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ミュージカルとか映画とか [音楽業界]

領収書の束を前にぼーっとしてる間に、ふと気付くと目の前に4本も原稿が溜まってしまった。まずい、ってわけで、少しは頭を使う作業をやってるので、今日はお気楽ネタ。

春節前くらいになると、9月からシーズンが始まる地域のオケやオペラから、「さあ、次のシーズンのラインナップが決まったぞ、世間に告知しろ、切符の予約をしろ」というリリースが次々舞い込みます。インターネットでの情報のやり取りが当たり前になってからは、ちょっとお仕事で連絡を取っただけのところでも何の因果かメーリングリストに入れられてしまい、スペインから来週のプレミエに招待するけど来い、なんて「ううん、そんなこと言われても困るよねぇ」ってな連絡も気楽に来たりする。素晴らしい世界になったものでありまする。はい。

そんななかで、メイジャークラスの団体のリリースで興味深いネタをふたつ。ひとつは、天下のNYPであります。毎年、1月の終わりくらいにでっかいリリースが送り付けられる。ある時期まで、1月半ばから下旬のプレジデンツデーくらいまではいつもマンハッタンに滞在する日程だったもので、NYPの次期シーズン発表の記者会見なんぞを面白がって見物に行ったりしたこともあった(なんせ、サイトウキネンでその辺に座ってお母さんや妹の練習を眺めてたアランが監督になる、なんて事件もあったもんだから)。そのときのリストがまだ残っているらしく、あたしにくれてもねぇ、というようなもんが送り付けられてくる。

まさかまんまここに貼り付ける訳にはいかないでしょうから(貼り付けられちゃうのがオソロシー)、面白いところを抜粋します。ひとつは「バーンスタイン生誕100年に向け、秋のバーンスタイン交響曲全曲演奏」ですな。これ、第2番の独奏ピアノが小曽根さんなんで、日本でも話題になるといいんですけどねぇ。

もうひとつは、なんと言ってもこれ。えいっ、ぺと。

WORLD PREMIERE OF STAR WARS FILM CONCERT SERIES

The New York Philharmonic will present the World Premiere of the Star Wars Film Concert Series, September 15?October 7, 2017, featuring screenings of the complete films A New Hope, The Empire Strikes Back, Return of the Jedi, and The Force Awakens with Oscar-winning composer John Williams’s musical scores performed live to the films. The concerts will be led by acclaimed conductor David Newman.

Since the release of the first Star Wars movie nearly 40 years ago, the Star Wars saga has had a seismic impact on both cinema and culture, inspiring audiences around the world with its mythic storytelling, captivating characters, groundbreaking special effects, and iconic musical scores composed by Williams. Fans will be able to experience the scope and grandeur of these beloved Star Wars films in a live symphonic concert experience, as the Star Wars Film Concert Series premieres from September 15 through October 7 at David Geffen Hall in New York City. Legendary composer Williams is well known for scoring all seven of the Star Wars saga films, beginning with 1977’s Star Wars (Episode IV: A New Hope), for which he earned an Academy Award for Best Original Score. His scores for Episode V: The Empire Strikes Back, Episode VI: Return of the Jedi, and Star Wars: The Force Awakens each were nominated for Oscars for Best Original Score.

Williams has won five Academy Awards, four Golden Globe Awards, seven British Academy Film Awards, and 22 Grammy Awards. With 50 Academy Award nominations, Williams is the Academy’s most nominated living person and the second most-nominated individual in history, after Walt Disney. In 2005 the American Film Institute selected Williams’s score to 1977’s Star Wars as the greatest American film score of all time. The sound track to Star Wars also was preserved by the Library of Congress in the National Recording Registry, for being “culturally, historically, or aesthetically significant.” Williams was inducted into the Hollywood Bowl’s Hall of Fame in 2000, and he received the Kennedy Center Honors in 2004, the National Medal of Arts in 2009, and the AFI Life Achievement Award in 2016. Williams has composed the scores for eight of the top 20 highest-grossing films at the U.S. box office (adjusted for inflation).

The Star Wars Film Concert Series is produced under license by Disney Concerts in association with 20th Century Fox and Warner/Chappell Music.

へえええええ、でんな。「スター・ウォーズ」の第4部から第7部まで、NYPのライブで上映しちゃうぞ、ってさ。誰がどう見ても年末の第8部リリース(なんでしょ)に向けた盛り上げイベントなんだろうが、ま、天下のにゅーよーくふぃるのブラスセクションが叫ぶ《帝国軍のテーマ》ですから、もうこれは盛り上がるなってのが無理な話でありましょう。

あとは、ま、関心のある方はNYPの公式ページを眺めて下さい。もう一般向けの告知もある筈です。

もうひとつ。今朝来ていたのが、シカゴ・リリック・オペラの来シーズンのアナウンスメント。無論、《リング》サイクルの《ヴァルキューレ》があるとか、まともなもの並んでるんだが、やっぱり目を引くのがこちら。こっちはURLを貼り付けちゃいます。
https://www.lyricopera.org/concertstickets/calendar/2017-2018/productions/lyricopera/jesus-christ-superstar-tickets?utm_source=Email_marketing&utm_campaign=Thursday_February_9_2017&cmp=1&utm_medium=HTMLEmail
なんとなんと、シカゴ・リリックオペラのあのでっかい劇場で、《ジーザスクライスト・スーパースター》でんがな!

昨今、特にヨーロッパの地方劇場では所謂「ミュージカル」というのは極めて重要な演目になっていて、それこそベルリンやらヴィーンのコミーシュ・オパーでも《マイ・フェア・レディ》とか盛んに上演されている(よね?これまた、なーんも調べずに書いてるぞ)。だから、シカゴでこの作品が本格上演されても不思議はなにもないのだが、やっぱり「へええええ」と思わざるを得ぬでありまする。

帝劇じゃなくて初台で《ジーザスクライスト・スーパースター》、オケは東フィル、なんて、あったら絶対見物にいく…かな。

21世紀、世の中ちょっとづつかわってる、ってことですな。うん。

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月はどーして出ている? [音楽業界]

やくぺん先生としてはとっても珍しいことに、東京文化会館で藤原歌劇団さんのプロダクション、《カルメン》を見物させていただいたです。
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つらつら考えるに、藤原歌劇団って今世紀になって初めてだし、《カルメン》のステージでのフルプロダクションも見物するのはもう何十年ぶり、って感じだなぁ。前にいつ眺めたかの記憶がまるっきりないもん。情けなや。

てなわけで、最近のこの作品の解釈トレンドやら、いろいろ面倒な問題がある筈の版についてやら、なーんにも知りません。アホがポッカリと口開けてぼーぜんと眺めてた、ってだけのこと。とはいえそれだけじゃ、いくらなんでもいろいろ手配頂いた方々に失礼この上ないので、アホなりに感じたことを恥も外聞もなく記させていただきまする。

さても、この舞台、気になったことがふたつあるでした。ひとつは、ほぼ最初から最後まで舞台の奥に出ていて、でかくなったりちっちゃくなったり、真っ赤になったりしていた月であります。
全く個人的には、《カルメン》という作品は徹底的にラテン系の光がぱあああああっと射しているような、あのくそ暑い夏の雨なんて降らないスペインの真ん中辺り、という場所が決定的な意味を持っていて、基本、3幕を除けば全てはあの強烈な太陽の下でスッカラカンと起きているものだ、と信じておりました。音楽もそうだし、出て来る人間達もそうだし。

だから、いきなり舞台が上がってそこが夜、タバコ工場も夜間営業、幕切れの闘牛もナイター、ってなると、あれえええええ、と思ってしまうんですよ。もう、もの凄く違和感感じまくり。ま、終幕の闘牛に向かう人々が「血と黄金の旗」を振りかざす違和感みたいなとは違う、もっと生理的な違和感ですね。

無論、演出家さんはそんなことは百も承知で、この作品の真昼のイメージをひっくり返したいから敢えてやってるんだろうけど…じゃあ、そうする説得力があったかと言えば、ま、ううううううん…これは《サロメ》なんかい、ってね。

もひとつ。これは結構、細かいけれど本質的なこと。《カルメン》って作品、それこそトランプ新大統領なら「こいつらみんな米国に入れないぞ」と宣言しそうなしょーもない連中ばかりが出て来るわけだが、当然のことながら行動原理の根底にあるのは「暴力」でんがな。で、その象徴として、ライフルやら拳銃が散々出て来る。舞台に出て来る男共は、闘牛士を除けばみんな銃器で武装している。

その銃器の持ち方なんですわ。ぜーんぜん、重そうじゃないんだわ。

普通の多少ともに写実的な舞台演出なら、銃器の取り扱いはかなり重要な演劇的意味を持ってきます。つまり、「あれ、あの男、ピストルを軽々と扱っているけど、あれってもしかしてホンモノじゃなくてモデルガンだ、という意味なのかしら?」と聴衆は思うわけですよ。例えば、御上の偉いさんの到着直前にフィデリオが銃を構えるとき、それが軽そうにかまえることで、聴衆は「あ、レオノーレさん、もしかしたらハッタリかましてるのかな」と思うわけです。そのことで、場面の意味が微妙に違ってくるし、緊張感も違ってくる。ホントに銃器を扱うときの筋肉の動き、身体の構え方など、大事な演劇の言葉になるわけですな。

それが、ぜーんぶモデルガンみたいなんよ。

結果として、密輸団も用心棒チンピラ共も、みんなインチキっぽく見えてしまう。

そんな風に見えるのはあんただけだよ、と言われればそれまでなんだけどさぁ、昨日の舞台は、それが気になって気になって。演出家さん、そういう動きって、まずは歌手を指導するときの基本中の基本でしょ、ってプラカード掲げたい気分でありました。はい。

ついでに言えば、ってか、これは相当に重要な問題なのかもしれないんだけど…この演出、舞台に登場する出演者の数はもの凄くいっぱいです。それがかなり激しく動く。結果として、舞台上の音楽以外の音がとても大きくなる瞬間があるのですね。特に第2幕の頭など、その傾向が非常に顕著で、何が起きちゃうかというと、ピットの中のオケの音が聴こえなくなっちゃうんですよ。
最近のムジーク・テアター系の演出ではしばしば起きることで、日本の聴衆も経験したものでは、例えばミュンヘンと共同制作、ってか、ミュンヘンの舞台を持ってきた初台の《ヴォツェック》、それなりに高い評価を得て地上波でもNHKが放送してた奴なのでご覧の方も多いと思うんですが、あれ、ずーっと舞台に水が張ってある。で、歌手や役者が動くと、ピチャピチャ音がするんですね。これって、《ヴォツェック》みたいな音楽だと、もうどれが音楽でどれが騒音か分からなくなってしまう。
あれほど意図的ではないにせよ、シュトゥットガルト歌劇場で眺めた《ペレアスとメリザンド》も、繊細な響きのオケの上でバッタンバッタン舞台が転換していき、演出家を殺したくなりましたね。いや、ホント、ああいうのはいまどきの中学生やトランプ氏なんぞがお気楽にお使いになる「殺すぞ!」という言い方を使いたくなっちゃうわなぁ。

で、この《カルメン》の舞台、そのどっちともちょっと質は違う、単に「舞台の上がバタバタうるさい」という状況だった。それにもってきてバタバタやってるのが合唱団だったりするものだから、ホントにオケが聴こえなくなる。場面が変わって誰も居なくなると急に繊細な響きが耳に入り出す。となると、これはもう指揮者さんが演出家さんと喧嘩をして「オケ聞こえないから、そこんとこなんとかなりませんか」とやらなきゃマズいところなんじゃあないかしら。

…ってなことを幕の間にロビーで出会った知り合いの方に小声で洩らしたら、なんと指揮者さんはオペラを舞台付きで指揮するのはこれが初めてとのこと。なーるほどぉ、と納得はしたものの……そんなもん、納得しちゃダメでしょ、やくぺん君!

そんなこんな、ホントに久しぶりに見物した名曲オペラのちゃんとした舞台、いろいろ勉強になりました。ありがとうございますです。なにより、聴衆がとってもあったかかったのにはちょっとビックリ。この優しさは指揮者さんやオケを育てる方向に向かえば良いんですけどねぇ。関係者の皆様、失礼な意見、多謝。

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3年目のふきのとうホール [音楽業界]

札幌駅から地下道を抜け、南西の端っこでちょっと地上に上がり、一ブロックほど雪の積み上がった歩道を慎重に歩いて、ふきのとうホールに行って参りました。無論、道路は白く凍り、歩道脇に雪がうずたかく壁を作っている時期に来るのは初めてです。
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目的は勿論、そろそろこのホールでの「若手演奏家レジデンシィ」も道の半分に至ったクァルテット・ベルリン東京の演奏会。もう5回目になるんだなぁ。
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モーティくんに拠れば、このフォーメーションになってまだ4ヶ月目とのこと。半分台湾の血が流れる新ヴィオラくんには、ベルリンで慣れているだろう寒さはともかく、この札幌住民も半世紀ぶりとビックリしているこのドカ雪はどうなんでしょうね。

さても、足かけ3年目となるこの会場、「六花亭のメセナ」、というよりも、「六花亭社長のサロンにようこそ」という空気は相変わらず、というよりも、真駒内のお菓子屋さんホールでやってたことをこの市内の専用空間を活用しつつやるやり方が板に付いてきたようであります。お菓子屋さん本店や喫茶が混雑する土曜日午後は、流石に2つしかないエレベーターでの上層階ホールへのアプローチが混乱するのは致し方ないものの、ホール階を通り越して10階の練習室兼用小ホールに向かえば、そこでは真駒内ホールでの演奏会同様に立派なケーキとコーヒーが振る舞われます。もうこれだけで座って喰らえば1000円也は確実にするであろうちゃんとしたチョコレートケーキセットで、雪に埋もれた円山公園方向を眺めながら慌てふためいていただくのが勿体ないくらい。このホール、主催公演の場合は、絶対に早く行くことをお薦めしますです。はい。

やくぺん先生ったら、たまたま岡山先生ご夫妻とエレベーターホールで一緒になってしまい、ほらほらケーキ、ほらコーヒー、と奥様に振る舞われてしまうという情けない状態。ちょっとした手違いで大通りの方から道庁前抜けて歩いてきたんだけど、そんなに消耗して見えたのかしら。いやはや。岡山先生、お元気でいらっしゃり、大いに安心しました。とはいえ、せっかくの機会だからと前から訊ねたかったベルリン東京との関係を恥ずかしげもなくお尋ねすると、やっぱりクァルテットとして教えたことななく(だって、チェロとセカンド主導でベルリンで結成され、直ぐにオリーのところにいっちゃったわけだもんねぇ)、もりやくんが学生時代にやっていた弦楽四重奏団をとこさんと一緒にみた、とのこと。なるほど、納得でありまする。その意味では、岡山先生とすればアルモニコみたいな心配をする必要はないのだろうから、良かった良かった(?)なんでしょうねぇ。

で、残された最後のひとりとなって慌てて開演5分前に6階のふきのとうホールに向かいます。それにしてもこのホール、消防法をどうやってクリアーしたのかと心配になるくらいロビーからオーディトリアムへのアプローチが狭い。日本のこの類いのホールでは一番狭いんじゃないかしら。香港ジョッキークラブ円形劇場へおアプローチ、とまでは言わないが、ちょっと日本列島にある会場としては異例だなぁ。不思議でありまする。

ベルリン東京の中身については、モーティくんが自分で仰るように、まだまだ「これが新しいフォーメーションだっ」というよりも、それぞれの美点をあらためて舞台上で確認し合う最中という感はあり、まあ「若手レジデンシィ」という演奏会シリーズの性格はその意味では正にその通り。有り難いことに、どういうわけか満員の聴衆はそれをネガティヴに捉えている感じはなく、札幌出身のチェロさんと仲間達の育ち方を暖かく見守っている空気はしっかり漂っている。そういう意味ではパッケージとしての「六花亭のふきのとうホール」は上手くいっているじゃないの。

地元の方に拠れば、どうやらはっきりと「ホールにつく客」が出来ているそうで、「六花亭ポイント400点集めると4000円相当のチケットに交換出来ます」なんてやり方でやってくる「六花亭」という北海道が誇るトータルな文化の中に、バターサンドもストロベリーチョコも《ラズモ》第2番もみんな一緒に詰まっている、って世界がしっかり作られている。じゃあ、この方々が北星学園でエクが《ラズモ》第3番をやるから…といって喜んでくるかどうかは、正直、全然判らない。札響メンバーがキタラ小ホールで作品131をやるからもう狂乱して雪を踏み越えてくるとも思えない。宗次さんみたいな意外にも「音楽」に特化した社長さんの趣味のサロンともまた違った、「企業」のイメージにしっかり包み込まれた空間。

でも、これはこれで、あり。「日本の小規模個人主催者」というよりも、「ウルトラ小規模起業メセナ」のひとつの在り方、まあ、大いに誤解されるであろうことは前提に敢えて言えば、「超小型サントリーホール」なのかなぁ。

札幌という規模の、特に冬に来ると極めて特殊としか思えぬ街でしか成り立たない、言葉の最良の意味でのメセナがここに展開している。

《ラズモ》2番終楽章をアンコールに繰り返し、ガッツリとコートを着込んで足下を固めた善男善女が、心を熱くして寒い夕方の街へと繰り出していく
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「それならベートーヴェンじゃなくたって良かったじゃん」と言われればそれまでだけど、やっぱりこの街の冬を乗り切るにはあれくらい高カロリーな精神は不可欠だもんね、って思えるんだらか、それもそれでありでしょ。

ふきのとうホールに行くなら、やっぱり厳冬期。

[追記]
今、LCC最終便で成田に到着、成田第2ターミナルビル駅からの京成上り最終便で葛飾オフィス厄偏舎に向かってます。2日目、日曜日の演奏会は、10階を演奏会で使っていたためにケーキのサービスはありませんでした。その代わり、なのでしょうけど、帰りに御菓子の袋をくれました。ホントの「袋菓子」でありまする。こんなん。
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中を開けると、こんなん。
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京成アクセス特急のひこーきデザインのシートもお洒落でしょ。

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中学生と駿州翁媼と [音楽業界]

香港でのバタバタ、当電子壁新聞用の下書きはいくつかあるんだけど、ほーりだしたまんまでありまする。ま、いずれノンビリとアップするやも、ってこと。

さても、うちの若い者のキックオフ・パーティというお祝い気分ながら、世界中からいろんな連中が新大陸東海岸の寒い寒い大学街に集まり、弦楽四重奏を弾くというだけの目的で運命共同体を形成してる「アメリカのひとつの良心」みたいな連中が家族連れで居る中に、「あんたの仰るアメリカってなんのこっちゃ?」のアメリカいちばんトランプ大統領就任という事態が重なって、飯の話題もどうしてもそっちに向かってしまう香港の数日でありました。そんな春節前のお祭りの日々も過ぎ、17度くらいの寒い寒い香港から、気温はもうちょっと低いかも知れないし梅もまだだけど遙か霊峰富士聳えポカポカ陽光うららかな静岡に来ております。こんなん。
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ひょんなことから、毎年(のような気がするけど、そうじゃなかったかな)当日プログラム曲目解説を書かせていただいている、「静岡の文化財団が地元中学生を立派なコンサートホールにご招待し、ズラリ楽器を揃えたプロのオーケストラの演奏を聴いてもらおーじゃないかい」って趣旨の演奏会。グランシップ・コンサートホールの客席は制服の中学生で埋まり、学校の先生が遠足に行くときみたいに付き添っている。
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とはいえ、ちゃんとレセプショニストも入り、一般の聴衆も少ないながらチケットを買って客席に座っています。なんせ中学生の数は、どんなに調整しても客席数ピッタリになる筈もない。今日明日各2公演をやると、極めて半端な数の席が余ってしまう。じゃ余らせとくのもなんだし、ってことで、子供らは出来るだけ「良い席」に集め、2階の後ろの方の余った客席を1500円也で一般に販売してる。担当者さんによれば、完全に一般開放で中学生の保護者などに限っているわけではないとのこと。
静岡交響楽団はあるものの、昨今の都市部では大流行の「平日の昼間っから妥協無しの演目を聴かせるちょっと短めのコンサート」はまだまだ開催が難しい静岡、「これを期待してるお客さんもいらっしゃるんですよ」という担当さんの話も納得いきます。これ、昼間のお招き方アウトリーチでは良い方法なんだけど、案外、やってるところは少ないんですよねぇ。はっきりと後援スポンサーなどがある場合、席が余っているからといって有料切符を売るのは難しいという事情は理解出来るものの、「お招き方アウトリーチの余った席は市民に激安で売ってしまえ」というのはありだと思うんだけどなぁ。

もとい、てなわけで、円光寺さんのきっちり真面目なお話を交えつつ、《こうもり》序曲、ラヴェルのピアノ協奏曲、そしてチャイコの《ろめじゅり》という1時間ほどのプロをホールいっぱいの中学生とちょっとのじいちゃんばーちゃん静岡市民が朝から聴いたわけであります。

中身について言えば、やっぱり「ソナタ形式を用いてストーリーを描く交響詩」って、そんなんに誰にでもアクセシブルな訳ではない、ましてやシェイクスピア悲劇をなぞっているとはいえ、いかにも音楽的な舞踏会や葬送行進など一切無く、抽象的な理念を先行させたようなチャイコフスキーの若書き、こっちも敢えて読者対象中学生という妥協はせずにゴリゴリに書いた曲目解説ですから、うううん、どうだったんだろーなぁ。すくなくとも、今、演奏が終わった比較的若い感じの中学生諸氏には、ちょっとしんどかったかな、と思わぬでもない。ま、難しいものもある、ということに触れていただくのもこういう機会なのだから…(と、担当者さんには強弁したのであった)。開演前に懸命に当日プログラムを読んでいたそれほど多くはない子供らの中には、なる程そんなもんか、と思ってくれる奴が数人いれば、ま、へっぽこ三文売文業者やくぺん先生とすれば成功なのであーる。うん。

ま、最後の曲がどうあれ、その前に演奏されたラヴェルのト長調協奏曲、特に第2楽章の真ん中から後ろは、21世紀日本列島中央部の静岡地方に住み生活する普通の13歳くらいの人類にも「なんかすごぉい」としっかりアピールするものがあったようなので、この演奏会、静岡の財団がやった意味は大いにあったと納得するのでありました。

終演後、予算という大人の事情はしっかり踏まえつつ、「やっぱりチャイコは難しいですねぇ、ホントは《ボレロ》とかやれれば…」なーんて、オケ関係者と本音トークが漏れちゃうのはしょーがないか。

旧正月直前の駿州、まだ日は高し。次は2時からの公演、明日も切符ありますから、お近くの方、ラヴェルだけでも聴きに来る価値ありますよ。

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香港国際室内楽音楽祭の発展 [音楽業界]

長く立ち読み下さっている皆々様はよーくご存知のように、当電子壁新聞は「書いてあることはみんな嘘、信じるな」と並び、「表のメディアで書けない事を書く」ことを標榜しております。前者同様、後者にもいろいろな意味があるわけで、それはもう勝手に解釈していただくしかないわけですが、本日これから記すのは典型的な「日本語の音楽関連メディアが記事として買ってくれない」こと。つまり、こっちは本気で表の作文にしたいのだけど、買い手側が「そんなの誰も興味ありませんよ」と買ってくれない類いの内容であります。だから、珍しく、本気の中身でありまする。以上、前口上オシマイ。

さても、連日気温17度くらいで湿度は60%くらい、こことすれば猛烈に寒い香港に来て数日。町ゆく人はジャケットどころかコートを羽織り、スターフェリーに乗るなら襟巻き巻いちゃうよ、って勢い。北緯35度近辺から来た人間には、なんか丁度良いくらいの爽やかさだよね、って感じられるんだけどねぇ。

来週末に旧正月を控え、なんとなく年末の慌ただしい空気が漂う春節前の厳冬の香港で、今から7年前に「Hong Kong International Chamber Music Festival」なるイベントが始まりました。無事に毎年開催され、今年で8回目。
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http://www.pphk.org/concerts/festival-2017/
正直、当初は、返還前から続く香港春節からイースター頃までの大イベント「Hong Kong Arts Festival」(日本では「香港芸術祭」と翻訳され、今年で45回を数えるそうな)が室内楽部門を充実させて、そこだけ一ヶ月早く開催するようになったのか、と勝手に思っていたのですけど…
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10
ぜーんぜんそうじゃなかった。ほれ、いかにこの電子壁新聞が「書いてあることはみんな嘘、信じるなぁ」であるかを証明するような話であるなぁ!←威張れることか、と自分で突っ込んでおこー

とにもかくにも、おお、もう3年前になるのか、2014年1月に出かけて、そのときは諏訪内さんなんかが出たこともあって、表のメディアにも商売になったのでありました。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2014-01-16

困ったことにパリの弦楽四重奏ビエンナーレとモロに開催時期が重なっているため、それ以降は1月の半ばはパリと香港を交代に訪ねるようになり、ええ、今回で3度目の訪問になるのかな、香港は。

流石にこれだけの回数を重ねて見物していると、このフェスティバルそのものだけではなく、香港芸術祭との関係を含めた位置付けなんぞもそれなりに(あくまでも「それなりに」ですけど)見えてくる。なるほどねー、だったり、おいおいおいおい、だったり、ま、いろいろだけどさ。

てなわけで、香港地下鉄レッドラインの終点荃湾駅にほど近い荃湾大会堂で開催されたこの音楽祭初の郊外市民会館での公演を聴き、地下鉄と空港鉄道乗り継いで慌てて深夜便の出発に遅れぬよう急いでいるこの瞬間に、現時点での総括をしておきましょか。ま、自分のためのメモでありまする。ご関心の向きは、お覗き下さいませ。真面目に書き出すとホントに商売用原稿になっちゃうので、箇条書き風にチャチャっと。

◆香港政庁との関係

なんといってもこの音楽祭、やくぺん先生も最初は誤解していたように、面倒というか微妙というか、穏当な言い方をすれば、興味深い、のは香港政庁との関係でありましょう。なんせ、直ぐ数週間後には実質上香港の最もオフィシャルな大総合アーツ・フェスティバルたる「香港芸術祭」が控えております。かつては、ってか今もなんだけど、香港芸術祭には室内楽枠がひとつあって、ジュリアードQやらリンゼイQやら、所謂著名団体が毎年ひとつくらい招聘されておりました。思えば、ロバート・マン翁が抜けた後、初めての新生ジュリアードQを聴くためにノコノコ訪れたのも20世紀終わり頃の香港芸術祭だったっけ。

で、この「香港国際室内楽音楽祭」は、主催は御上や行政絡みの財団ではありません。主催するのはPremiere Performanceという民間団体です。こちらがディレクターさん。
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彼女のパワーだけでやってる、といえばそれまで。

じゃあ、行政とは全く関係ないかと言えば、そんなことはない。この音楽祭、メイジャーなイベントは始まる前、西暦の年明けくらいからプレイベントみたいな形で地元演奏家によるアウトリーチなどもそれなりにやっていて、なんせどこでも持って行ける室内楽、香港各地でやってるわけですよ。そういう活動も評価されてか、いつからだか知らないけど(商売原稿だったら調べるけど、こんな無料の私設壁新聞じゃそんなこと調べる手間をかけるわけにいきません、悪しからず)香港政庁の文化担当局だかがマッチング・ファンドをしてくれるようになった。ええ、めんどーなんでマッチング・ファンドというやり方については今更記しませんから、分かんない方は勝手に調べるよーに。よーは、御上が半分財政の面倒をみましょう、ということになったわけです。

となれば、当然、これまで以上にきっちり「香港市民納税者のために」公演を行わねばならない。というわけで、今回からはいままでの本拠地だった香港シティホールだけではなく、地方でも本公演をやるようになりました。で、今、その初のローカル公演としてセントラルから地下鉄で30分程行った終点、荃湾大講堂で音楽監督チョーリャンがセシルとメンデルスゾーンのニ短調トリオ弾いたり、ボロメーオQがもの凄い説得力ある《セリオーソ》弾いたりしたわけであります。
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あたしゃもう帝都湾岸にちょっとだけ戻ってますけど、明後日は最終公演として九龍の山の向こう、沙田の市民会館に行くそうな。まあ、香港市民の感覚からすれば、天理とか藤沢くらいまで来てくれた感じかな。

先程、クライバーン・コンクールで辻井氏と優勝を分けたチャン・ハオチェンくんがセシル・リカドと連弾だか始めるのを聴かずに吹っ飛んで出て来た荃湾の市民会館、構造はなんとまぁ、シティホールの大ホールとまんま同じ設計図じゃないのと思うような場所で、聴衆はそれほど多くはなかったけど、なんといっても若い人達が一生懸命聴いていたのがとっても印象的でした。1960年代の日本の聴衆みたい、とまでは言わないけど、こういう人達がきっちり歳を取っていってくれる幸せな世界が続いて欲しいものであるなぁ。

◆教育期間との関係

この音楽祭、チョーリャン氏が連れてきた演奏家でマスタークラスなどを行うという活動は最初から行っていたようですが、今回はもうひとつ突っ込んだ状況になってます。というのも、初の試みとして「レジデント作曲家」を置いたことがあります。ベルリンフィルのヴィオラ奏者だったことでも知られるオーストラリア人作曲家ブレッド・ディーンを据えて、自作をヴィオラで弾いたり、ボロメーオQに加わって自作ばかりかモーツァルトの五重奏を弾いたり。
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ええ、ご覧のように、電子譜面じゃないところにいるのがディーン氏であります。

こういう人がいるとなれば、香港警察裏というか、ジョッキークラブ隣というか、なかなかスゴい場所にある香港藝術院が放っておく筈がない。音楽院で作曲のマスタークラスをやったり、「現代音楽とは何か」だかいうレクチャーをやったり。そればかりか、今回はニックというオタク・レベルを突き抜け今やボンのベートーヴェンハウスも本気で作業に強力している奴のやってる、東京の聴衆もお馴染みの「ベートーヴェンのオリジナル譜面には、校訂者が捨ててしまった情報が山のようにあるぞ」話をやるターゲットもいるわけです。で、当然、後ろにオリジナル譜面を投影しての《セリオーソ》演奏、なんて演奏会も音楽院ホールでやる。
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こういうことが出来る、それも英語で一切通訳無しでやれるわけだから、それに反応できる聴衆がどれだけいるかはどうあれ、スゴいことになってるわけですわ。

なお、ボロメーオQはふたつの学生団体にマスタークラスも行いました。彼らの到着前に《セリオーソ》でアウトリーチなんぞをやってたのは、ヴィルタスQ(おおおおおお!)なる名前のマカオの子がファースト弾く団体で、いやぁ、こてんぱんというか、ガッツリやられてましたねぇ。全然めげてなかったけどさ。

◆「アジアの室内楽」としての位置付け

中身的に最も重要なこと。8回目となる今回、メイン会場をこれまでのシティホールの大ホールから、上の劇場に移動し、規模を室内楽として適正化しました。これが入口で
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上のボロメーオQとディーン氏の五重奏の写真がステージ。やはり集客で厳しい室内楽、日本フィル香港公演もやった大ホールは流石に大きすぎる感があったのが、こちらは適度のパツパツ感で遙かによろしゅーありまする。響きは…まあ、聞かないで下さいな。でも、広すぎて聞こえないよりは余程良い。うん。

そんな中で展開されたアンサンブルは、ボロメーオQみたいな「出来上がった団体」が質をしっかり保証する一方、これまではどうしても時間が足りない感が漂っていた「こっちに来てから必死に練習しましょう」アンサンブルの中身が飛躍的に良くなりつつあるのが印象的でした。チョーリャンとか重鎮がともかくまとめる、というのではないレベルの再現がなされるようになった。特に印象的だったのは、Haochen Zhang, Kristin Lee, Cho-Liang Lin, Brian Chen, Li-Wei Qinというオールアジアのメンバーによるフランクの五重奏でした。個人的には好きかと問われるとハイとは言いにくいが、ある種の水準はあり、ある種の説得力はあるから、「俺はあれは嫌いだ」とも言えるレベルの演奏。もしかしたら、かつて20世紀後半に日本の一部エリートマニアさんが「アメリカの室内楽」と唾棄したような音楽は、21世紀には「アジアの室内楽」と言われるんじゃあないかい、とすら妄想しちゃったりして。←わああ、すげええネガティヴ評価に聞こえるなぁ…

そんなこんな、来年以降もこの時期に予定される「香港国際室内楽音楽祭」、こんなに気候の良い香港も珍しい時期ですので、お暇な方は是非どうぞ。

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「音楽祭の成功」って? [音楽業界]

当電子壁新聞を立ち読みにいらっしゃるような皆々様ならば、とっくにご存知でしょうけど、金沢のラ・フォル・ジュルネがこういう音楽祭になるようであります。
http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20170113/CK2017011302000025.html

このイベントを巡って、先月初めくらいに梶本音楽事務所がこんなステートメントを出し
http://www.kajimotomusic.com/jp/news/k=2609/
なんだか大変そうですねぇ感バリバリだったわけでありますが、最終的に「あんかなをメインに据えた別の音楽祭を同じ時期に開催する」ということになったわえですな。

個人的に言えば、この騒動を巡っては特に関心も無いし、何が問題だったのか知りたいとも思いません。ただ、新音楽祭の起ち上げを巡る記者会見報道などを眺めるに、うううん、と思ってしまうところがあるですよ。
http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20170113/CK2017011302000025.html

ぶっちゃけ気になったのは、「前田会長は「一年目なのでメンツにかけても成功させなくてはならない」と強調。」というところです。メンツはどーでも良いが、「成功」という言葉を使う以上、音楽祭組織の中に評価委員会みたいなものでも設置するのかな、と思ったら、どうもそういうことでもないみたい。評価委員会があるならどういう顔ぶれを並べたのかしら、というのが一番関心があったところなんだけど。

もうひとつ、テーマがベートーヴェンって、正に最初の有楽町のラ・フォル・ジュルネを思い出さざるを得ないわけでありますが、大いに残念なのは交響曲、協奏曲、ピアノ・ソナタは全曲やるというのに、室内楽は特にアナウンスがないこと。そんなものやると「成功」の足を引っ張りそうだから、なんて理由だったらイヤだなぁ。

残念ついでに記せば、プロデューサーを世代交代しなかったのも、もの凄く残念です。
http://mainichi.jp/articles/20170115/ddl/k17/040/156000c
せっかく仕切り直し、出直しをするなら、やっぱりプロデューサーを30代まで若くし、前の音楽祭からやってきた功労者は裏にまわって支える形に出来なかったんですかねぇ。世界の業界を眺めるに、やっぱりちょっと異例な高齢っぷりであることは否定しようがないでしょう。

いろいろ事情はあるのでしょうが、新しい若いプロデューサーを据え、ルネ・マルに対抗するキャラを前面に押し出すという手はなかったのかしら。そういうことがあれば、連休は金沢に詰めなきゃ、と思ったろうに。

来年以降に期待しましょ。続けば、なんでしょうが。

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来シーズン演目発表の季節 [音楽業界]

クリスマス休暇が終わり、新暦の新年が明け、旧正月のお休みで日本以外の東アジア圏では大移動大混雑の時期となるまでは、世界の音楽業界公報さんが滅茶苦茶忙しいときです。この頃、各劇場オーケストラ、秋からの次期シーズン・ラインナップを一斉に発表することになるからであります。

早速、昨日から今日にかけ、いくつかの発表があり、リリースが流されてきたりしてます。まずは、一応は納税者たる我が日本国のナショナル・シアターの秋からの演目発表がありました。ほれ。
http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/170112_009606.html
うううん、やっぱりなんといっても《松風》ですな。これ、「新制作・日本初演」と謳ってるんだけど、歌手はともかく演出装置指揮全て、この前香港でやったお馴染みの初演チームですわなぁ。「安心の伝統ブランド」ということで、まあいかにもこの劇場らしいけど、こういうのを「新制作」というのはいかんせんどうなんじゃろかね。初台のスタッフは香港にも来てたから、いろんなことは良ーく判ったうえでものを言ってるんでしょうが。正直、初台の大劇場には正直デカすぎる。これは中劇場でやるべきでしょう。切符の値段を高くしても来る奴は来る、安くしても大劇場では集客が大変なのは目に見えてるわけだし。

それから、なんといっても期待はびわ湖ホールのプロダクションを持ってくる《ミカド》でんなぁ。不敬罪と御上が騒ぐくらいの演出をやってくださらないと、「国立劇場」でやる意味はない演目なんだが、どーなんじゃろか。日本センチュリーを連れてくる、ってのもスゴいぞ。

蛇足ながら、世界の常識に則り、隣の劇場の方も覗いてみると…
http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/170112_009746.html
へええ、『トロイア戦争は起こらない』って、滅茶苦茶懐かしいなぁ。なんか劇団四季が旧第一生命ホールでストレート・プレイ盛んにやってた頃みたいな気分に…。

さてと、我が国ニッポンちゃちゃちゃは自決覚悟の大散財五輪に向けてこんな調子なところ、北米からの第一報が来ました。トロントのカナディアン・オペラ・カンパニーからです。ヨーロッパなら人口10万人の街の劇場まですっかり情報が飛び交う昨今の日本語文化圏、なぜか北米アジアは圧倒的に情報がなく、あまり話題にされることもないようなので、お伝えしましょう。問題ないだろうから、プレスリリースをまんま貼り付けちゃいます。えいっ。
COC Release - 17-18 Season News - FINAL.pdf
新演出もいろいろあり、レバノン系カナダ人演出家さんの《後宮からの脱走》なんて、どう考えてもいろいろありそうな話題の出し物もあるけど、個人的にはやっぱりカナダが誇る(っても、フランス語圏だが)ルパージュの《ストラヴィンスキーいろいろ》でしょうね。これって、どんなんねん?なんか有名な舞台らしいけどさ。
http://www.coc.ca/PerformancesAndTickets/1718Season/NightingaleShortFables.aspx?agilitychannel=website&utm_source=wordfly&utm_medium=email&utm_campaign=SeasonAnnouncement17%2F18&utm_content=version_A&promo=12036
ま、トロントは直行便がいくらでもありますし、冬はアホみたいに寒いけど劇場もアクセスしやすいので、お暇な方は是非どうぞ。以上、完全に各団体公報さんの代理作文でしたっ。

[追記]
翌朝起きたら、サンフランシスコ歌劇場からのアナウンスメントが来てました。週末前に情報だけ送っちゃえ、ということですね。来シーズンの中身ではなく、「17日昼の12時半から来シーズンの発表を行います。ストリーミングもやります。ピーター・セラーズとかジョン・アダムスも登場しますので、よろしく」というものであります。SFって、今は時差17時間だろうから、ええと、要は日本時間では18日の午前5時半、ってことですな。ま、ご覧になりたい方はSFオペラの公式サイトを眺めてみて下さいな。

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ストラヴィンスキー再発見曲アジア初演はソウル [音楽業界]

ストラヴィンスキーの若書き、《葬礼の歌》(仮題ですう、誰か早く定訳を決めてちょ)初演というか再演を巡っては、世界中で争奪戦が繰り広げているのは当電子壁新聞でも記した通り。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2016-11-22
復活初演はゲルギエフ指揮で昨年暮れに行われているわけで、そのフル映像はこちら。
http://www.medici.tv/?utm_source=youtube&utm_medium=social&utm_campaign=youtube-description#!/valery-gergiev-stravinsky-chant-funebre
この先一気に人気曲になりそうなこの楽譜、アジア初演はシンガポール響なんで話もあったような気がしたけど、とにもかくにも、今月20日にシュタンツ指揮ソウルフィルが、ソウルのロッテホールで演奏するらしく、これがアジア初演になるようであります。
https://www.lotteconcerthall.com/eng/Performance/ConcertDetails/257486
あ、シンガポール響は、「東南アジア初演」になってますな。悔しそうだなぁ。
https://www.sso.org.sg/media-release-detail.php?c=28&desc=Media+Releases&p=17375&t=stravinskys-rediscovered-funeral-song-to-receive-southeast-asian-premiere-in-singapore-with-charles-dutoit-in-february

あたくしめは幸か不幸か、1月20日は香港でボロメオQ演奏会の後に「もぐらくんバチュラー・キックオフパーティ」が予定されているんで、今更どうしようもない。ちょっと残念だが、まあ、いずれ直ぐにどっかで聴けるでしょうし。

てなわけで、どなたか、お暇な方、聴きに行って下さい。今ならソウル二泊三日新春初売り3万円切り、なんて各旅行会社のサイトがやりまくってますから、お得でっせ。よろしくぅ。

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上野学園について [音楽業界]

当電子壁新聞を立ち読みなさってる皆々様には、今更お伝えするようなことではないでありましょうが、改めてこういう声明が出されたので、紹介させていただきます。なんせ、いろんな事情で当電子壁新聞では敢えて触れていなかったネタでありますが…。

新年初仕事として某媒体に2016年回顧のような作文をしているのだが、そこでもこの問題に触れないわけにはいくまいなぁ、と彼方此方弄り回していたら、昨日、こういう声明が出されたのを知りました。
http://reformug.web.fc2.com/20161230yokoyama01.html
どうやらFacebookを本拠地にしているようで、下のURLが「ホームページ」ということになるのでしょうか。この辺りも、2017年っぽいですな。今世紀初めのカザルスホール騒動の頃には、インターネットがやっと武器になるかどうかの状況だったことを考えると、ホントに情報系だけは目まぐるしく動いてる。
https://www.facebook.com/ugtsukurukai/

で、この横山氏のステートメントに賛同し、「新しい上野学園を作る会」を支持するのであれ、このタイミングに増えすぎた音大を減らして国内人口規模に比例した数に適正化するべきだと思われるのであれ、「石橋メモリアルホール」というハードウェアがどうなるのか心配だというのであれ、この問題、この春に向けて劇的な動きもあるやもしれぬということで、知らんぷりも出来ないでありましょう。

相手が学校であれ会社であれ、理解関係が異なる人々が集まっている集団である以上、いろんな意見はあるはずです。それぞれの人が「何がいちばん大切なのか」をハッキリさせれば、その人なりに自ずとどう考えるかは決まってくるでありましょう。「生徒(中高校生)・学生(大学生)」「卒業生」「スポンサーとしての親」「雇用者としての教職員」、などなど。ただ、やくぺん先生としてひとつだけハッキリ言えるのは、最も大事にする必要がないのは「オーナー一家」の利害や意向、ということ。そこさえ間違えずにみんなが動ければ…

なんにせよ、学校って組織は、「日本」という枠組を外すのにいちばん一生懸命であるくせに、いちばんそれが難しいというのはなんとも皮肉であるなぁ…などと他人事みたいなことを言ってるわけにもいくまいて。

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N響1962年アジア演奏旅行録音のCD化を希望す! [音楽業界]

年も押し詰まり、11月の文化庁芸術祭参加公演に対する結果が発表されております。詳しく知りたい方は、文化庁芸術祭でググって下さいませ。

ヤマカズⅡが持ち出しでやったという日本フィルのみなみお先生演奏会が大賞だかを獲る、なーんて、みんな狙っていろいろ仕掛けるわけだがこんなに上手くいくのも珍しいくらいな目出度いことになっていて、それはそれでホントにお目出度い。
https://www.japanarts.co.jp/news/news.php?id=2455
いろんなタイミングが上手くドンピシャに填まるとこういう風になるんだよねぇ、という感じでありまするな。

んで、録音ものでは、こういうことになってるようです。
http://www.hmv.co.jp/news/article/1605240026?utm_source=mxx000339ww&utm_medium=mail&site=hmv_extra_in74

これもねぇ、なんか、そうとうにひねくれたもんとも言えるヤマカズⅡ&みなみお先生と流れは同じように感じなくもない、直球ど真ん中な「戦後日本音楽史回顧」系の受賞でありまする。やっぱりヨーロッパの放送局には探せば残っているのだなぁ。

これが出て評価されるなら、やっぱり是非とも次に期待するのは、1962年秋のアジア公演の録音でありましょう。ぶっちゃけ、日本の演奏史、というか、アジア圏のクラシック音楽演奏史に於いても、極めて重要なイベントなわけで、イベントとしての歴史的な意味から考えれば「敗戦国のオーケストラが頑張ってやってきた」に過ぎないヨーロッパ公演よりも、遙かに意味がある。例えばシンガポールなど、こんな感じの報道ですから。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2015-07-20
この公演を仕切った方が、後の独立後のシンガポールのクラシック音楽界で極めて重要な人物になっていって…などという話もあるわけです。その辺り、誰かがきちんと突っ込んで欲しいけど、それはもう、N響事件、日フィル分裂騒動など全てが「歴史」でしかない世代がやるべきことなのでしょうねぇ。わしらは、きちんと資料を後に伝えるところどまりなんだろうなぁ。

その意味でも、きちんとした資料として、アジア・ツアーの音を探して、世に出して欲しいものであります。このディスクが褒められたことが、NHK内部でのそういう作業をしようではないかという機運の盛り上げにでもなると良いのですが…やっぱり「欧米」じゃなきゃダメ、なのかしら。

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