劇場まで事細かに日程が掲載されていて日本国オペラ聴衆の「いきたいなぁ、いいなぁ」心を煽る某神保町の無料配布クラシック音楽月刊情報誌の海外公演欄にもデータがない。ちょっと不思議。なんてったって、東フィルの定期会員の皆さんならば「我らが」と形容句を付けざるを得ないダン・エッティンガー君が陣取ってる。
http://www.musikalische-akademie.de/kuenstler.html
昨年暮れには「ラインの黄金」の新演出プレミアを出し、劇場再開には「ヴァルキューレ」を出す。で、今更言うまでも無い来年のヴァーグナー年には、「リング」サイクルを3回くらい敢行することになってる。なんか日本から滅茶苦茶来やすい場所なんだから、初台に溜まってるようなプチ富裕層がゴッソリ押しかけても良い気がするが、まあドイツのこの規模の劇場はヴィーンやミュンヘンとは違い、基本的にはローカル対応のみですから難しいのかな。初台に馴れた方は、こんな小さなところで、と思う筈ですよ。

さても、それはそれ。んで、この週末は朝から晩まで(正確には、昼から深夜まで)敢行される「ハイデルベルクの春音楽祭」、寒い曇り空の下のどこが春なんじゃ、という突っ込みはなしです(イースターの休暇中に今年のレジデンシィになってるエベーヌQが例のスーパージャズイベントなんかも含めた数日をやるのがメインらしい)。なによりも、顔ぶれが興味深い。なんせね、アマリリスQ、ヴォーチェQ、エベーヌQ、それにデンマークQ(どうやら世界中で「ダーニッシュQ」という英語表記を使っているようなので、日本にまかり間違って来るようなことがあったら、いかにも呼びそうな方々の顔を思い浮かべるに、ダーニッシュでいっちゃいそうな気がするけど)。そー、当電子壁新聞を長くご愛読の酔狂な暇人、若しくは業界関係者ならよーくお判り、みんな今世紀に入ってからのメイジャー・コンクールの卒業生ばかりなのよ。

だから、小生とすれば、大学院出たての若いプロになった奴らがどうなってるかを纏めて眺められる、貴重なチャンスなんですわ。エベーヌQが、ミュンヘンがまだミュンヘンらしかった頃の最後の優勝団体(以降、ポッペン時代のジェネラスな結果を出さぬとマズイという方針転換から、普通のコンクールに近くなってしまった)。
特に関心あるのはデンマークQ。前回のロンドンでヴォーチェQをまさかの2位に沈め、自力はありながらどーしてもメイジャー大会で勝てない、という不幸な巡り合わせを運命付けちゃったときの伏兵優勝団体。クロッパーがどーしてもピヒラー路線を許せなかった、と、嘘かホントか、まことしやかな噂が流れたあの大会の優勝者で、その後の活動もヨーロッパに限られて聴く機会がなかった連中。
そして、アマリリスとヴォーチェといえば、言わずと知れた去る6月のレッジョの勝者無しの不毛な蕩尽戦で正面激突した両巨頭。アマリリスは福島原発の呪いを遙かメルボルンの地で取り返したから良いものの、ヴォーチェはもうコンクールには踏ん切りを付け、数日前のパリで聴く限り、どうやら新路線を歩み始めたようで…。某TVUさん、連中、相変わらず粗っぽいこともあるけど、面白くなるのはこれからでっせ、諦めずに頑張ってね。ほれ、内田&エベーヌの演奏会後、お疲れ様、とみんなを待ってるとこ。
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そんなこんな、日本語文化圏での読者対象恐らくは2ダースくらいの訳の判らぬウルトラ業界話はこれくらいにして、そろそろ出かける準備をせねば。本日はネッカー河の文教地区にあるペタゴギック・ホッホシューレというところまでトコトコ路面電車で出かけ、昼から深夜まで。デンマークQがスカンジナヴィア楽士さん大会をやるのが目玉かな。

一部の人はご記憶であろー、彼らの先輩のミッケルたちが(パイゾQは無論お友達です。女性2人の相次ぐご出産と、デンマークの若き人間国宝天才ミッケルがやっぱり国立オペラオケの頭で忙しすぎて、弦楽四重奏は続けられないのが残念)、晴海の小学校で突然披露して子ども達を大喜びさせ、関係者の度肝を抜いたあの民俗音楽系フィドル即興が深夜のネッカー河畔で披露されるみたいです。

お暇な方はコンクール卒業生の集いに是非どーぞ。フランクフルトからシュトゥットガルトにかけてのこの辺り、日本の弦楽器関係者の方々、いーっぱい住んでらっしゃるでしょ。

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コメント 4

haydnphil

お久しぶりです。いつもお世話になっております。

エッティンガーの劇場はハイデルベルグじゃなくて、隣街のマンハイムです。市電でも30分くらいで行けるから、殆ど同じ街みたいなものですけど。

マンハイムは人口20万人程度ですけど、ミュンヘンやハンブルグ並のワーグナー協会があるんだそうです。バイロイトとのつながりも深くて、アダム・フィッシャーが2001年に急死したシノーポリの代役に抜擢されたのは、この劇場でGMDとしてリングをやっていたからです。

新制作の演出はロサンジェルスのリングを演出したアッヒム・フレイヤーですが、この劇場はスターが出ないから日本では注目されないのかもしれません。01-05年に何度も通いましたが、東洋人を見かけることは殆どありませんでした。ただ、ここから育ったスターはたくさんいて、マンハイムの契約歌手を卒業して、今ではウイーンやメトなどで引っ張りだこになってる人もいます。

劇場の建物は近代的ですが、組織はドイツの古いタイプのアンサンブル・レパートリー劇場です。
by haydnphil (2012-01-22 09:31) 

Yakupen

Haydnphil様

おお、訂正コメント、ありがとうございます。ホントだ、プログラムの広告みりゃあきらか、マンハイムじゃないの。アホじゃ。こういうバカを皆様が編集して下さることが、当電子壁新聞の命でありまする。

ここハイデルベルクは、なんと1950年代の「パルシファル」まだ持ってるみたいですねぇ。フレイヤーのあの着ぐるみリングみたいなもんも良いけど、そういう超レトロなものも見物してみたいですねぇ。

かえすがえす、情報、ありがとうございました。直すかどうか、ま、このコメント眺めていただければ良いんで、そのままにしておきます。アホを晒す、ということもありますし。

by Yakupen (2012-01-22 17:33) 

haydnphil

1950年代のパルジファルもマンハイムです。ハイデルベルグは常設のオペラ座は無いんじゃないかな。よくわかりませんが。

マンハイムのパルジファルは毎年2回、復活祭と精霊降誕祭の祭日にしかやりません。「これを観ないと春にならない」と思っている人が多いのか、あっという間にチケットが売切れてしまいます。

ちなみに電車で30分のシュトゥットガルトでは、クリングゾルが火炎放射器を振り回したり、クンドリーが自分の舌をナイフで切り取ったりする過激なパルジファルが見られます。ミュンヘンのコンヴィチュニー演出もあるし、イースターの時期ならいろいろと見比べることができますよ。
by haydnphil (2012-01-22 21:39) 

Yakupen

haydnphilさま

どーも、いろいろスイマセン。この地はちっちゃい劇場があって、今月は月初めに「アイーダ」。それから「カルメン」をやってるようです。ま、どんなものじゃろーねぇ。

シュトゥットガルトの「パルシファル」は見物しました。ま、ゲイの方は大喜びでしょうねぇ。ビオイト、ホントに男の裸好きだなぁ。

日曜日のドイツの街はホントにどーしよーもないですね。明日、フランクフルトから東京に戻りますが、今、夕方5時で仕事はおわったのだけど、なーんにもあいてない。駅のスーパーしかないです。

by Yakupen (2012-01-23 01:04) 

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