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ぜーんぶベートーヴェン…もどき [現代音楽]

てなわけで、昨日はバタバタと大阪日帰り。その目的のひとつが、いずみシンフォニエッタのこの演奏会でありました。
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皆様よーくご存じのように、いずみホールが御上なんぞから助成金をがっつりいただいちゃったんでしょーがないからやるべーか、なんてことまるでないのにやってる、誰がどう考えても稼げそうもない「現代音楽」専門室内オーケストラの定期演奏会でありまする。「現代音楽」とはいえ、「おっかないゲンダイオンガク」じゃあなくて、あくまでも「オモロイ現代音楽」をやってまっせ、がモットー。

1950年代前衛が「現代音楽」=「わけわからんもん」というイメージをがっつりと確立させてから、時流れ今や半世紀以上が過ぎ、それでもやっぱり「現代音楽」=「難しい、わけわからん、しんどいだけで誰があんなもん金払って聴くんねん」という状況はさほど違っているわけではない。ま、それがどうしてかとか、あまりにもでっかい問題なんでこんないーかげんな私設無責任電子壁新聞で議論する気にもなりませんけど、事実としてそーとしか言いようがない。いずみホールの皆様とすれば、「ましてや大阪ですし…」などと付け加えたい気持ちにおなりになるやもしれませんが、ま、それはいずこも同じでんがな。

んで、なんのかんのあれやこれやで「それなりに聞いて楽しい、おもろい現代音楽」をやってきたいずみシンフォニエッタ、今回わざわざ日帰りで聴きに出向いたのは、なんとまぁ、このオケが「オール・ベートーヴェン」プログラムをやる、というから!っても、ちゃんと言えば、「オール・(もとは)ベートーヴェン」なんだけどね。

なんせ冒頭から、かのシュネーベル御大の「《運命》交響曲第1楽章から冒頭のジャジャジャジャーンのリズム・モチーフを抜き去ったらどーなるか」というとんでもない発想を大真面目でやっちゃった楽譜ですから。これ、ライブで聴いたのは初めてなんですが、敢えて猛烈に失礼な感想を言わせていただけば、「あ、俺、こういうパルス感皆無のむちゃくちゃ府抜けたベートーヴェンのクァルテット演奏、聴いたことあるぞ」と真面目に思ってしまいました。どの団体、とは言わないけど、「もの凄く新鮮といえばそれまでだが、これ、ベートーヴェン怒らないかぁ」なんて真剣に思ったあの演奏この演奏が頭に去来し…

要は、演奏というレベルではことによるとこれに近い「楽譜の異化」は散々に行われているのではないか、なんて考え込んでしまったであります。はい。

続いては、川島素晴氏編曲の弦楽合奏版《大フーガ》。え、でしょ。普通に作品133の楽譜買ってきて、指揮者さんがガーガー文句言いながら、普通にやれば良いじゃない、って思いますよね。どうして敢えて「中堅」という言葉に恥じない活動をなさっている作曲家さんが、わざわざ編曲せねばならないのか。別に弦楽合奏とはいえもの凄くバランスが奇妙とか、そんなハッタリがあるわけじゃない。正直、バランスから言えば、もうちょっと下が厚くても良いんじゃないとは感じるものの、まあ指揮者さんがいるんだからそこはなんとでもなるべー。

で、結論から言えば、もしかしたらこの日の演奏会でいちばん「わけがわからない」という印象だったのは、ちょっと見にはいちばんマトモにしか見えないこの曲だったかも。こっちも《大フーガ》でしょ、ってことでボーッとしていて、あっちこっちに細かい仕掛けがあれこれとなされているのにあれよあれよといううちに終わってしまったです。やくぺん先生のようなへっぽこロバの耳には、明らかに奇妙なのはコーダ前のもう一回フーガいきましょか、ってなりながらいかなくなる辺りで、ヴァイオリンがなにやらハーモニックスみたいなもんをピリピリ鳴らしてたり、ってとこくらいなんだけど。ま、いずれ近い将来、公式のライブ映像配信がある筈なので、ご関心の向きはしっかりそちらをご覧あれ。

まあ、つまるところ、「作曲家川島氏に聴こえる《大フーガ》はこうだ」ということなんだろうなぁ。そういう意味では、へええええ、と思えたり思えなかったり。ぶっちゃけ、よーわからん。ただ、少なくとも弦楽四重奏版とはまるで違うことは確かです。

なんだかもう疲れてきたので、西村朗氏のベートーヴェンの第1から第8交響曲のあちこち断片を、各楽章毎に用いながら次々とコラージュした大序曲に関しては、それこそライブ配信があったらお聴き逃しなく、とだけ記しておきましょう。これはもう、理屈抜きに大爆笑。だけど、かの有名な山本直純作曲交響曲第45番《宿命》とはまた違った質のものです。巨匠作曲家がベートーヴェンのモチーフをあれこれ混ぜ合わせてコラージュを本気で作ってる。何より秀逸なのは、第2楽章の終わり方。へええええ、ってね。かの「終わるに終われぬ病」ベートーヴェンを一喝するかのよーでありまする。

んで、後半はなんとなんと、再び川島編曲で室内オケ版《皇帝》。ソリストは豪華若林さんですから、もうまるっきり本気でんがな。コントラバスひとり、チェロふたり、管はホルンは2本だけど他は全部ひとりで、なぜかトロンボーンまで座ってるぞ。ちゃんとティンパニーはおりまする。

今時、室内オケと呼べる小規模編成でこの曲をやるとすれば、ピアノはアントン・ヴァルターのレプリカだとか、1810年のブロードウッドのオリジナルでございとか、そんなもんじゃろ、と思ってしまいますよねぇ。ところがどっこい、若林さんの前に置いてあるのはモダンのスタインウェイです。で、もう容赦なく、ガンガン弾きます。わああ、ピアノもんのすごーーーく聴こえるじゃん、ってことになる。少なくとも、どんな部分でもオケがピアノをカバーしちゃってせっかく細かい音符弾いてるのにわかんないよー、ってことは全くない。

「編曲」とは何なのか、いや、「オリジナル編成」とか「オリジナル楽器」とかって一体なんなのか、あらためて考えちゃうような再現でありましたとさ。

いずみシンフォニエッタの「オモロい現代音楽」、なぁるほどベートーヴェンは現代音楽だ、なんてことは言うつもりはないけど、とってもオモロかったことは事実でありまする。遙々訪れた価値ありの神武天皇記念日でありました。ライブ映像配信、必見です。

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