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現実的に考えれば… [弦楽四重奏]

一昨日は神田川大曲畔でモーツァルトとベートーヴェンの管とピアノの五重奏を聴き、昨晩はマッカーサー通り入りっ端でベートーヴェンの弦楽トリオとハ短調の弦楽五重奏(ハ長調、の間違いじゃないですっ!)、それに作品127と聴かせていただき、なにやらみょーに充実した春の始めの晩でありました。前者は、隣にお座りになられた某誌編集長様から「レポート書いてね」といきなり放り込まれちゃったんで、記すわけにはいきませんけど、この興味深いラインナップの二晩、自分の為のメモを記しておきますです。ぶっちゃけ、中身というよりも、「ああ、現実的に考えれば、このやり方しかないのだろーけどなぁ…」って夢のない話ですので、悪しからず。

ええ、昨晩のJTの演奏会、正直に言えば、まず殆どライブで経験は出来ないハ短調五重奏を聴くのが目的でありました。なんせ、「《ハープ》やらも書いていた頃のベートーヴェンのところに、アマチュアさんが作品1の3のピアノ三重奏を弦楽五重奏にしたんだけどどんなもんでっしゃろか、と持ち込んで来て、それを眺めておいおいおいと思ったベートーヴェン先生が手を入れて作品104として出版した」という奇妙な経歴の楽譜なわけでありまして、実際、ライブで接すると、やられないのにはわけがあるなぁ、と実感したであります。とほほ、とまでは言わないけど、第3楽章のトリオのファーストとチェロのやり取りなんて、これはあり得ない、ってもんだもん。終演後、クァルテットと加わって労多くしてなお仕事をなさって下さったヴィオラの瀧本麻衣子さんと顔を合わすや、いやぁああああ、って(苦笑)になってしまったです。はい。ま、こういうもんもあったんだなぁ、ということ。

それはそれとして、話はそこじゃぁない。JTの演奏会でメイン出演者となった、弦楽四重奏葦、という団体について。

この団体、こういうメンツ。
http://earts.jp/archives/566/
要は、チェロで藝大の先生で、何を隠そうやくぺん先生葛飾オフィスのご町内住民(おお、個人情報漏洩!)たるチェリストさんが、ボルドーから帰国してからいろいろやってらっしゃったわけだが、がっつりベートーヴェンの弦楽四重奏弾きたいということで名古屋は宗次ホールに話を持って行き、じゃあやりましょか、って始まった団体であります(←事実関係の間違いがあったら、名古屋方面の方、突っ込んでね、宜しく)。どういう経緯でこうなったか知らないけど、なんせファーストがかの白井圭氏となれば、これはもうぼーっとチラシを眺めているわけにもいかんでしょ。

なんせ、昨日の五重奏なんて、5人の演奏者のうちの3人が、それぞれ違う団体のメンバーとしてメイジャーな室内楽コンクールに出演し、そこそこ結果も出している方。当電子壁新聞を立ち読みの方には説明など不要でしょうけど、一応記しておけば、白井氏はなんとも大層なメンツのクァルテット25(白井圭、井上静香、村上淳一郎、門脇大樹)でゆふいんに来て、渡欧後にミュンヘンARDのヴァイオリン部門で最高位になっただけでなく、ピアノ三重奏でセミファイナルまで進出している。ゴールドベルグ三銃士のトリオ・アコードは、来月、復活演奏会がありますし。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2013-09-07
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2011-05-22
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2009-09-15
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2007-02-06
チェロの中木健二氏は、ボルドー大会が大劇場でやってた最後の回になんともとんでもないファーストを要した団体で出て来て、ツェムリンスキーQの優勝はまあ順当として、ザイーデやらガラテアを押さえて2位になって吃驚。このとき。スイマセン、中木氏のことはなーんにも触れてません。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16
瀧本さんがミュンヘンARDや大阪、レッジョで頑張ったヤーナQのヴィオラだったことも皆様ご記憶にあるところでありましょうぞ。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2013-07-31
そういう人達が、「ベートーヴェンを弾きたい」という理由で集まる。当然、個々の素材としての潜在力はもうとてつもなく、印象としては変ホばっかり鳴ってた感じの2日間の最後に、弦楽器だけでドッカーンと響く作品127の冒頭を耳にしただけで、「ああああ、こりゃホンモノ」ってばさ。

無論、そこから先の長い時間が全てそういう具合にいくわけではないにせよ、なんであれ素材としての優れもの感はたっぷりでありました。とはいえ、逆に、それだけに、「ああ、この人達が、このレベルからスタートして常設とまではいかぬとも、せめてかつてのハレーQとかくらいにきっちり活動が出来ればねぇ」と思わされることしきり。

考えてみれば、世間の人が「常設団体」と思ってる著名クァルテットにしたところで、実体は「年間に3回、1ヶ月ほどづつ練習、録音、ツアーの日程をきっちり組んで動く」という団体は数多い。かのオーストラリアQがその典型例だし、エマーソンQもハーゲンQも、今やそういうやり方です。それで60回くらいの演奏会、それも殆どがほぼフルプライスで貰えるきちんとしたツアーならば、それはそれでしっかり成り立つわけです。

この団体、ひとりはフリー、ひとりは藝大の先生、あとはオケ、というわけですから、せめて年に2回くらい、3週間くらいの「クァルテットとしての日程」を作れないものなのかしら。今は、それに近い形でやろうとしているのでしょうけど。

昨日、会場でご一緒した某主催者の方とも、「結局、こういう風にしか出来ないんだよねぇ、現実的に考えると…」とまだまだ春は名のみの帝都の夜空を仰いだ次第。無論、視野の向こうにある文部科学省や文化庁に「なんとかしてくれ」などとデモをかけるつもりなど毛頭ありません、はい。

春、まだ通し。ってか、この業界、永遠に春はやってこない…のか。

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