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朗読というパーフォーマンス [演奏家]

「弦楽四重奏」カテゴリーじゃない話になっちゃうんで、「演奏家」かなぁ。パーフォーマー、という意味なら正しいんだけど。

独墺圏や北米では常識の、「オーケストラがオーケストラ団員に拠る室内楽を主催しシリーズ化する」ということをやってる日本では稀有な錦糸町のオケが、そのシリーズ公演を於け主催で地方でも行うという更に稀有なことをしてくれるので、遙々川越まで往って参りましたです。空が高い街だこと。
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先週の木曜日の錦糸町公演を聴きにいくつもりだったんだけど、作文仕事が詰まっててダメだった(なんと、売り切れだったそうでありますっ!)。今日だってホントはかなり厳しく、遙かな道中、延々と車中テープ起こしをしながら彩の国の真ん中まで至った次第。いやぁ、この道を毎日通勤している皆さんって、ホントに偉いなぁ。早稲田は通いやすそうだけどね、最近は。

団員がプロデュースし好きな室内楽演奏会をやる、という日本では極めて珍しいけど世界のオーケストラではごく当たり前のこのシリーズ(3月にはマレーシアフィルの同様の室内楽シリーズで、《ブラック・エンジェルズ》マレー半島初演を聴かせていただきましたっけ)、なんとまあ、既に100回を越えております。初期にはやくぺん先生の世を忍ぶ姿のしがない売文業者も、当日プロを書かせていただいたりしてましたっけ。お目出度いことでありまする。

んで、「ウェスタ川越リハーサル室(小ホール)」なる場所で先程までやってた演奏会、こんなもんです。
https://www.njp.or.jp/concerts/2756
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セカンドの頭さんがプロデュースし、かのアルデオQで数シーズン弾いて帰国しNJP首席になったヴィオラさんやら、カントゥスQのチェロでもある森澤さんやら、低音はクァルテットよーく知ってる方々がしっかり押さえる。オケマンの室内楽ってのは、こういう人達もいるから便利ってば便利ですな。んで、そこにゲストというか、実質「ソリスト」として、米文学者で翻訳家、村上春樹のブレインってのかしらね、まあ関係者としても良く知られる柴田元幸氏が加わる。

あたくしめは寡聞にして存じ上げなかったんですけど、どうやら柴田氏はいろんな音楽家とのコラボで朗読をなさっていて、CDまで出してらっしゃる。もう、完全に「ソリスト」でんな、これは。朗読で客を集める最近のアルフレッド・ブレンデルやら、最晩年の歌わなくなってからのフィッシャー・ディスカウと同格、ってことだもん。こんな映像もありますし。
https://www.youtube.com/watch?v=5ZsfMemBvM8
要は、映像はないけど、この音楽部分をNJPのクァルテットが担当した一晩、ってこと。ちなみに、所謂「クラシック」とのコラボは始めてだったそうな。へええ、ちょっと意外。

アルデオQで鍛えたヴィオラさんが冒頭一発ガッツリ客を掴む《アメリカ》を弾いた後、独唱者の柴田氏が登場。ご自身が訳した現代アメリカ文学の抜粋や、掌小説のような作品を、作品や作者の解説を挟みつつ、朗読します。この空間だとどうするか興味深かったマイクに関しては、使用しておりました(ま、幸いにしてバランスの問題がどうこうというような空間ではありませんでしたが)。

この演奏会、なにより感心したのは、朗読のタイミングがフランク・ブリッジやらルクレールやらグリエールの音楽と、ちゃんと合っていたこと。当たり前といえば当たり前だけど、そのためには事前に朗読のテンポを知らねばならず、それに合わせた曲選びをせねばならず、当然ながらソリスト加えた練習もせねばならず、結構、めんどーな作業があった筈。数ヶ月前にアブダビで眺めたアタッカQとアラブ人学生詩人の朗読とクァルテットの合わせ、数年前に同地で眺めたアイズリQと同じくアラブの学生詩人達との合わせなど思い出すに、今回はなんと上手くいっていることか、と驚嘆しっぱなしでありましたとさ。

中身に関しては、やっぱりこういうやり方をするとアレグロ系というよりもアンダンテやアダージョ系の音楽が中心になってしまうのは仕方の無いところか。アレグロ系は朗読との合わせに、それこそ来月のNJP定期室内楽定期でやる《月に憑かれたピエロ》みたいな指揮者が必要になるかもしれないし(来月は指揮者なしみたいですが)。でも、ブリッジの《3つの牧歌》という田園風な音楽(これ、ライブで聴いたの始めてだけど、使える曲じゃないかぁ)を敢えてニューヨーク風景やらを描くところに持ってくるセンスなど、なかなかなものであります。

なによりもビックリしたのは、こういう演奏会なのに、それなりに聴衆がいたこと。「サロンでの演奏会」には再考の在り方で、正直、音楽を朗読が喰ってしまう箇所も多々あるけど、それはそれで良いんでしょう。朗読という独唱者を含めた室内楽としては、とても満足のいくものでありました。

川越、なんだかスゴく洗練されたブンカの街に思えてきたぞ。

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ルーク監督頑張って中国へ! [演奏家]

アタッカQはアブダビでミニ・レジデンシィの真っ最中。そんなところに、北京の大手音楽事務所ウーさんのところから、案内が届きました。ホームページはこちら。おお、新年っぽいぞ。
http://www.wupromotion.com/

このページの頭には、昨年にウー社長が宿望の中国でのレップとなったヴィーンフィルとか、派手なもんが並んでるけど、ちゃんと地道なものもやってます。「室内楽」というとこを押せば、ほれっ。こいつら。
http://www.wupromotion.com/en/great-china-tour/chamber-music/1090-manhattan-chamber-players-usa-2018
なんとまぁ、我らが「ルーク」、ルーク・フレミング率いるマンハッタン・チェンバー・プレイヤーが、苦節3年(?)、見事に中国公演などという大仕事をゲットしているではありませんかぁ!そー、アタッカQが大阪で優勝したときの先代ヴィオラ奏者でありまする。

中国公演は、どうやら弦楽五重奏という面白い形態のようです。明日からの日程と場所は以下。
3月08日,19:00,北航晨星音乐厅
3月09日,19:30,重庆国泰艺术中心
3月10日,19:30,成都特仑苏音乐厅
3月13日,19:30,厦门沧江剧院
3月16日,19:30,山东临沂大剧院
3月17日,19:00,北京清华大学蒙民伟音乐厅
3月18日,15:00,哈尔滨音乐厅

相変わらずウー若社長のところは、演目にはあまり関心が無いのか、弦楽五重奏ばかりなのか、弦楽四重奏とかもあるのか、全く判らないけど、こういうツアーがやられるようになったのだなぁ、ルーク社長頑張ったなぁ、と感慨に浸ってしまうぞ。

古巣アタッカQはアブダビで弦楽四重奏の種を蒔き、時を同じく、アタッカを出て自分のアンサンブルを作ったルークもアラビア湾とヒマラヤの向こうで未知の演目を広める大ツアーをしている。風はアジアへ…ってわけでもないんだろーけどさ。

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メンデルスゾーンの吹奏楽曲? [演奏家]

昼前に「日曜朝締め切りで…」という無茶苦茶な依頼が入り、同じく日曜夜締め切りの原稿がまだ終わってない状況で、普通なら絶対サボるところを、昨日金曜午後の新日本フィル演奏会のために、無理に葛飾オフィスから錦糸町まで出かけたです。今シーズンの新日本フィル、いちばん意欲的な定期シリーズが金曜と土曜の昼なんじゃないか、という時代の先端を突っ走る勢い、意図的なんだかなぁ。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2017-04-11
ま、なんにせよ、行った意味はありましたです。状況が状況で、前半のハイドンなどは殆ど爆睡状態だったのでありまするが、後半の《宗教改革》はとっても面白かった。

使った楽譜が旧来のものとはまるで違っていて、シャイーだかがゲヴァントハウス管を振ったのを楽譜のことをなにも知らずに聴き腰を抜かして以来の版。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2009-10-27
殆ど不意打ち状態で聞かされたときの驚きは上述の通りなんだけど、今回はこのオーセンティシティがどんなもんなのかよーわからんこの楽譜を使うということは判った上で客席に座っていた。ってか、だから行った、ってがホントのところなんだけどさ。

所謂「歴史的背景を考慮した演奏」の日本を代表する方が指揮者なわけで、一言で言えば、「綺麗に響かせる」とか「全体のバランスを整える」とかは全く関心が無い。これはシンガポール響で聴いたときと印象は同じでありました。だから冒頭のブラームスなんて、とってもごつごつした響きで、所謂「ブラームスらしい重厚な響き」とはちょっとどころか、全然違う。ま、これはこれ、ってことなんでしょう。

その勢いはメインたる《宗教改革》まで同じで(当たり前だけど)、冒頭の「ドレスデン・アーメン」が出て来る序奏部分が管楽器ばっかりで、やっと弦楽器が加わったときの音色のぶつかり合いはビックリする程。ぶっちゃけ、「ハルモニームジーク」と弦楽器の合奏、みたいな性格がひっじょーに良く判ったです。そういえばメンデルスゾーンって、ロマン派ほぼ唯一の吹奏楽曲(ハルモニームジーク)を書いている人だっけねぇ、なんて思ったりしてさ。ご関心の向きは、「Mendelssohn Ouvertüre Für Harmoniemusik Op. 24」でググってみて下さい。Youtubeなんぞの映像もいくらでも出てきますよ。

問題の、管楽器が延々と「♪かーみわわがやぐらぁ」とひっそり歌い出す終楽章前は、もうハルモニームジーク以外の何物でもない。へえええ、なるほどえぇ、これ、カラヤン的な「弦楽器のタップリしたレガートの海の上に管が浮かぶ」という美学とはぜーんぜんちゃうなぁ、っか、そういう美学ではなんだかまるで違うものになっちゃうわなぁ…とあっさり説得されてしまった。

無論、どっちが正しいのか、と言い出せば、立場でいろいろなんでしょうねぇ、としか言いようがないことだけど、19世紀初頭の「管弦楽」というものの在り方を本気で考えれば、こういうもんだったというのがやっぱり正解だろうし、少なくとこの曲はこういう音色の対比を前提に書かれてるのだろうなぁ(少なくとも、メンデルスゾーンがある瞬間にはそう思っていた)、と納得せざるを得ない。うん。

それだけに、管弦楽というものに慣れてきたメンデルスゾーンが改定魔の面目躍如で最後まで弄りまくって納得いかなかったというのも、もしかしたらカラヤンっぽい方向に作品全体を持って行きたいと思うようになっていたのかなぁ、とも妄想したりして。

そんなこんな、冬の終わりのやたらと忙しい午後に、結構意味のある妄想をさせてくれる演奏会でありましたとさ。トウキョウはなかなかスゴい街であります。うん。

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アメリカ合衆国が欧州に出来ること [演奏家]

いくらでもある過去3週間の弦楽四重奏漬けネタから。かなり微妙な話で、あくまでも「書いてあることはみんな嘘、信じるな」をモットーとする当電子壁新聞でのネタですので、そのつもりで。決してどっかに引用したり、言いふらしたりはしないこと。よろしーかなぁ。

アムステルダムのビエンナーレ何日目だか、毎日お昼前には、マスタークラスとか公開リハーサルとか、はたまた作曲家の演奏家を交えたトークとか、そういう時間が用意されておりました。そんなイベントのひとつとして、エマーソンQのヴァイオリン奏者フィリップ・セッツァー氏が地元の若い弦楽四重奏にマスタークラスをする、というのがありましたです。
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正確に言えば、マスタークラスじゃないなぁ。複数の弦楽四重奏奏者を集め、セッツァー御大は第2ヴァイオリンに座り、楽章事に若い奏者を入れ換えながらヴェーベルンの作品9をきっちり解説しながら通しで演奏する、というもの。なんせ各楽章スコアで1ページの超短い曲ですけど、こううやり方で全部通すと、しっかり1時間半くらいかかる。その辺りの時間管理も流石だなぁ、なんて思ったりして。

で、この公開お勉強セッションで、セッツァー氏がいろいろ喋ったわけですよ。作品の中身については、ちゃんと入口で聴衆全員にスコアが手渡され、それを追っかけながら聴ける。「ヴェーベルンのこの曲では、主旋律部と伴奏部がはっきりある」とか、「この部分は猛烈にリズムが難しい、どうやって練習すればいいかといえば…」とか、「第4と5曲は簡単だから…」なんて身も蓋もない発言とか、ま、とてもとても面白い。

それはそれとして、なによりも興味深かった、というか、へええええ、と思わされたのは、まず冒頭一発、セッツァー御大が語り始めたことでした。「私はユダヤ系で、その私がヴェーベルンについていろいろ語るのは…」って。え、と思うでしょ。どーやらセッツァー御大、ヴェーベルンを語るにおいてある種のタブーになっている、ってか、殆どみんな語ることのない、「ヴェーベルンはナチスのシンパであった」というところから話を始めたわけですわ。ヴェーベルンはとても状況に左右されやすい人だった、彼のナチスに対する態度というのも時代の空気に流されたようなもので…って調子。

へえ、そこからかい、でしたね。やくぺん先生のようなノンビリした極東の島国の住民とすれば、ヴェーベルンを語るにそこから始めにゃならんのか、と驚いてしまうわけですよ。でも、セッツァー氏には、それが必要だった。語るのがアムステルダムという場所だからなのか、いつもそうなのか、それは判らないけど。

新ヴィーン楽派の3人の「人となり」を説明するのに、こんな比喩を語っておりました。曰く、「ベルクに「おはようございます」というと、大喜びで周りで飛びまわって、おはようおはよう、と人なつっこくしている。ヴェーベルンに「おはようございます」というと、耳を押さえて、そんなに大きな声で言わないでくれ、としゃがみ込む。シェーンベルクに「おはようございます」というと、それはどのようなコンテクストでどのような意図で言ってるのかね、と問い返してくる」って。

テープを回していたわけじゃなく、もう1週間も前の話を記憶で書いているので、この通りの言葉で仰ってたわけじゃ無いだろうから、雰囲気だけ判ってください。でも、なんか、とっても納得するでしょ。聴衆も爆笑でした。

ついでに、なんかの拍子でヴェーベルンの殺され方の話になった。皆様ご存知のように、煙草を吸おうと家の外に出て火をつけたら、戦後進駐してきた米軍の兵士に不審な行為と思われ何かを言われたが、英語だったので判らずぼーっとしていたら、兵士は規定に従い不審者と判断しヴェーベルンを銃撃し、ヴェーベルンは殺された、という史実ですね。この話にはまだ続きがあって、ヴェーベルンを撃ち殺した米兵はチェロ弾きだったそうな。いくら軍命令に従ったからといえ、自分がしてしまったことに大いに悩み、精神的におかしくなり、酒浸りになり、数年で亡くなった、という。これ、知りませんでした。誰でも知ってることなんだろうなぁ、ちょっと恥ずかしいけど、知らないまま死なないで良かった。うん。

これらの話、極めて具体的なヴェーベルンらの人となりから楽譜の読み方まで、考えてみれば1951年生まれのセッツァー氏が直接知る筈がない。なんで彼がいろいろ知っているかと言えば、その師匠フェリックス・ガリミアから散々聞かされた、ということ。3人の作曲家の人となりについても、ガリミア先生が仰ってたことだそーな。新ヴィーン楽派の室内楽に直接関わり、ナチスに追われて北米に渡り、今の音楽史で「楽園への追放」と言われる状況を担った代表的な人物でありますな。

やくぺん先生も一度だけ、いろんな状況で大変にご機嫌が悪いときにインタビューさせていただいたことがあるだけなのだが、ガリミア先生はジュリアードやらラサールやら(でしょ、違ったらゴメン)、はたまたエマーソンやらに、大戦間時代欧州の「演奏伝統」をきっちり伝えた。そういう人達は多くはユダヤ人だったりしたため、多くがソ連かアメリカ大陸に逃げた(イギリスに逃げた連中が、アマデウスQを作ったりしているけど)。戦を離れた平和な、自由な場所で、大戦間時代、はたまたそれより前からの「伝統」を、若い世代に伝えた。戦後なにもなくなった欧州からわざわざ北米に留学し、それらを学んだ者らも、アルバン・ベルクQを筆頭に、いくらでもいる。

セッツァー氏のヴェーベルンについての言葉の向こうには、常にガリミア御大の存在がある。そして、それを、今の若い欧州やアジアの学生らに伝えようとしている。

なるほどねぇ、これがアメリカ合衆国が欧州に出来ることなわけか。エマーソンQが偉いのは、グラモフォンからいっぱいCDが出ているからじゃあなくて、そのやっていることの後ろに付け焼き刃ではないしっかりとしたバックグラウンドがあるからなのであーる。

ヨーロッパにとって「歴史的な情報に基づいた演奏」は、自分らがぶち壊してしまった「伝統」はそれはそれとして、その遙か向こうに遡ることで己のアイデンティティを確認する作業なんだよなぁ、なんてあらためて思ったりもして。

それにしても、かのトランプ大統領様は、「アメリカ」がそういう機能を果たす場所である、あった、ということは、特になんとも思ってらっしゃらないのでありましょうねぇ…嗚呼。

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爺ちゃん南に向かう! [演奏家]

まだ爺の初心者とすれば、人間齢80を越えると圧倒的に個体差、特に若い頃にどう鍛えているかの差が出て来る、という事実を実感として認めるのはまだまだ出来ないけれど、実際問題、そういうことがあるんだなぁ、としか思えぬコンサートが、昨晩の溜池で行われたのは、皆々様ご存知でありましょうぞ。そー、やくぺん先生的には過去四半世紀「世界最高のピアニスト」と、笑われたり呆れられたりしつつも叫んで来たプレスラー御大でありまするぅ。

昨晩の演奏会に関しては、「プレスラー サントリー」とググればもうジャブジャブ絶賛の嵐が吹きまくっておるでしょうから、そちらを眺めて下さいな。

で、当無責任電子壁新聞としては、「ああああ、そんなスゴかったのか、残念、なんとか聴けないものか」と後悔していらっしゃる皆様に、耳寄りな情報を提供しましょうぞ。ほれっ。
https://www.artsticket.com.tw/CKSCC2005/Product/Product00/ProductsDetailsPage.aspx?ProductID=hsobWfDDQ3QmtKLeZSA%2FO
https://www.artsticket.com.tw/CKSCC2005/Product/Product00/ProductsDetailsPage.aspx?ProductID=hsobWfDDQ3SFdquH5MTaaQ

昨晩は終演後に深夜まで寿司とシャンパンで盛り上がっていたというプレスラー御大、東京の仕事を終えると台湾に移動、10月28日には台北フィルと協奏曲、そして30日には国家音楽廳でリサイタルだそうな。リサイタルの演目は、昨晩の溜池とほぼ同じ。台湾らしく最安値の席からしっかり売り切れて行っているとはいえ(協奏曲は高い席がないですねぇ)、まだまだチケットは買えそうでありまする。

さああ、94歳になろうというピアニストが摂氏30度湿度80%を越える街の2000席のコンサートホールでリサイタルをします。これはもう、見物しないわけにはいかぬでしょ。

あたしゃ、流石にお付き合いはしませんけど、お暇な方も、そうじゃない方も、是非どうぞ。

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黑沼ヴィヨームについて [演奏家]

数日前にマイ・ハートQのことを記し、その中で福岡ハイドンQのことについて触れたことから、福岡の方といろいろ連絡をとりあうことになりました。お久しぶりで、いろいろ興味深い情報を提供いただけ、有り難かったです。

その全てをこんな無責任電子壁新聞に気楽に書くわけにもいかないのだけど、とても重要な、でもなんかちょっと嬉しい、というか、安心した話がありましたので、事実関係だけをサラッと記しておきます。

ルドルフ・ゼルキンの招きで日本人として初めてマールボロ音楽祭に参加した黑沼俊夫氏が、帰国時にソイヤー氏にいろいろ話を繋いで貰ったりして(なんせ、カザルスのチェロを実質上預かっていたのがソイヤー氏だったわけですから、楽器店へのラインはいろいろあったのでしょう)マンハッタンで購入して日本に持ち帰り、その後の巌本真理Q時代からニューアーツQに至るまでずっと使っていらしたヴィヨームは、2017年の今、どこにあるのか、判りました。ってか、ご存知の方はご存知だったわけだが、今更ながらにやくぺん先生の知るところになった、というだけのことなんだけどさ。

黑沼先生没後、河野文昭氏に渡ってゆふいん音楽祭のステージでも盛んに鳴り響き、前世紀の終わり頃に河野先生が楽器を買い換えて黑沼夫人に戻されたあと、いろんな噂は聞いたのだけど、なんだかよくわからなかった。で、マイ・ハートQの雨田氏が使ってるんだ、となんとなく思ってたけど、そうではないと言われたのが去る金曜日のことでありました。

んで、本日、元福岡ハイドンQのメンバーの方に所在を教えていただきましたです。あのヴィヨーム、現在は九州交響楽団の首席チェロ奏者に就任なさった長谷川彰子さんがお使いだそうな!
へえ、それはそれで良いところに行ったなぁ。

なにしろとても室内楽に関心がある方だそうで、直方の室内楽シリーズにもレギュラーで登場
https://www.facebook.com/kanmusi/videos/915930011843798/
弦楽四重奏にも積極的で、九響団員による弦楽四重奏を本格的に始める意向を持っているという話を聞いたことも。

そういう方のところに、あの巌本真理Qの低音を支えたチェロが渡って、元気に鳴っているなんて、ホントに楽器としても嬉しいだろうし、あたしらのような周囲で眺めている者としても、すごく嬉しいことであります。

これはなんとしても聴きにいかねば。LCC様、またまた御世話にならせていただきますぞ。

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無伴奏のアウトリーチ [演奏家]

ホントならいよいよシカゴ郊外はラヴィニア音楽祭でパシフィカQの「トーキョー・スタイル」ベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏会が始まろうという日に、何の因果か、日本列島は東北地方をウロウロしております。端的に言えば、「被災地」だったところ、というか、今も現実的には「被災地」でありつつげ、正直言えば、別の場所になりつつあるところを、駆け足で北上しています。

シカゴがキャンセルになったとき、余りのことにぼーぜんとしつつ、これではいけん、これはきっと神様が下さった何かのチャンスなのだ、これまでやらにゃならんと思いつつもいろんな都合で出来なかったことなどをやりなさい、ということではあるまいか…と強引に思いっきり前向きな気持ちになってあれこれ眺めれば、前から気になっていた演奏会があるではないかい。

面倒な説明はする気もないが、まあ、要は、このところベルリンでフィルハーモニーでなんか聴こうとか、オペラを見物しようとかすると、何だかいつもその前にあって麦酒ジャブジャブ飲んで、お陰で半分酔っ払って会場に駆け込むことになり、結果としては客席で半ば沈没、という醜態を繰り返しているわけでありますがぁ…その酔っ払い相手たるベルリン在住の音楽家さん、マインならぬオーデル河沿いの方のフランクフルトのオーケストラで第2ヴァイオリンソロ首席をお弾きになってる(って、よくわからないのだけど、日本語ではそう書いてあるなぁ…)小林正枝さんというヴァイオリニストさんが、ご自身の田舎(東京生まれだけど、お母さんの実家があり、子供の頃は盛んに帰省していたそうな)たる石巻でアウトリーチをするという。会場は震災で流され、やっと昨年に駅前に再建された石巻市立病院、そー、所謂「被災地アウトリーチ」でんがな。

ええ、やくぺん先生、311震災及び312福島原発炉心融解事故以降、東北の各地で盛んに開催されている「被災地アウトリーチ」に関しては、ぶちゃけ、意図的に避けてきました。ギトリス御大なんぞには殆ど首根っこ捕まれて引っ張っていかれそうになったのもなんとか逃げ切り、無論、ルツェルンもサントリーのヴィーンフィル以下、都響からなにからあれこれやっている大規模なものも、電話取材やら演奏家さんのインタビューで纏め記事的なものをやったことはあるけど、具体的に見物に行ったりしたことはなかった。盛岡の駅で被災ピアノの再生やったりしてる方の話をきいたりとか、ユースオケ絡みのことをなさってる方からいろいろ言われたとか、無論、チェロの丸山氏を筆頭に自分なりの高いモーティヴェーションで個人的にいろいろやってる方もいる。そんな方々から、みにきてよ、と言われることも珍しくない。

だけど、正直、なかなか難しいなぁ、と思っておりました。見に行くのは簡単だけど、そこで見て、いろいろ思ったことをどういう形に出せるかというと、実はこれは案外と難しい。「良かったですねぇ」とか「感動しました」とか言うのは簡単だし、実際、きっとその通りなんでしょう。だけど、どれを言ったり書いたりするのは、あたしの役回りじゃないしねぇ…

んで、この小林さんのアウトリーチも、酒飲み話で(妙な意味ではなく、ホントにいつも「酒飲み話」になってしまうんで)始めの頃から耳にはしていて、うん、一度眺めたいけどさぁ…なんて繰り返してた。

そしたら、あらまぁ、シカゴ行きがなくなったその頃に、小林嬢がベルリンから帰国中で、石巻の彼方此方で弾くって仰ってたのを思い出した。なるほどねぇ…

あれこれあれこれ、なんのかんので、本日、遙々石巻を訪れるに至った次第でありまする。

石巻駅前のこのピカピカの病院でアウトリーチが行われるに至った経緯とか、なんでそこに小さなグランドピアノが置いてあるのに無伴奏なのかとか、いろいろ書き始めればキリがなく、それはそれで極めて興味深い(かつ、何かと語弊も多いことがありそうな)話であることは確か。んで、めんどーなんで全部吹っ飛ばし、案外とありそうでない「無伴奏ヴァイオリンのアウトリーチ」というところに話を絞っちゃいましょ。

実は、お恥ずかしいことに、やくぺん先生としましては、「無伴奏ヴァイオリンのアウトリーチ」って、初めて聴いたです。ありそうで、案外、ない。ヴァイオリニストが楽器持ってきて、そこそこ響く場所に人を集めて弾けばいいだけだから、アウトリーチの技術的には極めて簡単です。椅子や譜面台だっていらないんだもんさ。

だけど、まず、やられない。そりゃ当然、やられないにはわけがある。この駄文を未だ立ち読み中のアートマネージメントの学生さん、考えてご覧なさいな。

小林嬢のアウトリーチ、会場は病院の受付ロビーです。うるさそうに思えるけど、1階からエスカレーターで上ったところで、意外にもそんなに騒々しくはありません。空間はたっぷりあるので、車椅子の患者さんの隻もいくらでも作れるし、それどころかベッドに寝たままの患者さんが複数並ぶ空間だって用意出来る。点滴したままいらっしゃる方もなーんの問題も無し。病院アウトリーチのある種の息苦しさ、狭っ苦しさはまるっきり感じさせない空間でありました。

奥からバッハのガヴォットを弾きながら出てきた小林さんは、ベッドに寝た患者さんの近くに寄り、ひとりひとりに聴かせるようにしつつ受付前の空間に立ちます。
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それからは喋りを交えつつ、まずはクライスラーの無伴奏ヴァイオリン曲、それからおもむろに、バッハの《シャコンヌ》であります。あとは、《赤とんぼ》で終わる日本叙情歌メドレーなんぞ、で、アンコールはこちら。アンコールだから、アップしちゃっていいですよね。

いやぁ、確かに、無伴奏のアウトリーチって、難しいです。でも、なにしろ《シャコンヌ》という最高のレパートリーがある。どんな聴衆であれ、ヴァイオリニストがきっちり本気で弾けば、その凄さは絶対に伝わるという究極の演目。難しいと言われても、難しくてもほらこんなにスゴいでしょ、と開き直れるだけの演奏をしてしまえば、もうみんな、「ああああ、なんかわかんないけどスゴかったねぇ」と満足して帰っていただける。

他はみんなオマケ、と思わせられる演目って、ありそうでないでしょう。ホント、勉強になりましたです。

さて、明日は会津若松の公民館のようなところで、有料の演奏会だそうな。小林さんによれば、この前は無料で、震災復興というような枠組もつけたのですけど、きちんとした演奏会を聴いていただくということが大事だろうと考えて、今回は敢えてそうしなかったとのこと。誠に正しい判断だと思いますです。

さても、今、大船渡のホールのプロデューサーさん吞むべく、気仙沼駅ホームで最後の乗り換えを待ってます。駅には誰もおらず、風は冷たい秋模様。ジャケット引っ張りだし、大船渡線BRTバスが来るまであと少し。あ、明日は「防災の日」だっけ。

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インキネンがメルボルンで《マイスタージンガー》 [演奏家]

意外にも結構忙しいことになってしまっているので、ともかく、情報のみ。今、オペラ・オーストラリアから2018年シーズンの案内が来ました。なんせ、季節が北半球とはひっくり返っているので、北半球ならば1月の終わりから2月にアナウンスされる次のシーズンのプログラミングも、丁度半年ひっくり返るわけですな。

んで、毎度ながらの「大観光地オペラハウスを覗きに来た観光客に切符も売ってしまおう」路線のシドニーと、「ピットもデカイのできっちりがっつりやりますよ」のメルボルンとのふたつのシーズンがあって、前者はぶっちゃけ名曲路線。ただ、ショスタコーヴィチの《鼻》は面白そうですねぇ。オペラハウス観光がてら、眺めていってはいかがかな。
https://opera.org.au/2018/season-guide?source=44361&promo=44361&utm_source=mail2&utm_campaign=2018-subs-pros-170822&cmp=1&utm_medium=email

そんな中で、メルボルンの、ってか来シーズン全体を通しても、目玉はこれでしょう。
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https://opera.org.au/whatson/events/die-meistersinger-von-nurnberg-melbourne
いぇい、我らがインキネン様、あの21世紀を感じさせる《リング》サイクルの後を受け、なんと、《マイスタージンガー》でありまするっ!カスパー・ホルテンって、この前、コヴェントガーデンでやった《ロジェ王》をシドニーに持ってきた演出家さんで、オーストラリアとしてはオーセンティック中のオーセンティックな選択なんだろーなぁ。共同制作なのかしら、ま、詳しい方はいくらでもいらっしゃるでしょう。教えてちょ。

2018年の11月、初夏のメルボルンは季節も良いですし、ペンギン見物もできるし。ただ、まだワライカワセミは街場には下りてきてない時期なのが残念だけど。

…って、行くなんてひとことも言ってないぞぉ。

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台北のペトレンコ [演奏家]

急ぎの情報です。

ええ、台北在住の方からの連絡で、明日25日、こんなチケットが発売になるとのこと。
http://www.mna.com.tw/eventsDetail.aspx?serialNo=24
隠すようなことではない、今、恐らくは日本の音楽ファンが最も関心が高いであろう指揮者のキリル・ペトレンコが、手兵のバイエルン国立歌劇場管と台北でベートーヴェンのハ短調のピアノ後奏曲と第7交響曲を振りますです。

この組み合わせ、ご存知のようにこの演奏会のあとに日本にオペラの引っ越しで来るわけだが,その前に台北では素オケの演奏会で,日本では披露しないベートーヴェンをやるぞ、ということでありまする。

さあああ、ご関心の向きは、なんとかぐぁんばって争奪戦に参加されたし。ちなみに、その前の日には東京でも披露するマーラーの5番があるようです。

台北の演奏会、他にもいろいろあるのだが、ま、とにもかくにも、本日はこれまで。実は凄い大物があるんだけど…ま、ご関心の向きは上述のホームページから探してご覧なさいな。

なんか、思い出すなと言われても、爺には「カルロス・クライバー」という名前が浮かんでくる組み合わせですねぇ。

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ダニエル・ベル元気です [演奏家]

エッセンにおります。都響がヨーロッパ公演で来たとき以来かな。なんせ、昨日はインタビューのテープ起こしで寝たのは3時前。6時半には起きてなんのかんの、午前11時成田発のデュッセルドフル便に乗って、シベリア上空でテープ起こし内容を記事にする作業をして、ウラル山脈直前くらいで一応、初稿は完成。それからヨーロッパに入ってペテルスブルク上空くらいまでちょっと寝て、午後4時前に到着し、5時頃にはDBでエッセン中央駅まで来て、宿に荷物投げ込んで風呂浴びて一寝入りする暇もなくアールト劇場まで行き、楽屋口に向かい…って調子。午後7時からは半分沈没しながら《ティトゥス》見物して、今に至っておりまする。本日は30時間以上あり、そのうち睡眠時間は3時間ちょっと。こりゃああ頭が海胆になる…

なんでここにいるかはともかく、こんな方に会いました。
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そー、エッセン歌劇場のコンサートマスター、ダニエル・ベル氏でありまする。ってか、皆々様におかれましては、溜池室内楽お庭でヘンシェルQがベートーヴェン全曲やったときのセカンドさん、って言った方がお判りでしょうね。

ペッターソンQがアルテミス騒動の玉突きで解散になり、その後、ベルリンフィルに数シーズン加わったのだが、クァルテットがやりたくてヘンシェルQに復帰。そのときにエッセンとBBC響のコンマスもかねて、ヨーロッパの常設団体では極めて珍しいコンマス複数との掛け持ちを数シーズンやっていた(そもそもベルリンフィル世紀団員の収入をクァルテットだけで得るなんて、アルテミスやハーゲンだって不可能)。だけど流石に無理ということで、昨シーズン今頃の日本ツアーを最後にクァルテット業界からは引退、コンマスに専念することにした。なかなか波乱の経歴でありますねぇ、こうして記すと。

まあ、この話には、ヘンシェルQのルクセンブルク国立大学のレジデンシィの話があって、ほぼ決まっていたのだが、最後の最後に国会での予算承認がされず流れた、という背景があるのですが…それはまた別の話。ちなみに、ヨーロッパでも所謂「常設弦楽四重奏団」としてツアーや録音だけで食って行けている団体は、2017年現在、そーねー、恐らく…アルディティQ会社だけじゃないかなぁ。ある年代を過ぎて続いている団体は、どれもメンバーの数人が安定した教職を持ってます。

もとい。で、楽屋口で待っていて、ビックリさせてやろうと思ってそっちに向かったら、なんと外で団員と話をしていてヨロヨロやってくるあたくしめを発見し、デカイ声で「やくぺんさーん!」と手を振って来た。ビックリしたなぁ、なにしてるの、いや、来週からレッジョのコンクールでさ、ヨーロッパに入るのにいろいろ道はあるんだけど、ここで今日はプレミアが出るから絶対に乗ってるだろうと思って、さっきデュッセルドフルに着いたんじゃわな…

ダニエル、昨シーズンからは家族もベルリンからエッセンに引っ越し、実質、この地を拠点に生活しているとのこと。ツアーもないし、スゴく安定した生活だよ。子供の教育にもね。そうそう、このオペラのオケの連中とクァルテットを組んだんだ。あ、今日の《ティトゥス》は、空港が舞台だからビックリしないでね。このプロダクション、歌手から制作スタッフから全てがうちのハウスの専属メンバーだけで作ってるんだよ…

立ち話で近況を語る姿は、とてもお元気そうでした。

こういう生き方もある。音楽的にも、(普通なら)眠気も吹っ飛ぶような勢いの良いモーツァルト。長い夏至前のヨーロッパの土曜の夜が、やっと暮れていく。

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