So-net無料ブログ作成
検索選択

うたのにちようび [音楽業界]

3週間を越えるツアーの最後は、ミュンヘンARDコンクール声楽部門本選の見物となりました。うらりうらりと秋の初めの日曜日の午後、朝夕は薄手のコートすら必要に感じるバイエルン地方だけど、流石に昼間はまだ夏の名残。ミュンヘン厄偏庵の東には、郊外住宅地の間に公園ともスポーツ施設とも空き地ともつかぬ空間も広がっていて、草サッカーやったり、犬連れて歩いたり、なーんにもしてなかったり、善良なるミュンヘン市民が休日を過ごしてます。来週になるとオクトーバーフェストの狂気が始まる。どうも話を聞いていると、深夜まで外で酒飲んで騒いだりして良いけど特にきっちりした休日というわけでもなく、まあ、日本での花見の時期に近いみたい。

んで、歌の本選はバイエルン放送響の本拠地、ヘラクレスザール。世界のメイン演奏会場でも、最も特徴的な場所のひとつになっちゃいましたね。だって、ホントに宮廷劇場をそのまま使ってる(多分、そのまま、じゃないんだろうが、感じはそのままです)、今風のとんがった建築家が奇抜な設計をしたガラス行灯の対極。領主様のお城の一部のでっかい広いボールルームみたいなところ。これをもって「シューボックスタイプ」とかいわれても、単に細長い広い場所があっただけじゃないの、と言いかえされたらなんも反論できぬ、って感じです。会場までのアプローチももの凄く不合理で、休日の市民や世界からの観光客が溢れかえる表の庭園部分からオーディトリアムまでの妙に長いアプローチの間に、室内楽やれる空間が最低でも3カ所くらいはあるぞ、って。

当日券を求める人たちがずらりとならぶボックスオフィスの横に、演奏会場お馴染みのポスターがベタベタ貼ってあるのだが、偉そうなギリシャの神様や英雄なんぞの彫像の間に看板を出して、そこに貼ってます。で、かなりの数を占めているのが、ミュンヘン最大手の民間のリサイタルや室内楽をやってるメイジャーなシリーズの告知。これが12/13シリーズ全体告知。字が小さいくなっちゃうけど、御関心の向きはじっくりご覧あれ。
021.JPG
いかがです、ぶっちゃけ、なんかトッパンホールのラインアップみたいでしょ。まあ、トッパンのディレクターさんの趣味がヨーロッパのメイジャー系室内楽なんだから、当然と言えば当然だが、なーるほどねぇ、って感じです。

クァルテットでは、アルテミス、エベネの両ミュンヘン入賞組、それに、クス、パヴェル・ハース、アマデオ・モディリアーニなど、日本でも知られた若手が入ってきてる。仕切ってる音楽事務所がどこかが丸見えだなぁ、社長、昨日のクァルテット本選にも来ていて、相変わらずのポーカーフェイスだったけど。ハーゲンQは常連なんだけど、今シーズンからのオール・ベートーヴェンはお高すぎたか、やっぱり無理な企画なのか、ミュンヘンは買わなかったみたいですねぇ。別企画でやるのかしら。まあれは完全に金満家向け音楽祭&海外ツアー用の企画だもん、都市型主催者で引き受けるのは流石の裕福なミュンヘンでも無理、ってことなんだなぁ。代わりにエマーソンQをやる、ってことかな。

実はこのシリーズ、チケットの値段はとても高いです。東京のメイジャーな室内楽やリサイタル演奏会(ポリーニとかの信じられない値段とは違うにしても)と殆ど同じ。ってことは、トッパンホールやいずみホールが、どれだけ無理してるか、ってことですね。メイジャーオペラやオーケストラの来日公演は、本拠地での値段の2倍から3倍くらいが相場だから、日本ではアルテミスQを1万2千円にしないと本来は成り立たぬ、ってことなのよねぇ。ううううん、東京のメイジャー音楽事務所がクァルテットをしなくなるわけだ…

それにしてもこのラインナップを眺めていると、ドイツの室内楽には完全に「メイジャー」と「ローカル」の棲み分けがあるなぁ、と思うです。だって、これ以外にも小さな教会やら地方公会堂でやってる地元音楽協会がいっぱいあり、そういうところの主催者親爺なんてのは弦楽四重奏の1次予選からしっかり通ってきていて、ロビーに自分のところの演奏会のチラシを置いてまわったりしてました。そういうところには、アルテミスとかハーゲンとかエベネみたいな大きな音楽事務所が入ってギャラもお高い連中ではなく、小さな事務所だったり自営業的にやってる団体が出てくる。CDなんかで日本でも知られたような連中もいますし、小生などはコンクールで何年か前に出会ったような連中で、ああやってるんだぁ、と感慨深い。カルミナとかヘンシェルとかロータスなんかは、大手に属さない独立系ですし。

ぶっちゃけ、両者の違いは、演奏者の生き方の違いです。演奏の内容ではありません。大宣伝をしてメディア露出し、有名になって、いろんな街にツアーして歩く、という人生を取るか。それとも、ある場所にいて、自分らの知り合いや信用できる主催者と直接に近い関係で仕事を作り、それが遠く海外だったらツアーもするような生活を選ぶのか。

今回のミュンヘン大会の結果は、ある意味、前者の団体を作ることにあったのでしょう。アルミダQという名前が、この青緑のリストにも来シーズンくらいから挙がってくる。そうすることが必要な事情があったんだろうし、彼らもそのような音楽家としての人生を選んだわけです。

ま、それもあり、ってことなんだろうなぁ。

さあ、もう弦楽四重奏のことは忘れて、アホになって歌に身をませましょ。いただいた席から眺めると、バイエルン放送響、今日は何をやるんじゃ、って感じの楽器配置。ヘラクレスザールの横の扉が開いて直接外に出られるって、知らなかったなぁ。
035.JPG
結果は、ファスベンダー審査委員長の大盤振る舞い、ウクライナの美人コロラトゥーラさんが優勝したんだけど、2位は「メサイア」のトランペットのアリアで前に出てきて吹いた独奏トランペットよりも声がでかかったアメリカの黒いバスバリトンにーちゃん(鈴木雅明さんとも歌ってるそうな)。7人中4人もいた韓国勢もみんな2位や3位をいただき(ミュンヘンで学んでる半島系美人さんの弱音が綺麗だった)、大人気だったドイツからの唯一のファイナリストで当然ながら聴衆賞を浚ったコロラトゥーラさんが、なんとなんと「キャンディード」の”Glitter and Be Gay”を披露して大喝采だったり(いやぁ、勝負曲にこういうのが出てくる時代なんですねぇ)。みんななんかの賞をいただきましたとさ。

てなわけで、うたのにちようびでした。さて、荷物を詰めて、極東の湾岸に戻りましょ。っても、佃滞在は24時間以下で、また名古屋から福井への短期ツアー。全部終わるのは来週の日曜日。ふううう…

nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 3

上野のおぢさん

先生、名古屋、福井のご出張の際には、乗り物レポート宜しくお願いします。できれば、ムーンライト「ながら」を利用してくださいね。
まずは、お気をつけて帰国なさってください。
by 上野のおぢさん (2012-09-18 16:56) 

Yakupen

上野のいぢさん様

今回の名古屋福井行きは、あちらさまから動きの指定がある無茶のできないツアーなので、まともな交通機関を利用します。名古屋から福井の間がバスってのは、関東の人間にはちょっと意外かもしれませんけど。
by Yakupen (2012-09-19 12:49) 

上野のおぢさん

先生、いつもお世話になります。
それでは、名古屋、福井間のバスレポ宜しくお願いいたします。
米原経由サンダーバードもかなり便利な気もしましたが・・・・
バスは最高!!!!
by 上野のおぢさん (2012-09-19 13:24) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0