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《天国と地獄》のリアリティ [音楽業界]

昨晩、六本木交差点から溜池方面にちょっと坂を下った俳優座劇場で、こんにゃく座の《天国と地獄》を見物して参りましたです。
http://www.konnyakuza.com/syusai.html
この公式の宣伝映像が、昨日のキャストさんですな。

お嫁ちゃんが関係者スタッフといろいろ関わりがあって、「こんにゃく座史上画期的なものになる」という話を聞いていて、へええええ、と思って興味本位でくっついていった。なんせ、そろそろ糠味噌になりつつある脳細胞の記憶容量をがあああっと検索しても、過去に舞台で眺めたのは旧第一生命ホール(多分)での室内歌劇場公演くらいしか出てこず、ジュピターっていうと竹澤嘉明さんの姿しか思い浮かばない、ってな情けない状況。音としてちゃんとフランス語で全曲なんで聴いたことあるのかしら。いやはや…

んで、とにもかくにも餃子食って麦酒飲んで、もう半分どーでもいいノンビリ気分で俳優座劇場のこじんまりした空間にちょこんと座った訳でありまするが…なーるほどねぇ、こんにゃく座がいつものやり方でここまで「娯楽」に徹した、という意味では、画期的だったのかもねぇ。

それなりに世代交代は進んでいるとはいえ、林光時代のコアメンバーは未だにピアノに座ったり、音楽差配をやっているわけで(昨晩はヴァイオリンが我らがももちゃん様でなくて、ちょっと残念だったけど。実は「エクのセカンド」のももちゃんさんがこんにゃく座の舞台で劇伴奏の場数を踏んでいるという隠れた事実は、エクという団体を本気で考えるときには結構重要な要素だと常々思って入るのだが、ま、それはまた別の話)、少なくともやくぺん先生らの爺入口世代とすれば、「一緒に歳を取ってきた人達」なわけでんな。

そういう人達が中心にいる今の段階で、ある意味、もうやっちゃえ、という感じで徹底して娯楽性に突っ走った舞台を出し、それが「娯楽」として完成度をもの凄く高めた商業的なものともまたちょっと違う、いかにもこんにゃく座風な足に地が付き方をしている、ってか、洗練され切っていないノンビリさというかが、そんなもんが漂う。これはこれであり、なのかどうか、このキャストの初日を眺める限りは、なんともいえん感じがしたのが正直なところでありまする。

ま、上演についてはそういうこと。当無責任電子壁新聞が言いたいのは、ちょっと違うところ。「このお話、21世紀10年代も終わろうとするニッポン国ロッポンギという空間で、どれくらいリアリティがあるのか?」ってこと。

正直、こんにゃく座がやるということで、ことによると思い切った「読み替え」みたいなものがあるのかとも思っていたわけです。だってねぇ、古代ギリシャ神話のパロディ、なんて言われても、古代ギリシャ神話そのものが「お勉強」しないと判らぬ世界でしょ、殆どの観客とすれば。オペラを散々眺めている人でも、どうなんでしょうねぇ、リヒャルト・シュトラウス後期の作品くらいじゃないと、ゼウスのご乱交ぶりなどなかなか接することが出来ない。いちばん「判りやすい」レベルとしてあるのは、恐らくはオッフェンバックの時代に「同時代」と舞台を繋ぐ役割を担っていたはずの「世論」で、ここをなにやら今風に弄ってくるのかと思ったら、そういうわけでもない。となると、「世間は不倫を許さない」という近代市民社会の一夫一妻制度を前提とした社会の在り方、という他にひっかかりはなくなってくるわけで…

うううん、つまり、「楽しかった」「面白かった」と言うのは簡単だが、じゃあ何が「楽しかった」のか、何が「面白かった」のか、案外、よーわからん。つまるところ、「オッフェンバックの音楽って、滅茶苦茶つよいねぇ!」、なーんて今更ながらの間の抜けた賞賛に過ぎないのかも…しれないし。

こんにゃく座さんを批判したり、舞台の出来をどうこう言うわけではありませんので、悪しからず。ただ、俳優座劇場を出て、目の前に広がる金曜のギロッポンの夜を前に、「♪レダのばあいにわぁあああ~」なーんて気持ちよく鼻歌してる不思議な違和感の無さはなんなんじゃろーなぁ、と思わざるを得ないやくぺん先生でありましたとさ。

こんにゃく座の《天国と地獄》、来週いっぱいのロングラン中。お暇な方は、どうぞ。

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ソウル・フィル?ソウル市立響? [音楽業界]

昨晩、今期NJPで最大の聞き物のひとつ、我らがシュタンツ御大のヘンツェなんぞのプログラムが披露され、ヘンツェよりもなによりも、最後の《英雄》のヴィオラ真ん中に置いてチェロ及びコントラバス含め弦楽器全部左右対称配置、というとんでもないステージに聴衆みんなビックリ仰天。終演後も喧々囂々、溜池近辺は不必要なまでの盛り上がりに包まれておりましたです。

ま、それはそれで、なかなか微笑ましい良い話ではあるわけですが、問題はそこではないっ!昨日の当日プログラムに記されたシュタンツ御大のプロフィルにあった記述でありまする。それに拠れば、「2017年ソウル市立交響楽団Conductor in Residenceに就任。」とある。

そう、皆さんよくご存知のように、ソウルは世宗文化会館に事務局本拠地を定めるあの楽団、チョンさん追い出し騒動の後、すったもんだの挙げ句、首席客演指揮者ティエリー・フィッシャー、レジデント指揮者シュタンツ、という二頭体制が出来上がり、音楽監督はまあいずれそのうち、って感じのことになっている。こちら、公式ページ。
https://www.youtube.com/watch?v=kR7ipP6JrX8

なんで「あの楽団」なんて隔靴掻痒な言い方をしているかといえば、それこそが今、問題にしたいことだからでありまする。

この団体、今や先々代の元大統領となった元李ソウル市長の肝煎りで、ソウル市立管弦楽団を徹底改組し、チョンさんを指揮者に迎え、バスチーユ時代からチョン氏の腹心というか、仕事仲間だったプロデューサーの仕掛けでDGとインターナショナル契約し、0年代後半から10年代初めにかけては実質上インターナショナル・レーベルできっちりCDが定期的に出る唯一のアジア圏のオーケストラとなったことは、皆様ご存知お通りでありましょう。そんな仕掛けが始まった頃は、こんな感じだったわけですな。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2005-09-06

チョンさん時代のこの楽団、基本的には日本語表記では「ソウル・フィル」ということになってました。韓国語では「ソウル市立管弦楽団」だかのままだったのだけど、少なくとも英語の公式名称はそうなっていて、世界的にもそれで通っていた。当時から名称を巡ってはいろいろ面倒なことになっていて、当電子壁新聞でも何度か話題にしてきました。これとか。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2015-12-30
様々な歴史の経緯を踏まえて乱暴に言ってしまえば、「チョン監督時代のパリ・オペラ座のオーケストラの団員が自主的にDGと契約して演奏会用オーケストラを組織し、「バスチーユ管」と名告って録音活動をしていた」というのと同様に、「チョン監督時代のソウル市立交響楽団の団員がまるごとDGと契約し、「ソウル・フィル」と名告って活動し、事務局も外国向けにはその名前に乗ってしまった」という状況だった。わあああ、すげえええ乱暴だが、ま、それなりに正確な認識なんじゃないかな。

なんせ、ソウルには昔から「ソウル・フィル」という名前のオケがあって、オペラのピットに入ったりしてたわけで、考えてみれば乱暴なことをやってたなぁ、と思わざるを得ないが、ま、それはそれ。

んで、時移り、なんのかんのなんのかんの、訳が判らないことがいろいろあり、今はチョンさんは「ソウル・フィル」は振れないし、「ソウル・フィル」の事務局はメンバーがチョンさんが今韓国でやってるフェスティバルオケなんぞへの参加するのを厳禁しているという話も漏れ聞きます。この辺り、どーなってるんですかね。「ワン・コリア管」には「ソウル・フィル」のメンバーは参加していないのでしょうかねぇ。この正月明けにやってたこれとか…
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あ、これはユース管だから問題ないのか。

もとい。韓国の音楽業界の面倒な話はさておき、我が日本語文化圏の話です。このシュタンツ氏のプロフィルを眺めた瞬間、「あ、ソウル・フィル、という表記は使わなくなったのかぁ」と思いました。それはそれで、筋の通った話。「ソウル・フィル」というのはチョンさんプロジェクトの名前で、オケはそもそも「ソウル市立響」だったのである、ということでんな。

んで、「…ということなの?」とNJPのスタッフに尋ねたらぁ…フィッシャー&シュタンツ時代になったこのオケが、「ソウル市立響」と再び公式に名告るようになった、というわけでもないらしい。どうしてこういうことになったか、ちょっと調べてみます、とのことでありました。

ま、それだけといえばそれだけなんだが、やっぱり日本語文化圏の音楽ファンの皆様に、「シュタンツ御大が今、ソウルで振ってるオケは、あのソウル・フィルですよ、チョンさんの後任ですよ」という事実は、是非ともきちんと知っていただきたいのでありまするよ。それだけのことなんだけどさ。ちなみにシュタンツ様、「ソウル市立響」での次の演奏会は、こんなに美味しいもん。
http://www.seoulphil.or.kr/en/perform/concert/detail.do
《ゲジヒネテン》は、シュタンツ様でケルンでお聴かせいただいたっけなぁ。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2013-05-02

以上、平昌冬季オリンピック開幕記念、半島ネタでありました。開会式、オケ、出て来るとしたらどこなんでしょうねぇ。ワン・コリア管なのかなぁ。ってか、オケが出て来るか判りゃせんけど。

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Gibt es einen, der nicht trivial ist? [音楽業界]

日曜朝にパリのクァルテット・ビエンナーレ最終日を抜け出し鉄路で伯林に向かい、ビエイト演出シュレーカー《ゲジヒネテン》プレミアを見物。翌日に空路LCCでブリュッセルに向かい、火曜日にはモネ劇場でピツェッティ《囚われ人》とリーム《猟区》のダブルビルを見物。っても、その間に、今のツアーとはまるで関係ないそれなりに大きな原稿をやらねばならず、電子壁新聞どころではない状況でありました。本日、DBでブリュッセルからフランクフルトまで移動、なんとか日本時間25日締め切りの原稿を無事に入れましたです。書きかけの電子壁新聞記事もあるのだが、いつアップされるやら。

てなわけで、本日は「終わった終わった」の気分でフランクフルト歌劇場で《カプリッチョ》を見物して参りました。また明日午前中からはハイデルベルクからアムステルダムと弦楽四重奏漬けですので、「インテルメッツォ」のオシマイ、って感じ。

作品が作品だけに、あんまり力を入れた感想をどうのこうの言う気にもならない、あああああこういうものもありよねぇ、またリヒャルト・シュトラウスにすっかり騙されてしまったなぁ、と思いつつも、この歳になって、冗談じゃなく30年ぶりくらい(若杉弘指揮東京オペラ・プロデュースの日本初演、確か、芝の郵便貯金ホールだった)にこの作品の舞台上演を眺め、シュトラウスが「さあ、お前の思いをいろいろとぶちまけたまえ」と涙腺に直接攻撃を仕掛けているのが手に取るように判り、それにむざむざ乗るのも悔しいので、敢えて特になにも言いませんっ!

それにしても、第2次大戦の真っ最中に、ナチスとの関係が微妙になっている老巨匠が、まあよりによってこんな浮き世離れした、でももの凄く手が込んでいて実は上演も相当に劇場の実力が無いと無理で、オケだって意図的に妙でなさそうな妙なことをいっぱいしていて…って作品、すれっからしであればあるほど引っかかる要素満載、ホントにシュトラウスってイヤな爺だなぁ、と思わざるを得ないでありまする。

なんせ、ホントにどーでもいー話を延々とやって、最後の最後に涙腺崩壊必至の間奏曲が流れ、さらには本日のかのファスベンダー様演出の舞台ではこれまでに観たこともないような奥の深い、絶対に劇場のマイン川の方に向けた裏を突き抜けてるだろ、ってしか思えぬながあああああい回廊(この装置を眺めるだけでも、この演出を観る価値はあります)の前に立ったヒロインが
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シュトラウス節全開で歌い挙げる最後の最後に、” Gibt es einen, der nicht trivial ist?”ですから…

シュトラウス爺さん、絶対、自分を含め、世間を、世界の歴史を、ホントはナチスのことも、舐めてかかってるだろ、って、怒りながら苦笑爆笑するしかない。

こういうものも、ある。こういうのを「素晴らしい」と恥ずかしげもなく言う気は、流石にまだ爺初心者として、ないけど…でも、こういうものも確かにあるだろうし、「そーだよね」と小さい声で言いそうになる自分を抑えられないのも、またホントのところさっ。

小ネタとどーでも良い楽屋落ちだけで出来た休憩無しの2時間半弱、これを最後まできっちり眺め、苦笑しながら出て来るそれなりの客がいる。それもまた、凄いこと。

そう、世の中に、どーでもよくないことなんて、あるんかいね?当電子壁新聞のモットーにしたい名言であることよ…

さて、明日からまた、若い弦楽四重奏たちとの日々。これまた、やっぱり、どーでもいいこと…そして、それでよし。


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超バイオレンス系《ゲジヒネテン》 [音楽業界]

朝っぱらにシュトゥットガルト往きICEでパリ東駅を発ち、やっと夜が明けたくらいにカールスルーエで乗り換え、10時過ぎにかの有名なインターラーケン発ベルリン東駅往きの長っぱしりICEに乗って、ほんの数分の遅れで午後3時半過ぎに終点に到着。駅にくっついた宿に飛び込み、東駅でアジア飯を喰らい、直ぐにフリードリッヒ通り駅まで戻り(なんせ週末は東駅発のリンデン通り方面行きバスがやってません)、6時開演のコミーシュオパーに飛び込んだら、ああああ、やっぱり暖かくて気持ちよくて、天下のビエイト様演出シュレーカーの《ゲジヒネテン》プレミアなのに、1幕前半はガッツリと寝てしまいましたとさ。いやはや…
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とはいうものの、演出そのものはコンセプトがハッキリしていて、ちょっと寝ていようが判る部分はちゃんと判るのじゃ。暴力と性的表現の過剰性にかけては今や並ぶ者がない「ヨーロッパ・オペラ演出界のタランティーノか北野武か」とでも言うべきビエイト御大、この一筋縄ではいかない作品に、ある意味、極めて明快なコンセプトで臨んで下さってます。

この作品、ともかくライトモチーフを用いずに後期ロマン派べたべたな濃厚な断片を次から次へと延々と重ねていくような音楽を背景に、どう考えてもまともじゃない「印付き」の連中が無茶苦茶なことをするわけでありますが、基本、やくぺん先生がこれまで眺めた3つくらいの演出はどれも、「主人公の屈折した心情」の理由がいまひとつ判らぬ、という感は否めませんでした。「容姿が醜い」「ぶっちゃけ、身体障害者である」というコンプレックスが…というのがシュレーカー自身のリブレットには言われているのだけど、金も名誉も地位もある奴がそんな容姿が醜い程度でここまでひねくれちゃうものなのだろーか、いかな「人間見かけが100%」だっけ、てな物言いがあるとはいえ、金持ってて地位がある奴なら身体障害者としてのハンディキャップなんてなんとでも出来るだろうに、って思わざるをえない。それが世の中、ってもんでしょーに。なにをそんなことでウジウジしてるんじゃ、お前は、ってね。ま、それをそう思えないアルヴィアーノくん、ってのが全てのお話の真ん中にある。

だけどねぇ、やっぱり、うううん…って感じは否めない。ビエイト御大もやっぱりそう思ったか、極めて明快な回答を設定しました。なんと、御大、「アルヴィアーノはペドフィリアなのである」としちゃった。日本では一種の諧謔をもって語られる「ロリコン」というよりも、もう完全に「児童性愛者」、それも男女問わずで性暴力絡み(ドレスを着た綺麗綺麗な美少女が、血まみれにされたりします)、というかなり悪質なタイプ。で、秘密の園「エリシアム」は、良く言えば子供の楽園です。でっかいぬいぐるみやら、ロボットやらがザラザラ並んでる世界。綺麗ないやらしーおねーさんたちが淫靡なことしてるよーな場所じゃあない。ちょっと意外にも、裸は一切なし。歌手のおちんちんなんて見られませんので、そっちを期待してる方はダメです。

この枠組で、だいたいもうどんなことになるかは想像付くでしょ。想像通りのエグい展開になります。画家シャルロッテとアルヴィアーノの愛の盛り上がりも、まあ思いっきり暴力的です。要は、この作品で屡々「エロ」として表現される部分が、全部「グロ」というか、「バイオレンス」に置き換わっちゃった、って舞台。半分寝てるような頭ではやってることの半分も判らなかったとはいえ、いやぁこれはバイオレンスじゃなぁ、ってことだけはよーく判る。児童性愛、児童虐待って、エロよりもグロよりも取り扱い難いネタでしょうから、「暴力」という極めて重要な要素は可能な限り「ないもの」にする傾向顕著な日本国文化圏なんぞでは、こんなものは観られんわなぁ。スゴいもんをみしてもらいました感はたっぷりでした。

オケは、あの狭いコミーシュ・オパーのピットからはみ出る勢いで、流石にプレミエだけあって、エッセン歌劇場でバンバンに飛ばしてたゾルテス御大がオケをきっちり鳴らし、美味しい後期ロマン派の響きをぶちまけてくれていて、舞台はともかくオケと立派な歌を聴いているだけですっかり満足させてくれちゃいましたです。

終演後、プレミアですからビエイト御大、堂々と出てきて、殆ど予定調和のようなブーイングとブラボーに曝されながらも、へーきのへーざでキャストやオケに向かって「やったね」と決めポーズをなさってました。いちばん上手側のぼーずのオッサン。風貌もそれっぽいわなぁ。
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以上、忘れないように自分のメモで書いているだけ。是非ともベルリンに行ったら眺めなさい、とは言いませんし、ビエイト演出で成功したものかはちょっと判らないけど、えらくエグいもんをみてもーた、という気持ちにはなれますよ。トレイラーはこちらでどうぞ。ちょっとこれじゃ、あの肉体張った野蛮さは伝わらない…かなぁ。
https://www.komische-oper-berlin.de/en/whats-on/a-z/the-branded/

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ヘンデルの「反戦劇」? [音楽業界]

パリ滞在最終日、去る10月のバルセロナでカタロニア独立騒動ゼネストで聴けなかったカザルスQのベートーヴェンをやっと聴き、一応、お仕事はオシマイ。で、勢いで買ってしまった世界観光名所中の名所たるガルニエ・オペラ劇場で上演されたヘンデルのオラトリオ《イェフタ》の舞台上演を見物して参ったです。明日は宿を朝の6時過ぎには出ねばならないので、こんなことしてるヒマがあったら寝るべきなんだが、今書かないと忘れちゃうから、ともかく、最低限のメモみたいな感想にもならない感想文。

ええ、《イェフタ》なんて言われても殆どの世間の人にはなんじゃらほいかもしれませんけど、音楽史的にはヘンデル最期の大傑作、後のロマン派歌劇の感情表現の先取りをしている凄い作品、と言われるもんですな。まあ、「士師記」のエフタと娘の犠牲の話なんてのは、どうなんでしょうかねぇ、日本語文化圏ではどれくらい知られているものなのかしら。聖書文化圏でも、なかなか微妙な話ですし。

要は、イスラエルの歴史書の体裁をとりつつ新約の神様になるまでのヤハヴェの姿を描いた聖典に収められた逸話でんな。ただ、今回、「士師記」なんぞ今世紀になって初めてまともに読んで(無論、ヘブライ語じゃなくてweb上の日本語ですけど)、あらためて思ったんだけど、「神の理不尽な命令に従うイスラエルの民」の姿を描く、それこそ大傑作「ヨブ記」以下、様々なエピソードがある中で、「連合戦争神としてのヤハヴェ」という極めて語りにくい部分を真っ正面から取り上げているエピソードって、ありそうで案外とないもんじゃないかい。エフタの娘の物語って、神話素としてどれくらい取り上げられてるのかしら。

ま、そういう40年も昔のやくぺん先生の本業にならなかった世界の話はともかく、本日のクリスティ御大指揮レザール・フロリサンがガルニエのピットに入り、演出は今のパリでは「のーとーりあす」な意味で話題が盛り上がっているクラウス・グートでありますから…まあ、ことがまともに進むとは思えない。ことによると、強引にハッピーエンドにしたリブレットをすっかり無視して、「士師記」のまんまに娘を生け贄に捧げちゃって終わりにするんじゃないのかぁ…なんて思いつつ、地下鉄でオペラ駅に向かったのであった。

結論から言えば、いやぁ、€165なんて大枚払ったけど、それだけの価値はありましたです。先月に出た《ラ・ボエーム》では、もう才能が枯渇したハッタリだけの爺になっちゃったんじゃないか、と地元同業者の方は散々な言いようだったグート御大、この作品では「作品は基本そのままに、今に必要なことを言う」という作業をきっちりやってました。見事なものです。

ちなみに、売り切れだったのに数日前に突然webに出てきたこの席、こんな場所。もう、かぶりつきというか、ピットの中にいるみたい。舞台の上手オケピットを眺める1列目であります。
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無論、これじゃ、舞台の上手奥は見えません。それに、遙か上にある字幕も見えません。幸いにも英語歌唱だし、ボストリッジ以下まともな発音でそれなりに聴き取れるし、話そのものはみんな知ってるものだから問題なかったけど、周りのパリジャン聴衆の皆様はなかなかしんどかったみたい。

基本、楽譜通りとはいえ、ヘンデルの楽譜(細かいことはなーんも知らんぞ、わしゃ)を2つの部分で大きく弄っている上演であったことは確かでありました。

ひとつは、本来は3幕(というのですか、オラトリオも)の作品をふたつの部分にしていたこと。冒頭のシンフォニアから、2幕の真ん中前の18番までが前半。要は、戦争に勝って戻ってきたエフタが娘に出会ってしまうところまで。で、第19番のシンフォニア以降、さああ大変なことになっちゃったぞ、ってのが後半です。この作品の通常上演がどうなってるのか何も知りませんけど、筋は通ってました。

もっと大きな弄りは、これ。
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やくぺん先生の目の前に、スタインウェイのピアノが置いてあります。これ、通奏低音をピアノでやるんじゃありません。その仕事は、写真でも判りますように、クリスティ御大の近くにちゃんと別の鍵盤がいます。

このピアノ、プリペアドされてる。で、ヘンデルの音楽にはない、実際の戦場の場面とかで、如何にも60年代前衛風な「ゲンダイオンガク」風の響きを突っ込んでくれる。そんな音楽、というか、音響の上に、パントマイムで殺し合いがあったり。長さとしてはそれほどあるわけではないのだけど、かなりインパクトはあります。

そんな風な弄りをした上で、あとは原則スコア通りに展開される「戦に勝利したら凱旋後最初に出会った生き物を捧げます、とヤハヴェに約束したエフタは、なんと愛娘が真っ先に踊りを踊って迎えてくれたので、娘を犠牲に捧げねばならなくなり、さあ大変」という物語。「士師記」では娘はしっかり犠牲に捧げられるのだけど、ヘンデルさんは流石にそれじゃ聴衆が納得しないと思ったか、最後の瞬間に天使が出現し、娘は生涯を神に捧げることになる、と改定している。

本日の上演、強引にハッピーエンドにしたヘンデルの楽譜そのままやってるんだけど…関係者はエフタ以下だーれも天使の仲裁の結果にぜーんぜん納得していない、みんな不幸になってしまいましたとさ、というお話になってました。

うん、そう、そりゃそーだ。これは演出家グート先生の仰る通りだわさ。

いかん、もう寝なければ。続きは明日、ベルリンまでのながあああい車内で、気が向いたらやります。ゴメン。

※※※

日曜の朝の7時前、パリ東駅発シュトゥットガルト往きICEに乗ってます。ええ、TGVじゃなくてICEですっ、なんか、当たった感があるなぁ。二つ目の(!!)カールスルーエで乗り換えて、一気にベルリンまで長っ走りする1日。夜はコミーシュ・オパーでシュレーカー、という娯楽デーでありまする。

んで、数時間寝る前に綴っていた話の続きだけど…作り、ってか、楽譜の弄り方というか、上演の仕方についてはそんな風。無論、グート御大ですから、所謂「モダン演出」です。

与太話にオチがついていなかったので、手っ取り早く結論だけ記してしまいますと…

この演出のお話の中身の責任者さんがやりたかったことは、極めて明快でした。「エフタが連合戦争神たるヤハヴェに最愛の娘を捧げる信仰の物語」というなんとも殺伐たる旧約歴史書的世界から、「エフタの信仰の強さにキリスト様が許しを与える神の愛と慈悲の物語」へとヘンデルが話を時代趣味に合わせてしまったものを、基本、楽譜は弄ることなく(モダンな響きのパントマイムをちょっとだけ加えるけど)、「戦争は勝っても決して喜びでだけではなく、大きな変化が起きちゃうわけで、当然ながら以前と同じ生活は出来なくなるのだ」という当たり前過ぎるメッセージにしてる。要は、「反戦劇」でんがな。

連合戦争神への勝利の捧げ物として司令官(古代の戦争ですから、ちゃんと自分で肉弾戦して沢山の敵兵を殺している)が娘を屠ろうとする瞬間、コロスたる合唱団の中からいきなり天使が現れ、「娘は屠らんでもいいぞよ、一生、神に仕えればよろし」と慈悲してくれる。そりゃ、娘の命が助かってみんな嬉しいのでしょうが、この話のポイントは、「アブラハムとイサク」みたいな「というわけで、神の前で信仰の強さが示され、その後、父と子は元気に暮らしましたとさ、めでたしめでたし」ではないところにある。イスラエルの民を勝たせ給えというエフタ大将の願いを受け入れたヤハヴェは、ちゃんとエフタやその家族関係者に大きな犠牲を強いている。娘を殺さなくて良いだけで、エフタは罪を背負い続け、娘は愛する男と結ばれることもならずに悲嘆の人生を生きる。

グートの演出は、「生き残ったけどめでたしめでたしにはなりませんでした」という部分を、思いっきり強調します。結果、聴衆は「なんでこんなことになるんねん?」と思いながらおうちに帰ることになる。で、まあいろいろみんな勝手に思うのでしょうけど、ネトウヨみたいな余程かわった人じゃ無い限り、「だからやっぱり戦争はマズいよね」と、ちょっとは感じるだろー…。

…なーんて演出家が考えたのか、判りゃしません。でも、「エフタの犠牲の物語」を21世紀の今に少しでも意味のある形で、二千数百人の世界中から集まって来てる烏合の衆に観せるだけの意味のあるものにしようとするなら、このやり方は間違っていないと思うです。グート御大、《ラ・ボエーム》はホントに酷かったらしいけど、まだまだちゃんとしてるじゃないか。

てなわけで、もの凄く眠いんで、これでオシマイ。ストラスブールに到着するくらいまで、外はずっと真っ暗なままでしょう。あ、そうそう、クリスティ御大も、凄くお元気でした。ほれ。
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今回のパリ滞在、このクリスティ御大といいブロムシュテット御大といい、アメリカ人爺さんが元気だったなぁ。←深い意味や比喩はなし!

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1945年に18歳だった合唱ボーイが逝く [音楽業界]

昨日、日下部吉彦氏の訃報が伝えられました。享年90歳。
https://www.asahi.com/articles/ASKDZ4WRJKDZPTFC003.html
東京の音楽ファン、関係者の皆様には「へえ」でオシマイの話かもしれませんけど、大阪文化圏では音楽業界関係者を越えた追悼の声が挙がっていることでありましょう。なんせ、「音楽評論家」とかいうよりも、こういう方ですからね、大阪のある世代にとっては。
https://www.youtube.com/watch?v=BjymqCgfxeE

やくぺん先生の個人的な気持ちとすれば、非常に失礼ながら、「どうやって引退するべきか」をいろいろ考えさせてくれる先達でありました。大阪室内楽コンクール&フェスタのフェスタ部門審査委員長としてのお付き合いが殆ど全てだったわけだけど、自分が責任を持たねばならぬイベントをどう愛するべきか、どうやって身を引くか、というひとつの事例を拝見するような気持ちでおりました。

その意味で、嗚呼この方、ってか、この世代らしい終わり方だなぁ、と思わされたのが、いずみほーる「ランチタイムコンサート」最終回でした。残念ながらあたくしめはニホン国にいなかったので参上できなかったのだけど、こういう演目で「自分のやってるコンサートシリーズ」を終えた。
http://www.izumihall.jp/schedule/concert.html?cid=1443

「リベラルだった人」という言い方もあるようだけど、そんな面倒なことじゃなくて、「1945年に18歳で、それから同志社に入ってグリークラブやってたにーちゃん」がまともに生きてくればこういう風に考えるようになる、というだけのことなのでしょう。自分が生きて、90歳になり、21世紀初頭のこんな社会が出来てくるところを眺めていればどう感じるか、というだけのこと。

その意味で、誠実に、勝手に生きた方だったのでしょう。ランチタイムコンサート最終回前に設定された記者懇談会で、若い記者連中を「なんであんな報道してて平気なの」と叱りつけるというか、呆れてるという方が正しいのだろうという感じの発言を盛んになさり、記者連中が下向いてニヤニヤするばかりだったお姿が昨日のことのようです。
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日下部先生、やくぺん先生もみんなから嫌がられる爺になるよう頑張りたいと思いますです。合掌。

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名古屋の結婚式場オルガン引取先探してます [音楽業界]

「よくある話」といえばそれまでなのだけど、関係者や当事者にとってみれば唯一無二の大変な事態なのであることはよーく判りますので、何も出来ないとは知りつつ、お知らせしますです。以下、連絡があった方のメッセージを基本、貼り付けます。

※※※※※

名古屋の結婚式場結婚式場「グランティア名古屋」が、リニア計画に伴い2017年12月~18年1月営業終了。式場に設置されたパイプオルガンの行方が課題となっています。ビルダーはカナダ、Casavant Frresからヤマハが輸入、設置した楽器。
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ヤマハとはボランティアの方が連絡をしているものの、これといった動きはないもよう。
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18年3月半ばまでに解決したい、とのこと。何もしなければ解体、産廃として廃棄される。

現在、名古屋在住のキリスト教徒の方が動き、カソリック名古屋教区他での協議待ち。

※※※※

以上です。関係者の方は、「せめてサヨナラ演奏会くらいしたい」とのことであります。

写真も来ましたので貼り付けましたが、まあ、大きな楽器ですね。これじゃ、完全にそれ用の部屋を用意しなければならないから、急にといわれてもねぇ。

誰が考えてもいちばん良いのは、まずは「結婚式のときにこのオルガンで門出を祝って貰った少なくない人々に声をかける」ことだとも思うのですが、教会ではなく民間の結婚式場のようですから、個人情報をそういうことに使うわけにもいかないのでしょうねぇ。

この話で「いかにも」ってか、時事ネタっぽいのは、老舗結婚式場が閉館する理由です。こちら。
http://www.grandtiara.com/ekimae/wedding/news/news01/entry-11868.html
あああ、どう考えても無用の長物、リニアのお陰なんですなぁ。式場側としては、リニア駅を作りたいJR東海に古くなった結婚式場を売り払って別の所に新しい施設を建てられるのだから、それはそれでOKな話なのでしょうけど、そこにこの楽器を移設するなんてことは考えてもいないのかしらねぇ。いやはや…

余りにも半端な情報ですけど、「そのオルガン、おれが買う」などと言いそうな方がいらっしゃれば、ご連絡いただければ幸いです。

[追記]

今、ボランティアで東京で動いてらっしゃる方から連絡があり、昨日の名古屋教区司祭団忘年会で話題になったそうです。関係なさってる司祭様もいらっしゃったそうで。で、やはりあれだけ規模が大きい楽器となると、名古屋教区では直ぐに引き受けられるところはなさそう、ということです。

[追記の追記]

12月30日夜の段階で、少なくとも1件の真剣な問い合わせがあり、名古屋で動いている方におつなぎしました。このようなソーシャルメディアでの情報拡散には、情報のコントロールが出来ないということからもいろいろなご意見はあるようですが、なんであれ、とにもかくにも上手い具合に事が進むめば良いのですが。

ちなみに、すっかり書くのを忘れてましたが、オルガンの譲渡そのものは「無償で」とのことです。ま、ただほど高いものはない、に近い話ですけど。

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ハノイ初の教会コンサート [音楽業界]

一応、「音楽業界」カテゴリーかな。実体は「たびの空」なんだけど。

昨日、ハノイ市内の大観光地(物理的に広い、という意味)旧ハノイ城跡遺跡の北、大統領府やホーチミン廟からもほど近いクァバック・カトリック教会で、「クリスマス・コンサート」が無事に開催されました。ここ。
http://www.giaoxugiaohovietnam.com/HaNoi/01-Giao-Phan-HaNoi-CuaBac.htm
へえ、ハノイでもそういうのがあるのか、とお思いでしょうし、実際、それだけのことであるといえばそれだけのことなんだけど、「無事に」という副詞を敢えて被せてあるのは決して意味がないことではない。指揮を執られたヴェトナム国立管音楽監督本名さんに拠れば、ともかくここに至るまで苦節何年だかの大変な道のりがあったそうな。なんせ、カトリック教徒の人口が2割くらいというこの人口1億に迫ろうというかつてフランスが宗主国だった国で、教会内部でのクリスマス・コンサートというのは前代未聞、全く初めての試みだったそうでありまする。

きちんとした取材じゃなくて酒飲み話、事実関係を確認したわけではないので細かい事情は記しませんけど、よーは、社会主義国に於ける教会という人が集まる場所の在り方、ましてやハノイの丸の内というか霞ヶ関というか皇居周辺というか、そんな位置づけの場所の凄く目立つ大きな教会となれば、いろいろと御上も気になるし、教会側もいろいろ忖度、とは言わぬが、配慮をしていた、ということでありますな。なんせ、本番数日前に御上からいろんなことを言ってきて、中止になるかもしれなかったという。

切符を売るのではなく、日本円でお一人様500円くらいのドーネーションを御願いします、と呼びかけて入口で徴収するチャリティ・コンサート、主催はゲーテ・インスティテュートで、教会はあくまでも会場を貸した、という形になっている。ドイツから歌手が2人招聘され(アルトさんはフランス人だそうだけど)、ヴェトナム側からはソプラノさんと、一昨年の《かぐや姫》でもエンペラーを演じたバリトンさんが参加。合唱団はハノイ・カトリック青年合唱団にハノイ・オペラハウス合唱団が加わり、オケは無論、ヴェトナム国立管でありまする。

なにせこの街ではかつて起きたことの無いイベント、表の差配を含めどうなることか判らぬ一発勝負イベントだったわけで、やくぺん先生とお嫁ちゃんも開場の1時間近く前には教会に到着。
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表でドーネーションのブースが作られたり、トナカイ髪飾りやサンタ帽子
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はたまたマグカップなどいかにも教会ドーネーション屋台の立て込みなんぞが行われてる。
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なるほど、こんなノンビリした感じなんね、と安心して、本名さんお薦めの道を渡った(この作業がいかに至難か、この国の都市部の交通事情を知る方にはお判りであろー)向かいにあるコーヒーハウス「コバ」に上がり込んで、ううん、確かにモダンアート連中はこの国に関心あるわなぁ、とさりげなくふるぼけカッコイイ店内に満足し
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気持ち良い椅子に座りこんでヴェトナム珈琲をいただき、クリスマス前の宵、道を流れるオートバイの無茶苦茶さを眺めていればいくらでも時間の経つのは忘れる状況なれどそーゆーわけにもいかず、おっともう開場15分前を切ったでは無いか、と慌てて再び決死の覚悟で道を渡り、ではあらためて、とホーオジサンの赤いお札を出して2人前、チケット代わりに当日プログラムをいただき、教会横に仮設された臨時駐車場に次々と乗り付け始めるバイクを眺めているのであった。

そうこうするうちに午後7時もまわり、教会正面の扉も開き、人々がだだだだああああ、っと流れ込む。ぼーっとしているうちにあっと言う間に中央の席は埋まり、あれよあれよ、後ろから数列目をなんとか確保するのがやっとの田舎者。なんせ定員などのない教会、席はなくなり補助席が出され
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うしろは立ち見でぎゅう詰め状態。
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東京の消防署が見たら卒倒しそうな状況でありまする。各国大使も招待されているらしいけど、VIP席まで溢れかえっていて偉い人も座るところがないみたい。

かくて開演時間を押すこと10分ほど、ハノイのゲーテ・インスティテュート所長さんが短い演説をし、どんな風に楽器が配されているかなどまるっきり判らないままに本名さんが登場、まずはバッハの《管弦楽組曲》第3番がやたら響いて弾いてる皆様には聴きづらそうな空間に響き渡る。続いて合唱と独唱者が登場し、モーツァルトの《戴冠式ミサ》が高鳴る。ま、たしかにこの空間ではヴァン・スヴィーテン男爵のところで勉強した後のポリフォニー志向のミサだったらグチャグチャになっちゃうだろーなー、と納得しつつソプラノのアリアなどを堪能させていただいた次第。

アンコールに「主よ、人の望みの喜びよ」をやって(カトリック教会だけどいいでしょ)、最後はしっかり《きよしこのよる》で締め括り、大拍手の中に大混雑のハノイ初の教会でのクリスマス・コンサートは幕を閉じたのでありました。
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協会関係者の方は、想像以上に大変だったので毎年というわけには、と仰ってるそうだけど、そんな大人の事情はどーあれ、目の前でトナカイになって踊ってる女の子や、サンタ帽子を被って指揮してる男の子なんぞにしてみれば、「子供の頃に行ったクリスマスコンサート」の想い出、連れてきているお母さんにすれば「お前はあのとき全然聴いてなかった」と一生繰り返すであろうネタとなったことでありましょう。

普通の、当たり前のことが、当たり前に出来る幸せ。単車の群れの照らす光に浮かぶ、Merry Xmas in Hanoi!

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大フィル聴衆はカモなのか? [音楽業界]

ある関西の大学の先生から、こういう詐欺があるらしい、ということを教えていただきました。昨日今日のことではなく、もう話は収まっているのかもしれませんけど。
http://www.osaka-phil.com/news/detail.php?d=20171125

余りに興味深いので、自分のメモのためにコピペしておきます。内容が内容だけに、事が収まったらなくなってしまうリンクの可能性がありますからねぇ。

※※※※

2017.11.25
【大阪フィル・チケットセンターを騙る電話にご注意ください!】

定期会員各位

 昨日以来、定期会員様より「大阪フィル・チケットセンターから定期会員更新手続きの件で、との留守電が入っていた」「今回郵送物送付に不備があったので、この電話で手続きをします、との連絡があった」などのご報告が複数件寄せられております。
 大阪フィル・チケットセンターからは、定期会員様へ更新手続きに関するお電話を差し上げておりません。

 今後、そのような電話がかかってきた場合、くれぐれも個人情報を開示されないようご注意願います。
 また、もし不審な電話を受けられた方がおられましたら、大阪フィル(06・6656・7711)迄ご報告いただけますようお願い申し上げます。

 ※なお、大阪フィルは電話番号を非通知設定にしておりませんので、必ず「06・6656・4890」「06・6656・7711(7701)」の番号が表示されます。「非通知設定」の番号からおかけすることはございませんので、ご注意ください。

※※※※

というわけで、何があったのか、その後どうなったのか、関係者に尋ねてみたいところだが、用もないのにお邪魔するのもなぁ。その後の詳細、事件の経緯など、ご存知の方がいらっしゃいましたら、お教え下さいな。

それにしても、大フィルの定期会員の更新で動くお金って、最大に考えても数万円なわけです。会社とか組合が福利厚生で何十人も定期会員になっている、なんて例があるのならともかく(あんまりあると思えない)、この話はあくまでも個人会員向けての電話みたいだし。

身元がバレない電話1本とはいえ、なんだか不思議な話であります。大フィル定期会員って、もの凄い資産家かなんかと思われてるのかしら。そもそも、どうして電話番号が流出しているのかしら。

考え始めると、なにかホントはもっと深い裏があるのではないか、と思えてしまう。ま、「皆様、お気をつけて」という感じがあんまりしないのは不幸中の幸いでしょうかね。

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ヴァーグナーで何を喰らうか:シカゴ編 [音楽業界]

時差調整程度に考えてたシカゴ・リリック・オペラの《ヴァルキューレ》が、予想外、といっては失礼ながら、あっと驚く猛烈に充実した内容で、ぶっちゃけ、21世紀に出されたこの作品演出のいいとこ取り、いろんな意味での集大成だったんで、そっちについてもちゃんと記さにゃならんと思うのだが、長すぎる新暦霜月晦日の深夜、もう頭が動かないので、どーでもいいことを先に記しておきましょ。

そー、すっかりシリーズ化しつつある「ヴァーグナーで何を喰らうか」でありまする。この問題、既に議論は提起してあるのでありますが
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
その結論でありまする。

朝の7時前にオヘア空港に到着、なんのかんので遅い昼をシンフォニー隣のパンダ・エクスプレスで喰らってしまったために、頑張ればなしでいけるかとも思ったが、流石にそれもキツい。決して狭くは無い筈のシカゴ・シヴィック・オペラハウスのロビーに入るや、中は大混乱。というのも、沢山の人々が《ヴァルキューレ》飯の予約に並んでるんですわ。選択肢は、上の記事に記した通り。

んで、結局、これにしましたです。
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選択肢は
$15 Nigiri &Maki Combo
$12 Maki Combo
$8 Single Maki
の3つ。それぞれに中身は選べて、あたしゃ$12のセットを選んだら、California, Spicy Tuna, Shrimp Tempra, Salmonからの2つのチョイスで12個のマキだそーな。で、カリフォルニアと海老フライ巻きを選んだで御座いますよ。
お名前は、ええとぉwatanabe,まあ、あたしの眼科の先生の名前と同じね、と仰るオバチャンに、じゃあ2幕の後にします、と御願いし、現金で払い(カードもOKでした)、引換券をいただくのであった。なんと、どっかからケータリングするんじゃなくて、演奏の間に板前さんがお店の奥で握ったり巻いたりするようです。

幕の間の休憩は30分しかなく
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ちょっと外に行くには時間がなさ過ぎる。で、このヴァーグナー飯、大盛況であります。最初の幕間ったら、サンドイッチバッグやらスシやらを頼んだ方々で、ゴージャスなアールデコのロビーが溢れかえる。なんせ、喰らうところはないし、外は寒いし街の真ん中のビルで運河の畔で喰らうなんてことも無理。結果として、こんなことになる。
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寿司屋さんの周りは、ヴァーグナーと思えぬ酸っぱい香りが漂います。

さて、ブリュンヒルデが空中を飛ぶグラーネの上から荘厳に宣言する「死の告知」のシーンから、それまで全く出てこなかったヴォータンの槍が象徴的に闘う2人の間に上空から振って来てノートゥングを叩き割るもの凄くカッコイイ戦闘シーンを経て、感動盛り上がりっぱなしの2幕が終わり、カーテンコールをやってるのに、さっさと平土間5番扉横の寿司屋さんにヴォータンに追われるが如くに飛んでいき、オバチャンからスシをいただきます。これ。
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へえ、これでこの値段なら、普通のスーパーと同じじゃないの。結構、お得。飲み物を寿司屋さんで売ってないのはちょっと困るけどさ。

幸いにもひとつ席を確保し、さっさと喰らうのが勿体ないまったりしたアボガド、意外にもぱりぱりの海老のドラゴンロール、あああああ素晴らしきかなアメリカンSUSHI!

結論:やっぱりヴァーグナー見物はドラゴンロールで決まりじゃ!なんせ次はドラゴン退治の《ジークフリート》だもんっ!

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