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大分でMusic in Museum [Music in Museum]

福岡空港ラウンジです。ホントに久しぶりに、羽田に戻ります。なんか、行きは路線バス、帰りはタクシー、って感じ。

さても、まだ間に合うか、急ぎの告知です。明日土曜日6月6日、大分の市内に新しくオープンした大分県立美術館で、クスQがミュージック・イン・ミュージアムをやります。って、まんま、演奏会の題名がそうなってます。どうも公式のページには告知がないようなので、こちら。ちゃんと出て来るかな。
https://m2.facebook.com/bivioita/photos/a.524475064336471.1073741828.524474524336525/763585033758805/?type=1&refid=17
午前11時と午後2時の2回、場所は美術館演奏会の定番のアトリウム。無論、無料です。なお、この新しい美術館にはどうやらオーディトリアムはないそうな(なんせ向かいにいいちこホールがありますからねぇ)、この場所でやるのがどういう効果があるのやら。スイマセン、道の反対側から眺めただけなんで、判りません、ゴメン。

ちなみに、美術館そのものはこんな建物。今時の美術館って、教育プログラムやら、こういう音楽やら舞踏、はたまた演劇なんぞまでやることを前提に設計されているようですね。美術館にも「アーツセンター化」というホール業界で起きてるのと同じ事が起きている。時代がそういう風になってるんだなぁ。
https://www.opam.jp/page/construction.html
設計なさってる方の名前は、なんか昨日ゆふいんでも新しい美術館の設計を巡って出て来たような気がするのだが、うううん、記憶が定かではないなぁ。困ったもんだ。

もとい、で、クスQと赤坂さんが披露くださるのは、昨日の向かいのホールで弾いた五重奏なんぞです。昨晩の演奏会、「まともな五重奏の演奏会が大分県内で行われるのはゆふいん音楽祭が無くなって以来」なんて触れ込みだったわけだが、極めて興味深いものでした。ぶっちゃけ、五重奏って、「出来上がった四重奏+ひとつ」という書き方になるわけで、ロマン派以降は作曲する側もある程度以上のアンサンブルは前提に作品を出してくる傾向にある。で、中声が充実するのは当然だけど、その結果、「ミニシンフォニー」みたいな音楽になるわけで、沢山聴くのも、沢山弾くのも、なかなかヘビー。

その意味では、前半にモーツァルトがあれやこれやと模索してみている楽譜をやり、それも思いっきり個々人のパートを前に出すようなやり方でやり、後半には一転、響きの充実っぷりをしっかり聴かせるブラームスのト長調(それにしても、なんでこれをト長調で書くかなぁ、ブラームス、って気はするものの)をガッツリ鳴らす。五重奏というものの多様性を見せてくれる、なかなかに良く出来た一晩でありました。終演後、聴衆にサインするクスQの皆々様。
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おや、見たような顔が、と思う方もいらっしゃるかも。あたしがゆふいんから強引に引っ張ってったんじゃあありませんからね。

さても、大分でのミュージック・イン・ミュージアムを終えたら、クスの皆々様はもう関東にやって参ります。考えてみたらチェロ君は首都圏初お目見えじゃないの。晴海でお馴染みだった方も、是非どうぞ。

富山県内コンサート・スペースのベストはどこだ? [Music in Museum]

旧こしのくに音楽祭、「とやま室内楽フェスティバル」も大詰め、サントリーホール室内楽アカデミー学生らが魚津の合宿所に籠もって積み重ね、アウトリーチに出かけてブラッシュアップした成果の発表も行われ、後は明日の学校アウトリーチが残されるだけ。爺らは一足早く、立山日本アルプス飛び越えて東京湾岸に戻ります。来年もあるそうですので、県内の皆々様、若い連中を宜しくお願いいたしまする。春にはまたオーディションが行われ、来年はフレッシュな顔ぶれでの登場の筈。

さても、今回、川1本越えるとガラリと文化が変わる富山の各地の公共施設や民間のコンサートホールではない場所での演奏会を数日でゴッソリ眺めました。列挙しますと、「ウィングウィング高岡1階ロビー」、「富山県高岡文化ホール大ホールロビー」、「富山県民会館1階ロビー」「富山水墨美術館エンタランスロビー」、「富山県立近代美術館ロビー」、「高志の国文学館ライブラリーコーナー」、「岩瀬町酒商田尻本店」、以上です。県がやってる音楽祭なので、当然ながら県立の施設が中心で、支援する民間の関連施設も加わる、ということですな。

以上のコンサート・スペースを「室内楽コンサート・ヴェニュ」という視点でやくぺん先生の独断と偏見による評価をさせていただきますと、トップは圧倒的に水墨美術館であります。数日前に「皇帝」第2楽章のビックリ映像をアップした場所でんがな。
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富山駅やら市役所やらからチンチン電車で神通川を超えたところ、殆ど川原にあります。広大な敷地に平屋の和風モダンな建物がL字型に置かれ、川に沿って長い辺があり、展示室が並び、反対側はすっきりした芝生の庭が広がる。エンタランスなどの短い辺が付いており、その入りっ端をコンサート・スペースにしてます。当初、入口右横のレクチャールームを会場にしようとの意見もあったそうですが、最終的には庭を眺めるオープンスペースになった。

この場所、意外にも音が良いんですわ。高さがあるわけでもないし、全部ガラスで弾いてる連中には後ろからがんがんと自分らの音楽にガラス面が共振しているのが感じられるそうですけど、でも何故か音はまるで石造りの教会堂の中みたいな響きがある。とてもそうは見えないんだけど、必要な音がまわってきます。無論、こういうコンサート・スペースとしては比較的良いということで、コンサート用の空間とは比べものになりませんけど、これだけちゃんとしてれば問題もないでしょう。こういう場所でのアウトリーチではお喋りが必ず入りますけど、スピーカーを通しての声もワンワンになったりせずに必要な情報が伝達されておりました。

この先、この場所でレギュラーで開催されるのか知らないけれど、富山在住の音楽ファンは注意して告知を眺めているとよろしいんじゃないでしょうかね。

この会場、もうひとつ楽しいのは、山側から富山湾に向けて風が吹くときには、神通川川原空港に向けて飛行機が頭の上を下りてくこと。なんも知らないと、相当にビックリします。
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地元の方は慣れっこになってるみたいだけどさ。条例で都心部上空は絶対に飛行機が通らない巨大な田舎東京都民とすれば、博多とか富山とか、市内を飛行機が突っ切ってく街って、なんかスゴイ都会って感じがするなぁ。幸か不幸か福岡や伊丹ほど頻繁に離着陸はなく、練習中とコンサート終演後に演奏者の皆さんが地元ケーブルテレビだかの取材に対応しているときに787が下りてきたんだけど、意外にもそんなにうるさくない。うるさくない筈がないのだけど、あまり気になりません。不思議なもんです。

美術館としては「こしのくに音楽祭」時代から美術館コンサートを行っている近代美術館、ここはポスター収集で有名だし、滝口コレクションもあるし、なんといってもシモン・ゴールドベルクの個人収集していたものが収まっているわけで、美術館としては出かける価値がある場所なんですが、コンサート・スペースとしては今ひとつであります。上は高いし、それなりに良い筈に思えるのだけど、チェロばっかりがんがんに聴こえる空間になってしまってます。
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なお、耐震基準の問題からこの建物は近く廃止され、美術館は駅の北口のオーバードホールの隣だかに引っ越すそうな。建物を新しく作る、ってことなんでしょうかねぇ。太っ腹だぞ、富山県!

もうひとつ、昨年に完成した元知事公邸跡地の「高志の国文学館」は、もの凄く近くで演奏してくれて雰囲気も良いのだけど、天井がまるで反響が期待出来ない空間で、全部音が抜けちゃう。ちょっと残念です。

民間ヴェニュでは、岩瀬の造り酒屋さんのコンサートが雰囲気最高でした。ここ。
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北前船で栄えたかつての港街で、裕福な商家が並ぶ街並みは一種の保全地域になっている。その中の酒屋さんの奥でエクが弾きました。木造で、天井も高く、良い音になるかと思ったら、ちょっと弦楽器とは違うかなぁ。ももちゃんさんによれば、弦の音色的にはとても良い空間だそうだが、後ろの方にいるとまるで音が届いてこない。かぶりつきなら最高なのかもね。ちなみに、前の方は座布団席でした。

てなわけで、富山県内、コンサート・スペースのベストは水墨美術館ロビー、ということで決まり。聴きたい人は、来年の「とやま室内楽フェスティバル」をお待ちあれ。

ザルツ山頂で「4’33”」を聴く [Music in Museum]

そもそもは、ルール・トリエンナーレで上演されているケージの「ユーロペラ1&2」を見物するつもりでした。でも、流石に籠の百年祭とあってか、もの凄い人気で瞬く間に売り切れてしまったようで、今回のツアー日程を決めてる頃にはもう切符なんて全然なかった。で、昨日は予備日になってしまい、しょーがないからザルツの宿が存外安かったんでもう1日滞在し、ツィメルマン独奏のルトスワフスキの協奏曲でも聴いていくか、€70の切符ならまだあるしさ、それにしても、これ、クリーブランドだったら真ん中よりは上の席だよなぁ。

んで、このルトスワフスキに関して言えば、いきなりメスト御大が舞台でマイク持って「今朝、ツィメルマン氏から病気でザルツに行けないという連絡がありました…」ってことになり、先週にルツェルンで初演されたばかりのドイツの若手作曲家、ミヒャエル・ピンチャーの2台トランペットの協奏作品になったりして、このところシュトックハウゼンとかB.A.ツィンマーマンとか、はたまたこの昼のケージとか、20世紀後半の超大物のトンデモナイ化け物作品ばかり聴いてきた耳には、久しぶりに懐かしくもちんまりと業界内にまとまった現代音楽に戻ってきたなぁ、なんて失礼この上ない感想を抱いたりしたわけだが、ま、それはそれ。

ええ、昨日のハイライトは、失礼ながら音楽祭に客演したクリーブランド管弦楽団ではなく、祝祭大劇場の岩山がザルザッハー川に迫る東の端っこから有料エレベーター(昔はオーストリア国鉄がやってたけど、やたらと綺麗になった今はどうなってるのかしら)で登ったところ、風光明媚な山々や緩やかな丘を眺める山の上にあるザルツブルク現代美術館にありました。ほれ、左手奥に見えるのが、ザルツブルク城です。
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今、特別展として「ジョン・ケージと…」という出し物をやってます。ちょっと前までベルリンでやってて、ベルリンは明日から音楽週間で、今年のテーマは「アメリカ音楽」。ケージはメインの作家なんだけど、なぜか展覧会はもうザルツに移っちゃってる。ここでは10月までやってるみたい。
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さてもこのケージ回顧展、なんで美術館でやるの、って思うでしょ。でも、来れば判る!なーるほど、って思います。

まずエレベーターで最上階まで上がると、ケージ初期から晩年に至るまでの楽譜がテーマ。ケージの楽譜のほぼ全ては、所謂「図形楽譜」とか「図像楽譜」って呼ばれる類なのは皆々様ご存じの通り。よーするに、普通の意味での五線譜でもネウマ譜でも日本伝統音楽の譜面でもなく、なんかそれらしい絵、ってのがケージの作曲家としてのお仕事なわけですな。
で、それら図形楽譜は、実はネタがある、ほーらごらんなさい、この作家のこの作品と並べると、どっちが抽象絵画でどっちがケージの楽譜か判らないでしょ、って展示がしてあるんですわ。

悪意すら感じる展示の仕方は、みんな腹の中ではそう思っててもケージ様の創作の貴重さをおもんばかるにオソロしくてとてもやれない、蛮行ギリギリの作業ですわ。線がのたくったみたいな楽譜は、ほらこの作家の作品と全然同じでしょ、点が打ってあるような楽譜も、ご覧なさい、この庭園の空間配置をまんま上からみただけじゃーないの(無論、「Ryuanji」ですけど)、この細長くかすれた線で描かれた楽譜だって、ほーらこの掛け軸そっくりじゃないかい。皆さん、これがケージのZENの世界なんだよ、とまでは言わぬものの、ほぼそれに近い展示もありましたね。

ああああ、やっちゃったぁああああ!でもやっぱ、天国のケージ御大はこの展示会を見下ろしながらニヤニヤして、照れ隠しにキノコ磨いてるんじゃないかな。そんな間にも、展示の繋ぎの空間などでは、ケージのチャンスオペレーション作品が会場のあちこちで上演されています。

さて、下の階に降りましょう。ずらりとヴィデオモニターが並び、マーク・カニンガムとケージのコラボレーションがヴィデオで眺められるようになってます。奥にはカニンガムのドローイングとか、舞踏譜なんかも。ダヴィッド・テュードアは随分深く関わってたんだなぁ、なんてあらためて思ったり。ヨーコ・オノの名前もいっぱい見えます。この階のハイライトは、やっぱり「33と1/3」。ほれ。
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名ばかり有名な作品(ってか、ケージの作品の9割がそうだけどさ)の実演です。
ご覧のように、レコードプレーヤーを1ダースくらい並べて、一斉に勝手にかける、ってだけ。どうやら最初は見物人に勝手にやらせていたようだけど、いまやレコードの扱いを知らない人が多くて事故が絶えなかったようで、スタッフしか触っちゃいけない展示になっちゃったようです。女の子がつまらなそーな顔をして、ひとりであちこち動いてはLPをかけかえていました。

もうひとつ下の階にいくと、「と…」が中心の展示になります。ケージのいろんなアイデアにインスパイアされた作家たちの創作やインスタレーションが並べられる。ケージが創作したやり方をその場であなたもやってみられます、なんてコーナーもあって、お嬢さんがひとり、もくもくとルーレットまわしては何や紙の上にべったり塗りつけたりりしてました。「4'33"」のオリジナル楽譜、なんてもんが額に入れて掲げてあったんだけど、どーゆーことなのかしら。これ、ギャクかいな。

映像作品もいろいろある中に、「4分33秒を2回演奏する」という作品もあった。一部屋、真っ暗にして、この映像が延々とまわってる。
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映像は誰もが想像するとおり、ブリュッセルの小さな会場にピアノ置いて、聴衆を2ダースくらい座らせて、ピアニストがこの20世紀で最も有名なピアノ曲のひとつを2回繰り返し演奏する様子を延々と撮っている。最初はピアニストに視点据え置き。楽章毎にタイムキープのマシンをガチャンと押すだけが動きです。で、拍手があって、2回目はずーっと聴衆を舐めて、最後は寒そうな冬のブリュッセルの風景が窓から見えるのを延々と流している。聴衆の中には、「ゲンダイオンガク」演奏会には絶対にいなければならぬ黒い服を着た長い髪の日本美女もちゃんといます。監督、判ってるじゃないのぉ。小生の理想とすれば、ケージのこの音楽に最も似合う聴衆はハイライト咥えた浜離宮朝日ホールのCプロデューサーなんだけど、ま、そんな雰囲気の美女だったから許してやろー。美女観たさに3回観ちゃったぞ。

残念ながらミュージアムショップではカタログが売り切れ。9月になれば入荷するよ、なんてオジサンに気楽にいわれた。あたしゃもうその頃にはここにはおりませんっ!

以上、現在ヨーロッパを巡回中のケージ展のご報告。カタログが手元にないのでこの先にどこを巡回するか知りません。御関心の向きは、”John Cage und…”でググってみて下さいな。

さて、そろそろザルツ空港に向かいましょ。エアベルリンは今やLCCに思えないんで、なんか緊張感がないなぁ。

とーはくでごーるどべるく [Music in Museum]

上野の山に桜なんてまるっきり咲いてないけど、恒例となった(と、言ってもいいんでしょう)「東京のオペラの森」、通称「のもり」が始まりました。

税金が終わって、日本列島本州真ん中辺りの太平洋岸の乾いた空気に花粉だけじゃなくて水蒸気もそこそこに戻り始める頃、梅は咲いたか桜はまだかいな、満開の桜の下の狂気OK状態に陥る上野の山でどさくさ紛れにあちこちで弾いちゃえ、って感じになりつつあるこのフェスティバル。去年は311の影響で(関西以西の方には感覚的に分からないかもしれないけど、東京都民の心はしっかり311被災地だったんですわ)すっ飛び、今年は311追悼の後にダラダラと、って始まり方。冷たい雨が1年空けての仕切り直しには相応しいかな。祭りというのにセンターコートたる上野公園真ん中の大噴水周辺が工事中で立ち入り禁止で、今年で使用が終わりになる旧奏楽堂への上野駅側からのアプローチなんて、どうすりゃいいのかまるで判らんし。

とにもかくにも、本日は東博の奥の方、平成館ってのかな、ガラス張りの方のロビーで、松原かっちゃん率いる弦楽五重奏が土曜日午前11時から演奏してくれる。
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で、やってくれるのが「ゴールドベルク変奏曲」ってんだから、深夜2時過ぎにギトリス原稿入れて倒れ込んだ海胆頭には、睡魔の拷問みたいなもんです。

細かいことは別にして、ほぼノンヴィブラートのかっちゃんのもの凄くゆっくりしたアリアで始まり、雨の中庭眺めながら淡々と時は経ち、あるときはこのもの凄く響く場所でコントラバスのしゅーさんがどおおおっと出てきて吃驚したり、おいおいこのヴァリエーションは全部ピチカートかいと飛び上がったり、寝たり起きたりで最後のアリアが戻ってくれば、もう正午も23分も過ぎておりましたとさ。ま、猛烈に贅沢な土曜日昼の過ごし方ですな。

さても、誰でも知りたいであろう疑問にお答えしましょうぞ。終演後、とるものとりあえず楽屋にすっ飛んでって、松原かっちゃん捕まえて、尋ねましたよ、「この楽譜、どういうもんなの?」
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そしたら松原かっちゃん応えて曰く、「僕が編曲したの」。へえええええ、しゅうさんも隣から絶賛のこの松原版ゴールドベルク変奏曲、無論、出版もされてません。是非弾きたいという方は、松原勝也さんにご連絡下さい。

「のもり」は午後も続きます。2時からはうるちゃんが文化小に登場で、1日でベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全部弾いちゃう、というオソロシーことをやります。ストリーミングもあるそうです。お暇な方はどうぞ。
http://harusai.ottava.jp/

それにしても、かっちゃん、うるちゃんと、ハレーQの面々もすっかり偉くなったもんだ。うん、うん。偉くならんのはわしだけじゃのぉ、おかーさんや。

明けない夜がないように… [Music in Museum]

音楽業界の箴言。ってか、もっと一般的な真理の言葉。「明けない夜がないように、出で来ないチケットはない。」

ってなわけで、昨晩はルーブル美術館の室内楽シリーズ、ムローヴァの弾くニコラウ・デ・フィゲイレドとの共演、古楽マニアさんなら耽溺(ってか、戸惑いの、かな)デュオなどを見物して参りました。どうやら商売ものの作文にせにゃならんようで、中身に関しては記せません。ゴメンです。抵触しない内容、つまり、どーでも良いことを記しましょ。

さても、このルーブルのシリーズ、何を隠そうパリという世界有数の音楽消費都市に於いて、最も活発な室内楽シリーズなんですね。ホールや会場が主催する年間シリーズというやり方は、今、ヨーロッパではどんどん減ってきている。シテ・ド・ラ・ムジークで正に今やっているクァルテットのフェスティバルや、2週間後にナントでやって日本からも沢山の同業者さんが送り込まれる日本ではアンバランスな程有名になってしまった某フェスティバルなど、短期的に集中的にやって、他の時期はやらない、って移動遊園地みたいなやり方が主流になりつつある。一重に集客と広報戦略の問題だそうで、あたしゃひじょーに不愉快なんですけど、ま、その議論はここではしない。

そんな風潮に抗して、「毎月、我が街に演奏家がやってくる」ってやり方のシリーズをやってる筆頭が、ルーブル美術館。世界のMusic in Museumの中でも、NYCはメトロポリタン美術館、フリックコレクション、はたまたボストンのもうすぐレンツォ・ピアノの新ホール棟がオープンしてニック達が大忙しになるガードナー美術館などと同様に、最も活発で重要なシリーズなのでありますね。

フジテレビアートネットにシリーズがあった頃、ずっとやりたかったのだが、ルーブルというのはでかすぎる組織で取材が面倒で、そのうちやればいいや、と思ってたら、掲載媒体そのものがなくなってしまった。おおおお…

さても、昨日なんですけど、このムローヴァがやってきてミニレジデンシィをするシリーズ、ひとつの山場のバッハだったわけで(という理由かは知らぬが)、ともかく売り切れ。ピラミッドの下の大混乱する広大なチケット売り場の片隅にあってここだけはだーれも客がいないオーディトリアム専用ボックスオフィスに昼過ぎに行ったら、おねーちゃんが「開演45分前に来なさい…ううん、今日は1時間前の方が良いかな」と仰る。
で、シャトレ座まで歩いて4月の「中国のニクソン」の切符を買い、バスチーユのfnacに向かったらなくなってて、あらららぁ、と地下鉄1号線に乗ってシャンゼリゼのfnacまで行き、泥縄勉強のためにライヒの「WTC911」のCD買って(Euro安の今、オルフの「オイディプス」とか「アンチゴネ」とか、ヘンツェの「孤独大通り」とかのDVDを買いまくりたい物欲をグッと抑えた偉いあたし。フレミングのメトの「カプリッチョ」ブルーレイが23Euroってバカ安だった)、また地下鉄でルーブルに戻って来て、サラダとコーヒー買ってカフェに座り込み(ルーブルチケットボックス上のカフェの隅っこの椅子は、世界で最も座りやすい公共椅子です)ネット繋げナクソス・ミュージック・ライブラリー開いて週末〆切の曲解原稿を始め、追い出されるまでいたら6時前。まだ並ぶには早過ぎないか、と思って下を眺めると、おおおお、もう6人も並んでいらっしゃる。

これは大変だ、とやくぺん先生も並び、立ったままパソコン開いてお仕事を続けてると、並んでるオッサンが覗き込んでくるぞ。まあ、確かに不思議なんでしょうねぇ、日本語変換キーボードってのは。あたしらだって、キーボード打ち込むとハングルが次々と組み合わさって出来上がってくる画面なんて覗き込んじゃうもんね。
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そんなこんなで並ぶこと1時間半以上、ルーブルは昨晩は夜のオープンはなかったようで、昼間は世界からのお上りさん観光客で溢れかえるピラミッド下も、7時半ともなればもうオーディトリアムに来る人しかいない。そうこうするうちに、3人目くらいにひとりで並んでたおじーちゃんが、連れが来られなくなったという人から切符をゆずっていただいて、抜ける。一番前のおねーさんたちは二人連れだったんで、おじーちゃんに譲ったようだ。で、あたしゃ6番目ということになり、これならなんとか入れそうだぞ。7時40分くらいに、どういうわけか知らぬがさあ売りますよ、ってことになって、無事に24EuroででっかくDEBOUTと書いてあるチケットを買うです。列のどこまで買えたか、判りません。これがあたしがチケットをゲットした直後の列。
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立ち席とはいえ、このトッパンホールまんまみたいなオーディトリアム、いちばん後に4列くらいは平気で並べられそうな広い空間があり、そのいちばん後にズラリと椅子は並べてあって、座りたかったらそこに座れる。でも、座ったらムローヴァさんは殆ど見えなくなります。

そんなこんな、ムローヴァさんの芸術家としての悩みをバッハに託したような音楽が1時間半ほど流れ、なーんにもお姿が見えないままに、空前絶後の盛り上がらないシャコンヌを聴いて夜が更けていったわけでありまする。

宿に戻ったらディオティマQから連絡が来ていて、「ゴメン、僕たちも驚いているんだが、1ヶ月前に切符が売り切れで、困ってるんだ。許して」とのこと。おおお、さあ、木曜日はまた闘いをせねばならぬのか。なんかもーいーや、という気はしているが、闘いは気力だっ!にげちゃだめだ、にげちゃだめだっ!

そうそう、fnacに新エヴァの序と破をセットにしたDVDが山積みになってました。それから、瞠目せよ、このジブリ・コーナー!ぜーんぶジブリじゃ、ディズニーよりも扱いはでかいぞ!
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ホントに日本文化に優しい国だこと。「化物語」のフランス語版を眺めてみたいが(やっぱり画面上が日本語とその翻訳フランス語でびっしりになるんじゃろーかねぇ)、残念ながらまだなかった。

お堀端のモーツァルト [Music in Museum]

恐らくは古今東西最も人口に膾炙したモーツァルトの肖像といえば、そー、皆様頭にお浮かべになるであろーあれ。ちょっと少女マンガチックな憂いを込めたうつむき加減の表情を左側から捉えたやつ。背景の隅っこに未完成な部分がある、あれです。

あの猛烈に有名な肖像画の実物が、今、東京はお堀端の旧第一生命ホールの下、ってか、昔のGHQってか、よーするに第一生命館の1階ギャラリーで展示されております。
http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2011_043.pdf
明後日までです。帝劇の側の入口からでも、かつてマッカーサーが出入りし、オリンピック前頃にはマンモスフラワーが生えちゃったお堀の側からでも、どっちからでも入れます。
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残念ながら、というか、当然ながら、というか、肖像画そのものはガラスケースに入っておりますが、ま、表面の質感を味わう類のタブローではありませんから、鑑賞に問題はないでしょう。モーツァルト愛好家さんは、是非ともご覧になるべきでしょうねぇ。明後日までの連日、この写真の反対側のロビコンをいつもやってるところでなんのかんのミニコンサートをやってます。TANスタッフの皆様、お疲れさんです。

ちなみに、なんで第一生命さんがモーツァルト…とお思いかもしれませんが、それにはちゃんとわけがある。ザルツブルクのモーツァルト生家の補修工事に第一生命さんがお金を出してるんですわ。そんな縁で、晴海に第一生命ホールが復活する10年前、ホールの名前を「東京モーツァルテウム」にする案もあったそーな。うーん、ちょっと恥ずかしい。第一生命ホールという無骨この上ない名前で良かったと個人的には思うが、そうは思わん人も多かろー。

てなわけで、お暇な方はどうぞ。他にもオリジナル楽譜とかあります。コンパクトな展示なので、例えば金曜日ならどっかの演奏会に行く前にお寄りになってみてはいかがでしょーか。

川崎市民ミュージアムで実相寺作品と音楽 [Music in Museum]

新しいカテゴリーを開設します。題して、「Music in Museum」。略してMIMです。おいおい、inじゃなくてatだろーに、なんて突っ込みはしないよーに。それで定着しちゃったんだから、文句言ってもダメですぅ。

なんてことない、今月いっぱいで廃止になるFujiTV Art Netの上で足かけ8年間連載させていただいたシリーズがありました。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2011-08-01
それを私設電子壁新聞に移行するべーか、って目論見。

無論、ノーギャラの壁新聞原稿のために、ギャラをいただいてやってた原稿と同じ内容や「書いてあることは一応は嘘ではない」レベルにするための手間暇をかけるなんてできっこない。あったりまえでしょ。だから、当面は連載がなくなっても入ってくるMIM原稿のための情報収集ネットワークに引っかかってくるネタを、気儘に拾っていきます。あああ、連載があれば金に出来たのに、って指くわえながらさ。いやはや。

第1回としてご紹介するのは、明後日日曜日の演奏会。こちら。情報をご提供下さった方、有り難うございました。
http://jig135.mobile.ogk.yahoo.co.jp/fweb/0825ZijK13zW3tvH/r?_jig_=http%3A%2F%2Fwww.kawasaki-museum.jp%2Fdisplay%2Fevent%2F&_jig_source_=srch&_jig_done_=http%3A%2F%2Fsearch.mobile.yahoo.co.jp%2Fp%2Fsearch%2Fonesearch%3Ffr%3Dm_top_y%26p%3D%2590%25EC%258D%25E8%258Es%2596%25AF%2583%257E%2583%2585%2581%255B%2583W%2583A%2583%2580&guid=on#pc110816
なにやらもの凄く長いURLだけど、大丈夫なんかいな。

ここは何度かMIMで紹介しようとして、今年の初め頃には岡本太郎関係の音楽イベントもあっていよいよやるか、と思って連絡もしたりしたんだけど、もうひとつの川崎の岡本太郎関係ミュージアムの方が取り上げやすそうだったんで、そっちにしてしまった。またいくらでも機会はあるだろうと思ってたからで、実際、今回みたいな機会はあったわけです。内容はご覧の通り、実相寺監督がウルトラ作品で効果的に用いたりしてた音楽を、実相寺回顧展の中で聴いて貰いましょう、ってもの。正にMIMそのものの企画でんがな。

小生自身、月末からの短期北京取材前の原稿山積み状態、更には我が人生始まって以来の空前の超弩級貧乏で演奏会チケットなんて買えないのを言い訳にサントリーの夏恒例現代音楽シリーズにだってひとつとして行けてない。そんな状況なんで、明後日の午後に行けるかどうか判りません。ま、お暇な方はどうぞ。最近はそこそこ行きやすくなってますからね、この美術館も。

ちなみに、今後、当電子壁新聞若しくは小生の個人メールアドレス宛てに「うちの美術館で演奏会やるので、紹介してくれ」と連絡下されば、気楽にすぽこんすぽこんと記します。そういう風に使えれば、死んでいくサイトにも意味があるのでしょう。

なお、サイト閉鎖までカウントダウン状態のFujiTV Art NetのMIMですが、原稿や写真はFujiTVさんに権利含みで売っちゃってるわけで、残念ながらまるまるサルベージュして小生が管理する、というわけにはいきません。申しわけありませんが、必要な方はプリントアウトでもしておいてください。実は、小生はプリントアウト、持ってません。ウェブ連載の廃刊というのは初めてだし、そもそも自分の書いた原稿を真面目に取っておく方じゃないので、まあしょーがないなぁ、と思っております。

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