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無伴奏のアウトリーチ [演奏家]

ホントならいよいよシカゴ郊外はラヴィニア音楽祭でパシフィカQの「トーキョー・スタイル」ベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏会が始まろうという日に、何の因果か、日本列島は東北地方をウロウロしております。端的に言えば、「被災地」だったところ、というか、今も現実的には「被災地」でありつつげ、正直言えば、別の場所になりつつあるところを、駆け足で北上しています。

シカゴがキャンセルになったとき、余りのことにぼーぜんとしつつ、これではいけん、これはきっと神様が下さった何かのチャンスなのだ、これまでやらにゃならんと思いつつもいろんな都合で出来なかったことなどをやりなさい、ということではあるまいか…と強引に思いっきり前向きな気持ちになってあれこれ眺めれば、前から気になっていた演奏会があるではないかい。

面倒な説明はする気もないが、まあ、要は、このところベルリンでフィルハーモニーでなんか聴こうとか、オペラを見物しようとかすると、何だかいつもその前にあって麦酒ジャブジャブ飲んで、お陰で半分酔っ払って会場に駆け込むことになり、結果としては客席で半ば沈没、という醜態を繰り返しているわけでありますがぁ…その酔っ払い相手たるベルリン在住の音楽家さん、マインならぬオーデル河沿いの方のフランクフルトのオーケストラで第2ヴァイオリンソロ首席をお弾きになってる(って、よくわからないのだけど、日本語ではそう書いてあるなぁ…)小林正枝さんというヴァイオリニストさんが、ご自身の田舎(東京生まれだけど、お母さんの実家があり、子供の頃は盛んに帰省していたそうな)たる石巻でアウトリーチをするという。会場は震災で流され、やっと昨年に駅前に再建された石巻市立病院、そー、所謂「被災地アウトリーチ」でんがな。

ええ、やくぺん先生、311震災及び312福島原発炉心融解事故以降、東北の各地で盛んに開催されている「被災地アウトリーチ」に関しては、ぶちゃけ、意図的に避けてきました。ギトリス御大なんぞには殆ど首根っこ捕まれて引っ張っていかれそうになったのもなんとか逃げ切り、無論、ルツェルンもサントリーのヴィーンフィル以下、都響からなにからあれこれやっている大規模なものも、電話取材やら演奏家さんのインタビューで纏め記事的なものをやったことはあるけど、具体的に見物に行ったりしたことはなかった。盛岡の駅で被災ピアノの再生やったりしてる方の話をきいたりとか、ユースオケ絡みのことをなさってる方からいろいろ言われたとか、無論、チェロの丸山氏を筆頭に自分なりの高いモーティヴェーションで個人的にいろいろやってる方もいる。そんな方々から、みにきてよ、と言われることも珍しくない。

だけど、正直、なかなか難しいなぁ、と思っておりました。見に行くのは簡単だけど、そこで見て、いろいろ思ったことをどういう形に出せるかというと、実はこれは案外と難しい。「良かったですねぇ」とか「感動しました」とか言うのは簡単だし、実際、きっとその通りなんでしょう。だけど、どれを言ったり書いたりするのは、あたしの役回りじゃないしねぇ…

んで、この小林さんのアウトリーチも、酒飲み話で(妙な意味ではなく、ホントにいつも「酒飲み話」になってしまうんで)始めの頃から耳にはしていて、うん、一度眺めたいけどさぁ…なんて繰り返してた。

そしたら、あらまぁ、シカゴ行きがなくなったその頃に、小林嬢がベルリンから帰国中で、石巻の彼方此方で弾くって仰ってたのを思い出した。なるほどねぇ…

あれこれあれこれ、なんのかんので、本日、遙々石巻を訪れるに至った次第でありまする。

石巻駅前のこのピカピカの病院でアウトリーチが行われるに至った経緯とか、なんでそこに小さなグランドピアノが置いてあるのに無伴奏なのかとか、いろいろ書き始めればキリがなく、それはそれで極めて興味深い(かつ、何かと語弊も多いことがありそうな)話であることは確か。んで、めんどーなんで全部吹っ飛ばし、案外とありそうでない「無伴奏ヴァイオリンのアウトリーチ」というところに話を絞っちゃいましょ。

実は、お恥ずかしいことに、やくぺん先生としましては、「無伴奏ヴァイオリンのアウトリーチ」って、初めて聴いたです。ありそうで、案外、ない。ヴァイオリニストが楽器持ってきて、そこそこ響く場所に人を集めて弾けばいいだけだから、アウトリーチの技術的には極めて簡単です。椅子や譜面台だっていらないんだもんさ。

だけど、まず、やられない。そりゃ当然、やられないにはわけがある。この駄文を未だ立ち読み中のアートマネージメントの学生さん、考えてご覧なさいな。

小林嬢のアウトリーチ、会場は病院の受付ロビーです。うるさそうに思えるけど、1階からエスカレーターで上ったところで、意外にもそんなに騒々しくはありません。空間はたっぷりあるので、車椅子の患者さんの隻もいくらでも作れるし、それどころかベッドに寝たままの患者さんが複数並ぶ空間だって用意出来る。点滴したままいらっしゃる方もなーんの問題も無し。病院アウトリーチのある種の息苦しさ、狭っ苦しさはまるっきり感じさせない空間でありました。

奥からバッハのガヴォットを弾きながら出てきた小林さんは、ベッドに寝た患者さんの近くに寄り、ひとりひとりに聴かせるようにしつつ受付前の空間に立ちます。
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それからは喋りを交えつつ、まずはクライスラーの無伴奏ヴァイオリン曲、それからおもむろに、バッハの《シャコンヌ》であります。あとは、《赤とんぼ》で終わる日本叙情歌メドレーなんぞ、で、アンコールはこちら。アンコールだから、アップしちゃっていいですよね。

いやぁ、確かに、無伴奏のアウトリーチって、難しいです。でも、なにしろ《シャコンヌ》という最高のレパートリーがある。どんな聴衆であれ、ヴァイオリニストがきっちり本気で弾けば、その凄さは絶対に伝わるという究極の演目。難しいと言われても、難しくてもほらこんなにスゴいでしょ、と開き直れるだけの演奏をしてしまえば、もうみんな、「ああああ、なんかわかんないけどスゴかったねぇ」と満足して帰っていただける。

他はみんなオマケ、と思わせられる演目って、ありそうでないでしょう。ホント、勉強になりましたです。

さて、明日は会津若松の公民館のようなところで、有料の演奏会だそうな。小林さんによれば、この前は無料で、震災復興というような枠組もつけたのですけど、きちんとした演奏会を聴いていただくということが大事だろうと考えて、今回は敢えてそうしなかったとのこと。誠に正しい判断だと思いますです。

さても、今、大船渡のホールのプロデューサーさん吞むべく、気仙沼駅ホームで最後の乗り換えを待ってます。駅には誰もおらず、風は冷たい秋模様。ジャケット引っ張りだし、大船渡線BRTバスが来るまであと少し。あ、明日は「防災の日」だっけ。

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正念場のタケミツ [現代音楽]

日本フィルの方に、「マーラーはオマケでこっちが本命だろーに!」と言い続けては呆れ顔をされていたヤマカズⅡ指揮のタケミツ管弦楽曲サイクル、とうとうCDとして発売されるとのことでありまする。
http://www.hmv.co.jp/artist_%E6%AD%A6%E6%BA%80-%E5%BE%B9%EF%BC%881930-1996%EF%BC%89_000000000026548/item_%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E6%9B%B2%E9%9B%86%E3%80%9C%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%A0%E3%80%81%E3%83%8E%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%80%81%E5%A4%A2%E3%81%AE%E6%99%82%E3%80%81%E4%BB%96%E3%80%80%E5%B1%B1%E7%94%B0%E5%92%8C%E6%A8%B9%EF%BC%86%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%EF%BC%882SACD%EF%BC%89_8164252

いやぁ、とうとう、完全に作曲家を知らない世代による主要管弦楽曲アンソロジーが世に出るわけですなぁ。選曲も、マーラー・サイクルと一緒に演奏、録音されたという都合もあるのでしょうが、所謂後期タケミツ・サウンド中心の、「戦後前衛」とは一線を画した響きになってからの作品が中心。要は、同時代には「タケミツはすっかり堕落した」と悪口を言われていた作品が中心となってます。少なくとも日本でのマーラー・ルネサンスが、「表現主義再考」とか「新ロマン主義」などという潮流にくっついていたことを考えると、極めて正しい選択でありましょうぞ。

思えば、お亡くなりになる前の岩城宏之さんが、ある公式な場所で「武満さんの演奏は、最近は本人を知らない人も随分とやるようになっている。録音などには、この演奏家が武満さんを知っているかいないか、記すべきではないか」という趣旨の、冗談だか本音だかわからないことを仰ってちょっと場を凍らせかけたことがあったのを思い出します。

ヤマカズⅡの武満サイクル、正真正銘、堂々たる、「武満さんを知らない演奏家」の仕事です。いよいよ、タケミツという作曲家、本当に生き残れるかを問われる正念場となってきたわけですな。

もう爺らは引退、と言える中身でないと、それはそれで困るぞ。うん。

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日本を代表するクラシックのストリーミングって? [音楽業界]

ホントは日本に居ない筈だった今、ここに至る過程でいろいろ日程が狂い、結果として、先週末までに終えている筈だった作文仕事を今、かなり必死でやってます。ま、こういうもんだ。うん。←諦観した爺の発言…

さても、朝起きてメールを開けると、アジア某国の若い同業者くんから、こんな問い合わせメールが入ってました。曰く、
「やあ、久しぶり。10月に東京に行くよ。ところでひとつ質問。日本にはDCHとかMedici みたいなクラシックのストリーミング・サイトはないのかい?」

うううん、これ、真っ正面から訊ねられると、案外、応えにくい質問だなぁ。

ご存知のように、ヨーロッパではいつの間にやらクラシック関係のコンサート、オペラ、バレエなどをライブやら撮り溜め(そんな言葉、まだ生きてるのか?)やらで原則無料配信するサイトがいくつかあります。その代表が、ドイッチェ・バンクがスポンサーになってるこちらとか
https://www.db.com/specials/en/cr/DCH.htm
フランスだっけか、から始まっていつの間にか猛烈に大きなポータル・サイトになってるこちらとか
http://www.medici.tv/en/

特に後者は、レアものの現代オペラなんぞもバンバン流してますから、本気で眺めだしたらもう大変、ってところでありますな。

さても、これに相当するようなサイトが日本(ってか、日本のコンテンツを中心に、ってことでしょうが)にあるのか、という質問。

そりゃさ、「ないよ」としか言いようが無いわなぁ。無論、テレビマンユニオンさんなんかがやろうとしているものはあるけど、基本、自分の音楽マネージメントセクションが関わったものが中心になる感は否めないし(世界のヴィオラ好きには大喜びだろうけどねぇ)、なによりも断片的。

うううん…

てなわけで、皆様にお知恵拝借。上述の太字の質問に、適切な解答を下さいな。宜しく御願いします。同じ作文はFacebookにもアップします。そっちの方が反応が早いんですよねぇ。

困ったときの電脳お友達だよりは、21世紀の常識…なのかしらねぇ。

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木曽音楽祭日帰りなのじゃ! [たびの空]

バスタ新宿を7時45分定刻に出発した京王バス木曽福島行きは、出発してから既に2時間と6分を経過した時点で、やっと大月トンネルを下っております。3年後に世界大運動会をやるなどとアホなことを宣ってる東京都民を嘲笑するかの如き灼熱の日々がマラソン予定日を過ぎるや一転、天候不順でまるで梅雨のような日々となり、やっと今週の頭から少しは夏らしい空が戻って来たと思ったら、もう夏休み最後の週末。帝都最大の長距離バスターミナルはどっかに繰り出そうという貧乏人が溢れかえり、世界のどのバスターミナルにもあるジャンクフード屋やらコンビニがほぼ皆無なこの不思議な巨大バスターミナル、唯一のファミマには入るだけで行列状態。施設の設計者出てこおおおおぃ、って怒号が飛び交いそうな勢い。

ともかくバスは10数人の客を乗せて定刻に出発
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土曜の朝とあって中央道までは8分と順調ながら、高速道路に上がるやもう渋滞が始まり、調布基地を追い越し競馬場と麦酒工場の間を山に向かって走るフリーウェイ上空を、日本海に向け週末でも掃海業務に向かう厚木からのP-1を眺め八王子を過ぎ、唯一の途中乗車客を拾うまでに1時間以上。
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今やっと、甲府盆地に向けて長い下り坂を走破中。「到着は1時間以上は遅れます、2時間遅れまでなるかは、なんとも判りません」と我らが頼もしい高橋英一運転手様が仰っております。ふうう…

てなわけで、本来ならばあと数十分で羽田国際線ターミナルからシカゴはオヘア空港行きに乗り込む時間だったのに、なぜか京王バスで甲斐路越えて木曽路に向かっているやくぺん先生。この先、深夜前に佃厄天庵帰宅するまで、高速バス、中央西線、長野新幹線とぐるり本州島真ん中フォッサマグナラインを跨ぐ一筆書きの1日、どうなることやら。あ、「途中2回休憩の予定でしたが、双葉での一度の休憩で木曽福島まで向かいます」と我らが高橋運転手からのアナウンスが入りましたです。

※※※

てなわけで、塩尻インターで降りて、あとは中央西線に沿って下道を1時間程走り、無事に1時間ちょっとの遅れで木曽部下公園ホール最寄りの道の駅に到着。
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なかなか立派な道の駅で、まるで高速のサービスエリアのパッチモンみたい。こんな史跡の碑もあったりして。
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本日、ここまで来た理由のひとつ、チェルニーのノネットなんて訳の判らぬ曲をお吹きになる某オケ首席オーボエ奏者さんが、ゲネプロ2時過ぎからだから、そこまで拾いに行こうか、なんて仰ってくれたけど、いえいえ、そんな本番前のスターに畏れ多いっ。ともかく、今日はもう飯は食えないことを前提に、今頃は太平洋上でANAのつまらん飯喰らいながら「攻殻機動隊」実写版を眺めてた筈なんだよなぁ…なんていじましいことは一切考えず、蕎麦なんぞではなく、ガッツリ裏ウノじゃ。ほれ。
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ここは文化圏としては味噌カツなのかと思ったんだけど、なんと、個人的にはどうしても納得のいかぬウースターソースが米にたっぷり染み込んだ「ソースカツ丼」でありまする。野沢菜が付いてるのは、流石、木曽路とはいえ信州か。

さて、随分と混んできた。佃のぶんちょうくんたちに露地物胡瓜でも買い込んで、ホールに向かいましょうか。

※※※

道の駅から音楽祭会場のホールまでは、ダラダラと歩いて1キロとちょっとくらい。
道の駅 日義木曽駒高原 から 木曽文化公園 - Google マップ.pdf
まだ頭を下げない緑の田圃と唐も殺し畑の上を、そろそろ長老達が南に帰るタイミングを議論し始めてそうなツバメたちが飛翔するのを眺めながら歩くと、随分と落ちたいがぐりの向こうに、駒ヶ岳やら経ヶ岳を望む小径が。
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どうやらここを真っ直ぐ行くと音楽堂、ってことでもなさそうです。だらりダラリと進めば、こんな神聖な場所も。
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うううん、エホバの証人さん、意外に地味だなぁ。その先には、道の駅の野菜販売コーナーよりも更に激安なショップがポツンとある。
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やけになったように詰められた胡瓜は流石に重すぎる、適度な量の茄子と、小さなタマばかりのピーマンなりを、有り難くいただきます。なんせ、帝都は野菜急騰の折、有り難いことでありまする。

かくて到着した音楽ホール、開場を前にホール前の広場でアルプホルンが鳴り(以下の動画は編集無し、40秒程、奏者達が演奏前に楽器を弄ってる様子も入ってますし、終わりは据えたところから落ちそうになって慌てて拾ってる情けなさ)
開場するや、ロビーは半分が地元物産店状態。共著者のH先生が持ち込んだ「つくる。つづける。」本も並んでおりまする。
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並べていただいたお礼に、木曽音楽祭の歴史を綴ったパンフレットを購入させていただきましたです。はい。

そんなこんなで、チェルニーってホントに先生の亡霊に取り憑かれた生涯だったんだなぁ、とつくづく思ったり、ブラームスを保守的なんて行った奴はでてこおおおおおい、と怒鳴りたくなったりの充実した演奏も終わって、先程は舞台上でコールアングレをお吹きになられていた名人に駅まで送っていただき、じゃあまたね、奥様によろしく…
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って風に吹かれる中央西線のホームでは、この夏初めて「ジャケットが欲しいな」と感じるやくぺん爺であったとさ。

かくて中央道・中山道・北国街道ぐるんと走破の一筆書き日帰りたびの空、到着した東京駅八重洲口で佃縦長屋への深夜都バスを待てど、まるっきり来ない…って、今日は土曜日、深夜バスはお休みじゃったぁ!

秋風に どっさり重し 夏野菜

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秋の気配 in トーキョー [葛飾慕情]

戻り梅雨のような湿っぽい日々がやっと終わったかと思ったら、太平洋高気圧がぐぁあああっと張り出すでもなく、なんとなくただひたすら湿っぽい、まるでここは北回帰線下の香港か、はたまた台北か、というような日々が続く今日この頃、皆々様はいかがお過ごしでありましょうか。やくぺん先生は…もー駄目かも、って感じでありまする。

なんせもう新暦の葉月も終わろうとするとなれば、いかな湿っぽい大気がドップリのっぺり覆おうが、しっかりと秋は近付いている。昨年は不作だった葛飾オフィスのランドマークたる巨大柿の木、このところ連日のシンガポールのスコールみたいな豪雨が川向こう新開地を襲えば、まだ赤くなりかけもしない堅い緑の柿の実が、道だろうが、植え込みの中だろうが、雨樋だろうが、はたまた物干し台だろうが、ぼてんぼてんと落っこちる。どうも、放っておくと、なんのかんので1日に半ダースくらいは落ちているような。
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いつもの夏なら、お隣の奥様が呆れて朝のお掃除で拾っていてくださったのだけど、なんと数週間前から建て替えでいらっしゃらない。で、放っておくと、堅いだけの柿の実がボタボタ十字路に落ち、向かいの町工場に頻繁にやってくるトラックが踏み潰し、天下の公道が柿の実大虐殺の凄まじい惨状を呈することになるのでありまする。管理人だったもぐら君が結婚して関西に行ってしまい(「うちも柿が落ちますけど、下が土なんで大丈夫」などと羨ましいことを仰るのじゃ)、放置するわけにもいかず、2日と空けず佃から葛飾まで通わねばならぬ。せっせと落ちた柿集めて、燃えるゴミの日に出すわけでありまする。
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っても、シカゴの敵を討つべく、週末からなんのかんの国内を動き回ることになってしまい、さあああどーするどーする、お柿様ぁ…

ああ、今日も暑さに負けて葛飾まで行かなかったなぁ、と遙か天樹の彼方
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うっすら夏の大気に浮かぶ筑波の反対側、天樹右下に連なるビル群の向こうの川向こうの新開地葛飾を思いつつ、暮れなずむトーキョーを佃縦長屋上空100メートルちょっと、丁度シン・ゴジラの視線くらいの高さで眺めるのであった。

すっかり日も短くなった。もう、釣瓶落しカウントダウン。

柿の実の 転がる先に また青葉

[追記]

24日木曜日の昼前、丸2日ぶりに葛飾オフィスに来てみたら、なんと、総計12個の柿の実が新たに落ちておりました。今日から彼方此方国内移動、次に葛飾オフィスに来られるのは日曜日の夜になるのだが、なんとか月曜朝に向かいの町工場が動き出す前にその間に落ちた柿の実拾いを完了しておかないと。ふううう…

柿に振り回される秋になりそうじゃ。

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インキネンがメルボルンで《マイスタージンガー》 [演奏家]

意外にも結構忙しいことになってしまっているので、ともかく、情報のみ。今、オペラ・オーストラリアから2018年シーズンの案内が来ました。なんせ、季節が北半球とはひっくり返っているので、北半球ならば1月の終わりから2月にアナウンスされる次のシーズンのプログラミングも、丁度半年ひっくり返るわけですな。

んで、毎度ながらの「大観光地オペラハウスを覗きに来た観光客に切符も売ってしまおう」路線のシドニーと、「ピットもデカイのできっちりがっつりやりますよ」のメルボルンとのふたつのシーズンがあって、前者はぶっちゃけ名曲路線。ただ、ショスタコーヴィチの《鼻》は面白そうですねぇ。オペラハウス観光がてら、眺めていってはいかがかな。
https://opera.org.au/2018/season-guide?source=44361&promo=44361&utm_source=mail2&utm_campaign=2018-subs-pros-170822&cmp=1&utm_medium=email

そんな中で、メルボルンの、ってか来シーズン全体を通しても、目玉はこれでしょう。
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https://opera.org.au/whatson/events/die-meistersinger-von-nurnberg-melbourne
いぇい、我らがインキネン様、あの21世紀を感じさせる《リング》サイクルの後を受け、なんと、《マイスタージンガー》でありまするっ!カスパー・ホルテンって、この前、コヴェントガーデンでやった《ロジェ王》をシドニーに持ってきた演出家さんで、オーストラリアとしてはオーセンティック中のオーセンティックな選択なんだろーなぁ。共同制作なのかしら、ま、詳しい方はいくらでもいらっしゃるでしょう。教えてちょ。

2018年の11月、初夏のメルボルンは季節も良いですし、ペンギン見物もできるし。ただ、まだワライカワセミは街場には下りてきてない時期なのが残念だけど。

…って、行くなんてひとことも言ってないぞぉ。

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NHKが弦楽四重奏特集からロマン派追放! [弦楽四重奏]

NHK地上波をオンタイムで観るなんて極めて珍しく、そのためにわざわざ某所まで出向かねばならぬのであるが、ともかく、今、目の前のテレビ画面でアーヴィンたちが細川の《沈黙の花》を弾いてます。ぐるんとまあるく陣取り、まるであんたらはヨアヒムQか、はたまたカール・クリングラーQか、って座り方でんなぁ。福岡モーツァルト・アンサンブルがこういう座り方で定期をやってなかったっけ?

さても、どんなに視聴率が低くかろうが、この列島上の10万単位の善男善女がアルディッティQが奏でる細川作品を聴いているというもの凄い瞬間、どうしてまあ、NHKさんはこんな番組を作ったのか、プロデューサーさんはなんでこんな特集をお考えになったのか、お尋ねしたい気持ちでいっぱいだけど、ともかく、こういう番組を地上波で放映しておりまする。
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2017-08-20&ch=31&eid=10535&f=2506

おお、アーヴィンたちの1時間ほどの持ち時間が終わり、次に登場したのは、クロノスQでありまする。あれ、チェロが韓国系の女性じゃなかったっけ、今は。いつの映像だ…と思ったら、おおおお、あらいさんあらいさんっ!みんなショッカーがマスクしてないみたいな格好でプログレ弾いてますう!

ふうう…なんなんねん。なんせこの番組、演奏予定表を見ると、凄まじいことになってる。ほれ。

「弦楽四重奏曲第3番」 バルトーク:作曲 (演奏)アルディッティ弦楽四重奏団

「弦楽四重奏曲第2番」 リゲティ:作曲 (演奏)アルディッティ弦楽四重奏団

「沈黙の花」 細川俊夫:作曲 (演奏)アルディッティ弦楽四重奏団

「“レクエイム・フォー・ドリーム”から」 クリント・マンセル:作曲 (演奏)クロノス・クァルテット

「“21世紀のスキッツォイドマン”から」 キング・クリムゾン:作曲 荒井英治:編曲 (演奏)モルゴーア・クァルテット

「弦楽四重奏曲第15番 イ短調 第4楽章から」 ベートーヴェン:作曲 (演奏)アルバン・ベルク弦楽四重奏団

「弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調 作品95“厳粛”」 ベートーヴェン:作曲 (演奏)エマーソン弦楽四重奏団

「弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K.421」 モーツァルト:作曲 (演奏)エマーソン弦楽四重奏団

以上です。そー、以上。後半は、ご覧のように古典派のみ。つまり、NHKさん、この2時間の番組で、ものの見事な「真ん中抜き」をやってくれたんですな。どロマン派すっぽり抜け、です。まあ、モーツァルトでも最もロマン派っぽい味わいの曲を出してきて、その辺りはカバーしているということか。ベートーヴェンも、恐らくは長さの都合でしょうけど、いちばんへんてこりんとも言える《セリオーソ》だもんなぁ。

ま、なんであれ、こういう時代になったのかなぁ、と思うことしきりでありまする。…それとも「弦楽四重奏って、いちばんいいのはこの辺りなんだよねぇ」と、結構言いにくい本音を仰ってるのかしら。

それにしても、この後にはバイロイトのニュルンベルク裁判が歌合戦の舞台なるらしい《マイスタージンガー》を延々朝までやるというのだから、今日の我らが公共放送、どっか壊れたんじゃないかぁ。

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木曽はレア曲ばかり [音楽業界]

ラヴィニアの弦楽四重奏演奏会大虐殺事件の衝撃も覚めぬまま、呆然となって作文仕事も手に付かぬ精神のリハビリを兼ね、この極東の列島に滞在することになった期間中の日程調整を昨日来行っておりまする。まあ、ショックから立ち直るためにちょっと出かけるか、と、お仕事とはまるで関係ない夫婦水入らず、もとい、夫婦鳥いらず(なんせ、佃の縦長屋では夫婦が寄り添おうとすると「俺も混ぜろ」とぶんちょうくんが間に入ってくるのであーる)の1泊近場旅行を入れたぞ。うん。

とはいえ、まさかこんな歴史に残る壮大なキャンセル騒動が起きるとは想像だにしていなかったので、この期間中に御招待いただいていた松本以下、あちこちの皆様へは早々と「スイマセン、この頃、いません」という連絡をしてしまい、いまさら「ゴメン、いるよぉ」とは言えぬし…ふうううう…。ま、ともかくこのままでは頭最低人状態でダラダラ時間ばかりが推移してしまうのであーる。ぐぁんばって日程表を眺めようではないか。

てなわけで調べ始めると、どうせ「楽しい夏のコンサート」みたいな名曲コンサートばかりだろうと思ったらとんでもない、案外といろいろある時期なのですね。なんせ、松本、草津、木曽福島、それに夏の終わりのサントリーホールの財団ゲンダイオンガク系フェスティバル、と、それなりの規模の「音楽祭」をいっぱいやっている季節。そこに、里帰り中でそろそろ秋のシーズン始めを控え仕事先に帰る演奏家さんが小さなリサイタル系のコンサートをするタイミングでもある。これとか。
http://maviolin.exblog.jp/iv/detail/?s=28037989&i=201708%2F11%2F27%2Ff0235427_08481409.jpg

特に困るのは8月26、27日の週末で、草津でエク(このPDFまんま張り付けは、なんとかして欲しいけど)
http://kusa2.jp/wp-content/uploads/2017/05/38leafletpdf.pdf
同じ日に山いくつも越えた彼方の松本では、同じ時間にヴェリタスQ
http://www.ozawa-festival.com/programs/chamber-02.html
いやぁ、これは困る。と思ったら、もうひとつ、更に山を越えた木曽福島では
http://www.town-kiso.com/manabu/event/100210/100676/

なんだこりゃ。どうしてこなことになるんねん!

中でもとんでもないのは、やっぱり木曽でんなぁ。ご覧のように、現時点で発表されているプログラムだけでも、オンスローのチェロが入る弦楽五重奏曲、チェルニーのノネット、ラハナーのオクテット、そして最後はガーデの弦楽八重奏!なんじゃあああああ…ってラインナップでんねん。

音楽監督が管楽器で、そこになんでも行けちゃう弦楽器奏者がこれだけてんこ盛りになってるのだから、これくらいのことは出来るだろーとは思うものの、このプログラムに「はいどうぞ」とOKを出した主催者側の太っ腹さというか、実は何も考えてないだろー感というか…いやはや。

どんな聴衆が座ってるのだろうか、という興味だけでも覗いてみたいなぁ。うううん、どーするかなぁ。

ちなみに、この週末に東京圏を動けないけど、頭がパーになりそうなサウンドに身を晒したい方には、こんなとんでもない音響もあります。
http://angklung3.org/
お安いですし、どうでっか。ゲンダイオンガクと思えばそれまでですよぉ。

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ラヴィニア音楽祭の6公演キャンセルについての考察 [音楽業界]

一昨日から始まったラヴィニア音楽祭のレイバーデー週末弦楽四重奏関連公演全てキャンセル騒動、まさかこんなことが起きるとは常識的には考えられないので、宿は全部FIX変更不可の最安値で予約していたやくぺん先生、結婚30年記念旅行も兼ね、ケチりながらもそれなりにちゃんとしたところを準備してほくそ笑んでいたために、結果としてなんのかんので20万円に迫る大損失となることが確定しました。この出費を少しでも意味のある出費とすべく、「20万円弱払ってお勉強した、良い経験をさせて貰った」とちょっとでも思えるように、事態を考察してみようではないか。うん、…猛烈な強がりだなぁ…

さても、今回の事態の事実関係を整理すると、以下。

1:レイバーデーの休みが始まる金曜日から日曜日まで、パシフィカQは5回のフルコンサートでベートーヴェンの弦楽四重奏全曲を奏破する「トーキョー・スタイル」のサイクルを行うことになっていた。ところが、メンバーのひとりの近親者が重篤だそうで、とてもじゃないが演奏会を開けるような状況ではない(恐らくは、開いてもいつキャンセルになるか判らないような状況、ということでしょう)。で、サイクル全体がキャンセルとなった。交代の演奏会は用意されない。

2:パシフィカQがサイクルを終えて、第1次黄金時代のメンバーでの最後の演奏が終了した翌日、レイバーデーの休日の9月4日、言わずとしれたベネズエラのエルシステマ、シモン・ボリバル管首席奏者から成るシモン・ボリバルQの演奏会が予定されていた。ところが、既に以前から報じられているような祖国ベネズエラの政情不安、実質上の内戦状態への突入を受け、この演奏会を含むクァルテットの北米ツアーがキャンセルとなった。代役出演などはなされず、コンサートそのものが中止となった。

結果として、4日間でクァルテットのフルコンサートが6つ用意されていたものが全てなくなり、ラヴィニア音楽祭では交代の演奏会も全く用意されない事態となった。この間、他のポピュラー系のコンサートは予定通りに開催されているようである。

さても、以上のような状況について、「室内楽のコンサートを制作する(含むパシフィカQの「トーキョー・スタイル」ベートーヴェン・サイクル)」という現場仕事から隠居し学校の先生になったうちのお嫁ちゃんとぐだらぐだらと話したわけでありまする。反省会、というわけじゃないけどさ。んで、いくつかのクリティカルポイントがあり、いくつかの重要な決断があって、この事態に至っているわけで、それを「主催者」視点で眺めていくと、納得いかないとまでは言わぬものの、どうしてそういう判断をしたのか理由を知りたい、と思わざるを得ないところがいくつかある。

さあ、全国世界津々浦々のアートマネージメントを学ぶ皆様、ラヴィニア音楽祭の「夏の終わりの週末に予定された演奏会6つ全てキャンセル」という決定、何が問題なのでありましょうか?はい、休み明けまでに原稿用紙4枚で提出しなさいっ!ちゃんちゃん

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…って、終わりにしてしまえば話は楽なんだが、いかな無責任私設電子壁新聞といえど、まさかそういうわけにもいかんじゃろーなぁ。明日からの新潟での学部生対象のアートマセミナーで嫁ちゃんが発表します、ってのも無責任にも程があるし。

以下はお嫁ちゃんの意見というよりも、なんのかんの話しをして、やくぺん先生なりに纏めたものとしてお読みあれ(まだこんなもの読んでる方がいらっしゃれば、だけどさ)。

ええ、結論から言えば、この主催者側の決断のポイントは、「レイバーデー休暇のクラシックイベントを皆無にした」という点にあると言えましょう。一応は世間で言うところの「クラシック音楽」のハンドリングをしてきたうちの嫁ちゃんとすれば、そこがいちばんショックというか、ビックリというか、どういう事情があったか知らぬがこんな決断よくやったなぁ、と思うところのようでありまする。やくぺん先生も同意見であります。

パシフィカQやシモン・ボリバルQ側が(本人らかマネージャー経由かはともかく)「キャンセルしたい」と言ってきた事情は、それはそれで共に仕方ないといえばそれまで。「それじゃ困る、なんとかしてやってくれ」とラヴィニア音楽祭側が言ったのかどうか、現時点では不明(いずれ、誰かから聞き出そうとは思ってます)。ただ、これはダメだ、という判断に傾きかけた瞬間に、普通のクラシック音楽主催者ならば、「さあ、代演はどうしよう?」と考え始めている筈です。

ポピュラー系の極一握りのビッグ・スターのような「アーティストがそこにライブで存在していること」が何よりも大事なイベントとしてのコンサートなら、そのスターが出ないとなった瞬間に全てオシマイ。代役もなにもありません。エグザイルのコンサート、嵐のコンサートは、エクザイルや嵐が出て来るからアリーナに数万の席を用意し、膨大な量のグッヅを並べ、飛行機に乗ってやってくる聴衆を相手にすることになる。エクザイルの代わりにポール・マッカートニーが出てきても、嵐の代わりに奇跡のSMAP再結成があっても、数万の観客のうちの9割以上が不満を漏らし、暴動が起きるだけでしょう。それ自身が価値を生み出す「スター」は、交代が効く存在ではないのでありまする。

翻って、クラシックコンサートの場合はどうであろーかっ。もの凄く単純な二者択一にしちゃえば、「レイバーデーの休日の3日間、シカゴ郊外のラヴィニアに集まるつもりだった数百人の聴衆は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を聴きたいのか?それとも、パシフィカQが聴きたいのか?」ということ。
もっと具体的に言えば、「ミロQやらボロメーオQやら、ベートーヴェン全曲短期集中演奏をレパートリーにしているパシフィカQと同クラス若しくはそれ以上(あくまでもギャラの観点)の団体をなんとか呼んできて、やってもらうわけにはいかぬのか?」ということです。

こここそが、音楽祭のプロデューサーなりディレクターなりの腕の見せ所になるわけですよ。

そこで思い出すのが、数年前の松本、セイジオザワ音楽祭に生まれ変わった最初の音楽祭での決断です。殆どレパートリーに持っている指揮者がいない、でも小澤氏としては積年の宿望だった《ベアトリーチェとベネディクトゥス》の本番に向けた練習開始を前に、小澤氏が風呂場で倒れてドクターストップになった。ここで、「小澤さんがダメならしょうがないよねぇ」と中止にするという考えもあるでしょう。まあ、お客さんは文句を言うだろうが、払い戻しをすれば済むことだしさ。だけど、プロデューサーの森安さんは、中止にするつもりはなかったという。この曲を振れる、この時期に身体が空いている、この猛烈に厳しい条件をクリアー出来る指揮者をともかく探して、公演は中止せずにやった。結果に関しては、プロデューサーが責任を負う。

ま、その結果、どういう理由かは知らぬが、この音楽祭では新たな大規模なオペラのプロダクションはもう行わないという判断になり、事実として今、サイトウキネン第1回目の伝説の《オイディプス王》からずっと松本のオペラ制作を続けた森安プロデューサーは松本を去りました。直接の因果関係があるかは知らぬものの、業界の常識として見れば、それがプロデューサーという仕事の在り方であることは確かであります。

セイジオザワ音楽祭でのメイン演目たるオペラ新制作と、シカゴ響を中心に据えクラシックからポピュラーまで幅広く夏のシカゴ郊外で開かれる巨大なラヴィニア音楽祭でのブルーミントンの室内楽グループのベートーヴェン全曲演奏とが、音楽祭にとって同じ比重があるイベントではないことは百も承知です。とはいえ、音楽を聴きたいという聴衆とすれば、きちんとした大規模なオペラ上演と弦楽四重奏の演奏とに、違いはありません。
それは違うだろう、と言った瞬間、その人はイベント・プロデューサーではあるかもしれないが、少なくとも室内楽のプロデューサーではない。

確かに条件は厳しいでしょう。なんせ、こんなサイクルをいきなりやれと言われてやれる奴ら、世界に片手の指ほども居る筈が無い。パシフィカQにしたところで、今も忘れない、ニューヨークでの彼らの演奏会のあとに飲んでるところで、お嫁ちゃんが恐る恐る「数日間で5つのコンサートでベートーヴェン全曲、やれる?」と切り出したら、ブランドン御大、「そんなの無理」と瞬殺だった。その後、いろいろ話を重ねて、よおおおし、今しかやれない無茶な企画、やってやろーじゃないかぁ、ということで、溜池室内楽お庭の名物となった現役バリバリ演奏団体に拠るベートーヴェン短期集中全曲チクルスという無茶な企画が始まったわけです。今回、ラヴィニアまで日程の無理を押して出かけるつもりだったのも、パシフィカQ黄金時代の最後となるチクルスを見とどける責任があるだろー、ということだった。

もとい。ラヴィニア音楽祭だってなにもしなかった筈はないだろー。誰か出来そうな奴らはいないか、あちこち連絡したのでしょう(←常識からの想像!)。どの団体も休みになっちゃっててダメと判ったら、せめて全部は無理でも毎日ひとつくらいの演奏会は作れないか、パシフィカQに弟子筋を紹介させたり、シカゴ近辺の若い連中に声をかけたりしたのでしょうねぇ(←繰り返しますが、あくまでも常識からの想像ですう!)。例えばヴェローナQなんぞがひとつの演奏会だけでも弾くというなら、ぶっちゃけやくぺん先生とお嫁ちゃんはシカゴまで行ったでしょう。本音、大喜びで!

ところが、同じグレードの若手団体の緊急招聘はパシフィカQよりも遙かに楽だと思えるシモン・ボリバルQを含め、ラヴィニア音楽祭は代演のコンサートを行わなかった。

どーしてなんだろうか?

例えばこれがソニア・ジメナウアー事務所の仕切りだったら、ソニアおばさまはまず確実に代演を用意したでしょう。多少の無理を言おうが、日程のずらしがあろうが、カザルスQを引っ張ってくるとか(最も現実的な案)、シューマンQに「これはリスクも大きいがチャンスだと思え」と説教するとか、なにかしらの動きをするであろうことは容易に想像できます。それが室内楽のプロデューサーというもの。

だってさ、みんなが聴きたいのは、ベートーヴェンなんだもん。パシフィカQはあくまでも、間に介在し、楽譜を音に再現し、伝えるための存在に過ぎない筈だもんさ。

腹が減ってきて頭が動かなくなってきたので、もうこれでオシマイ。ともかく、このラヴィニア音楽祭の決断、いろいろと考え始めると奥が深い、日本円20万円なりくらいの価値は充分にある大きな問題を「経験」させて下さったわけでありまする。

…とはいえなぁ…うううん、今年はもう、超緊縮財政だなぁ。ふううう…

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来年の香港はパウントニーの《ペレアス》 [音楽業界]

昨日発覚したラヴィニア音楽祭の弦楽四重奏全キャンセルというとんでもない事態を前に、未だに立ち直れず(なにしろシカゴの宿はずっとキャンセル変更不可の一番安い予約だったもので、まるまる10万円也近くがパーです…えええええん)、ぼーっとして作業をこなすのが精一杯の一夜が明け、なんのかんのバタバタと周囲で動いても会社系の方々がお休みでその動きを先に持って行くことが出来ず中途半端な状態の梅雨前線張り付き状態みたいな帝都の空、皆々様、いかがお過ごしでありましょうか。

ともかく、全てのお仕事関係の日程の立て直しにかからねばならず、その勢いで秋以降の様々な日程も決めてしまえ、というところまでパワーが恢復するか判らぬままに、今日もなんとか元気に生きていこうではありませぬか。はい…

で、昨日来いろいろと動き始めたアジア圏のこの秋以降の日程決めで、遅まきながら出て来た情報。ええ、どうやらデュダメル&シモン・ボリバル管ツアーが完全にダメになったのではないかという憶測も大河の如く流れる大陸中国、やっと来年春節の香港フェスティバルのメインプロが出ました。ほれ。
https://www.hk.artsfestival.org/en/
どうやら、最大の目玉のオペラ公演は、ウェールズ国立オペラの《ペレアスとメリザンド》のようでありまする。恐らくはこのプロダクションを持ってくるのでしょう。
https://www.wno.org.uk/event/pell%C3%A9as-and-m%C3%A9lisande
なるほど、パウントニーの演出ねぇ。まあ、LCCでちょろっと見物に行くには丁度良いかな、って感じかしら。なんせ、帝都の国立劇場でこの作品を正規なプロダクションで上演したことない国の住民としてはねぇ。

残念ながら、というか、毎度ながら、というか、室内楽は全プログラムの発表まで判りません。「香港いくぞぉ」という話は、まだどの団体からも流れてきていないし。

とにもかくにも、事実関係のお知らせでありました。さあ、今日も元気に働こう…ふうう、出発までにテープ起こしの必要な原稿3本、という元気の良い目標がいきなり消滅してしまったような気分で(別になくなったわけじゃないのだけどさ)、力が入らぬなぁ…

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