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北京オペラ…っても京劇じゃなくて [音楽業界]

昨日、このたび御奉職なさっている大学のサバティカル・イヤーで台北に長期滞在することになった方とパソコン画面上で話をしていて、いろいろ話題になったこと。忘れないように記しておきます。

上海Qから、「北京のフェスティバルで弾くよ」という連絡があり、まあ東京同様にいつでもフェスティバルをやってる超巨大都市だからねぇ、と思っていろいろ案内を眺めたら、大気汚染の心配とか空港のめちゃ混み具合とかで暫く足を運んでいなかったこの街、相変わらずなんのかんのやってるようであります。当たり前だけどね。これが「北京五月祭」オープンガラのご案内。
http://en.chncpa.org/NEWS/wzxw/201704/t20170429_170063.shtml
ホンガン氏はこのあと直接大阪入りして弦楽四重奏コンクールの審査になるのかな。いつニュージャージーのお宅に帰れるんだろーか、お疲れ様です。

んで、ついでにあれこれ眺めたら、今時情報さえ出せば世界のどこにでもお出かけになるオペラ好きの皆様にご関心がありそうなネタがいくつかありましたので、以下、列挙しますです。あたしゃ、無論、どれも行きません、ってか、行けません。

あの天安門前広場横、中国の国会議事堂の隣に「インデペンデンス・デイ」のUFOが降りてきたのかと思ってしまうような万里の長城に匹敵するアホな巨大建築物たる北京国家大劇院は、単なるヴェニュじゃなくて、ちゃんと主催者やプロダクション機能も備えた組織でもあります。中国で唯一の、外国人メンバーも入れた実質上の座付きオケたるNCPAオケを新設し、主催オペラバレエ公演のピットに入っているくらいだから、初台よりも余程本気の「オペラハウス」でもあるわけですよ。

で、そこが年間にそれなりの数のプロダクションを出している。「国家大劇院オペラ・フェスティバル」なんてもんが初夏に向けてあるようで、主要演目はこちら。
http://en.chncpa.org/search/?sw=NCPA%20Opera%20Festival%202017
ゲルギエフ御大のところとの共同制作という《ルチア》は終わっちゃったけど、やっぱり、《仮面舞踏会》と《薔薇の騎士》がメインですわなぁ。ご関心の向きは勝手にサイトを開けていただければキャストスタッフなど判るから、ご覧あれ。初台でお馴染みの演出家さんも出ているわけで、その意味では、安心のプロダクションとも言えるでありましょうぞ。ドイツのローカル・ハウスみたいな「読み替え」はやらなさそうだから、先頃の韓国国立オペラよりも余程初台に近いテイストのものが出て来るでしょうし。

なお、北京ではもうひとつ、日本のオペラ好きが関心がありそうな出し物として、こんなんもあります。
http://theatrebeijing.com/whats_on/drama/2017/the_magic_flute.html
これ、ベルリン・コミーシュ・オパーの所謂引っ越し公演なのか、それともプロダクションを持ってきて北京で制作するのか、なんだかこの案内だけでは良く判らないけど、ベルリンはちょっと遠いけど北京なら、という方はいらっしゃるんじゃないかしら。ただ、7月下旬の北京って、アホみたいに暑いです。オリンピックやった頃でしょ。東京の8月くらいの感じですから、そこは覚悟するよーに。

てなわけで、いろんな「北京オペラ」のお話でした。ただ、一昔二昔前みたいに、「北京のオペラは滅茶苦茶安いぞ」ってのはまるでないんだわなぁ。富裕層も日本の10倍いるということなのかしら。

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レッジョの参加団体出ました [弦楽四重奏]

完全に自分の為のメモ。

連休が明けると、「大阪国際室内楽コンクール&フェスタ」でべったり大阪に貼り付き。それが終わって帝都湾岸に戻ってくるや、殆ど物資供給と栄養補給(実体は地獄の作文&校正ウィーク)の1週間ちょいを挟み、6月頭からはレッジョ・エミリアのパオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール、ボルドーの弦楽四重奏フェスティバルと弦楽四重奏漬けの日々が続きます。5月11日から6月20日まで東京湾岸&新開地葛飾のホームベースを離れる実質6週間弱のツアーということになる。うん、最近突然日本のマスメディアを賑わすようになった「空母打撃群」の遠洋航海ひとつぶんくらいだわい。

んで、その後半の山場、レッジョ大会はどうにも情報がいーかげんなのだが、やっと参加団体が判りました。こちら。
http://www.iteatri.re.it/Sezione.jsp?idSezione=4748

ベッタリ貼り付けると…

Adorno Quartet, Italy
Altius Quartet, U.S.A.
Berlin-Tokyo Quartet, Japan / Israel / Germany
Cosmos Quartet, Spain
Furiant Quartet, Italy / Romania / Slovenia
Hanson Quartet, Great Britain / France
Indaco Quartet, Italy
Lyskamm Quartet, Italy
Omer Quartet, U.S.A. / South Corea

以上、9団体でありまする。昨今のアンサンブル・コンクールの流れに沿って、参加団体は極力絞って主催側の負担を減少し、そのかわり呼んだ団体にはいっぱい弾いていただこう、ってやり方はここも同じですね。まあ、今回は見事に大阪と被ってないなぁ。このコンクールでこんなに地元団体が参加を認められたって、過去になかったことじゃないかしら。やっぱり大会の空気がちょっと変わってきてることは確かだなぁ。

ベルリン東京がひとつの軸になってまわりそうですから、日本の、ってか、札幌の皆さんにも目は離せないでしょう。6月末のふきのとうホール公演が凱旋公演になるか、請うご期待。多分、ストリーミングもあるでしょうし。相変わらず始まりが遅く、夜が遅いイタリアらしい大会となるだろうから、時差がちょっと厳しいだろうけどさ。

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春恒例韓国地方都市オーケストラ祭りの全容! [音楽業界]

これ、去る4月23日朝に金浦空港のラウンジで書き始め、途中まで記して、都市名の日本語表記変換なんぞが余りにもめんどーなんで放り出っぱなしにしてたお話。連休の谷間、作文作業が半端な凪状態になってしまったので、せっせと最後までデータ記入します。

これまでも当電子壁新聞では「すみだトリフォニーの地方都市オーケストラ・フェスティバルはいつの間にか無くなってしまったが、お隣ソウルではアーツセンター主催で遙かに規模のデカイ、恐らくはオーケストラ音楽祭としては世界最大規模の韓国地方都市オーケストラ・フェスティバルをやってます」という情報はほぼ毎年垂れ流していたけど、案外と4月にソウルにいくことがなく、やくぺん先生がアーツセンターのでっかいコンサートホール客席に座って体験したことはありませんでした。

今年は、大阪から東京湾岸に戻ってくる途中にチョロッとソウルに立ち寄り、今話題のインな演出家さんの舞台を眺めたついでに、せっかくこの時期ならばということで宿願の「韓国地方都市オーケストラ・フェスティバル」をちょっとだけでも見物して参ったでありまする。これが韓国名物、ロビーにでっかく出されてその前で記念撮影をするための大看板。
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関空から金浦に着いた日は目的の《ボリス》で、その週末23日日曜日が4月1日からほぼ連日行われた公演の最終日なので、そのひとつまえの公演を切符があれば覗いてやるか、という程度に考えていた。そしたら、《ボリス》があんまりにも面白いもので、午後3時から6時過ぎまでかかる別キャストの土曜日公演をオペラハウスで見物し、隣のコンサートホールに走り込んで、午後5時から始まる韓国ローカルオケの演奏会の後半だけを眺めてやろうではないか、ということになった。

なんせ、土曜日の昼前にアーツセンター正面右手のカウンターでチケット買おうとしたら、幸か不幸かオケフェス公演は最安値1000₩のチケットの3階最後列隅っこと、滑り込むには最適な席も確保出来たもんで。これがチケット買った直後、土曜日午後のアーツセンター中庭。日本では「朝鮮半島一触即発」って煽り情報がメディアに流れるけど、ソウルはいつものノンビリした週末。なんせ、日本と同じ頃に連休もあるんだしさ。右手がオペラハウスで、オーケストラ祭の垂れ幕が下がる広場を抜けて左手がコンサートホール。ここを夕方に、いい歳こいてダッシュで走ったわけであります…ふうう……
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結果として、《ボリス》からショスタコ5番という、ファンの方ならば人生で一度はやってみたい極めて意義深いハシゴとなったわけでありまして、これはこれでひじょーに面白かったです。なんせ、あの世に名高い偽書「ショスタコーヴィチの証言」で、ショスタコさんが「ショスタコの5番はムラヴィンスキーはなーんにも判っていなかった、あの終楽章は《ボリス》の冒頭2場での強制的な皇帝讃歌と同じなのだ」という、それまでの《革命》なる副題を反故にしてしまうような発言をし、それが事実であろーがなかろーが、その後のショスタコ5番解釈をすっかり変えてしまったのは、皆様よーくご存知の通り。確かにこうしてライブで続けて聴くというありそうでない体験をすると、なるほどねぇ、と思わざるを得ません。「ショスタコが《ボリス》校訂をやってたのって、第5交響曲の次の仕事だかくらいだっけ、それとも一緒くらいだっけ…」なーんてずーっと客席で思っていたりしてさ。

やくぺん先生が後半だけ聴けたのは、公州市忠南フィルハーモニックなる団体。今年のラインナップの中でも、とりわけローカルっぽいオケでんな。大田の西、ソウルから150キロくらい、ハイウェイで2時間弱くらいかな。大ソウル圏のギリギリというか、出て直ぐというか、東京圏なら大田が宇都宮とかの感じだろうから、「栃木県栃木フィルハーモニック」ってくらいの感じの団体でしょうかねぇ。まあ、ソウルから釜山までハイウェイぶっとばして4時間という規模のお国なんだけどさ。

だから、当然、ソウルで土曜日5時開演ということになれば、オケは地元の練習場に朝に集まって、バスでやってきて、終演後はそのまま戻るんでしょう。昼前、ロビーでウロウロしていたら、オケマンさんが到着し、なんとロビーからオーディトリアムに入っていきましたです。
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ケルンのフィルハーモニーでブーレーズ指揮コンセルトヘボウ管を聴いたときに、終演後、団員の知り合いに挨拶しよう、場合によっては飯でも、と楽屋で待ってたら、なんとマーラーの7番が終わるやみんな直ぐにゾロゾロ出て来てそのままバスでアムステルダムまで帰ってしまった。このフェスティバル、チェジュ島のオケ以外は、みんなあんな感じのやり方が出来る。宿泊費がかからないのはデカイですね、主催者としては。

で、前半のブラームスのドッペルなんかは捨てた公州のオケですけど、とにもかくにも哀れボリスがお亡くなりになってそれっとばかりに駆け込んだら、直ぐに後半のショスタコが始まった。オケマンがステージに戻ってくるともう大拍手が巻き起こり、ブラボーまで飛んでます。なんだこりゃ、って不思議なノリ。

どうやら、郷土愛熱烈なお国らしく、満席とは言えぬも広い客席を埋めたそれなりのお客さんのかなりが、ソウルの音楽好きというよりも公州市の出身者か、ことによると土曜の朝からソウルまでやって来ておらがオーケストラを応援しようという地元の方みたい。無論、アーツセンター主催なんで、学生券は半額とかいろいろ優遇があるので、やくぺん先生が座った日本円で1000円のNHKホール3階いちばん後ろ辺りみたいな貧乏人席には、明らかにお金のない学生さんの音楽ファンらしき連中もそれなりにいて、一緒になって指揮しそうになってる微笑ましい姿とかも。

まあ、確かに、3週間でオケ20団体聴けて毎日500円でも総計1万円也なら、オケ好き貧乏学生なら毎日通っちゃうでしょ。すごおおおく勉強になるだろーなー。なんで日本のオケやってる評論家さんがこの時期にソウルに泊まり込まないか、毎年のことながら、不思議この上ないです。もう爺だし、オケはメインのご商売じゃないからやらんものの、俺が若かったら毎年来るぞ、と思うけどねぇ。

秋にオケ連さんが実質やってる日本国文化庁主催の唯一のオーケストラ・コンサート「アジア・オーケストラ・ウィーク」でもまだ登場していない公州市のオケ、コンマスとチェロのひとり以外は弦楽器みんな若い女性という一昔の日本みたいというか
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なんせ男は若い頃に兵役で徴用されちゃうお国柄、今の韓国の典型的な姿をがっつり舞台上で繰り広げるその実力は…うううん、地方オケです。日本の一昔前の「地方オケ」でんな。今世紀になって圧倒的に地力を付けてきて、今や「地方オケ」という言葉の意味は20世紀末までとはまるで違うものになってしまったニッポン国とはちょっと違う。この「地方オケ」感が、ある意味できっちりした「首都と地方のヒェーラルキー」になってるのならば、それはそれであり。その辺り、20団体全部聴けば一発で判るんだろうけどねぇ。
ま、技術的にはともかく会場は大盛り上がりで、なんだかしらないピアノがパラパラと弾く韓流ドラマのテーマソングみたいなアンコール曲は、ショスタコ以上の盛り上がりでありましたとさ。

せっかくだから、以下、「韓国地方都市オーケストラ・フェスティバル」参加団体のデータを記しておきましょう。恐らくは日本語で紹介されるのははじめてじゃないかな。残念ながらこれだけSNS上にオケ好きがいても、流石にこのフェスティバル全部フォローしている物好きはいらっしゃらないようで、纏まって紹介してるの記事は過去に遡っても見当たらない。不思議だなぁ、参加数ではザルツブルク音楽祭も超える世界最大のオーケストラ音楽祭なのにねぇ。

※※※※

会場は全てソウル・アーツセンター・コンサートホール。正式名称は「2017ソウル・アーツセンター・クラシック・フェスティバル」だそーな。ちなみに指揮者やソリストさんの読み方は判らないので、アルファベット表記をまんま記します。日本でも知られた名前がチラホラありますな。オケの名称は、基本直訳で、日本での慣例表記がある団体はそれに従います。コリア・シンフォニーって、「韓国響」って書かないよねぇ…どーなんだろーか。ソウル三大オケのひとつでこの調子だからなぁ。それにしても一昔前はチャイコフスキーだらけだったけど、随分と趣味も変わってきましたねぇ。スラブもの大好きなのは相変わらずだけど。生誕百年のイサン・ユンはソウル・フィルだけというのも、この作曲家の微妙な立ち位置の反映なのかしら。それにしてもマラ七やる演奏会、滅茶苦茶長くないかぃ。

◆4月1日:コリア・シンフォニー(ソウル) Hun-Joung Lim指揮 ヴァーグナー《トリスタンとイゾルデ》「前奏曲と愛の死」、リスト《死の舞踏》(Dasol Kim独奏)、R.シュトラウス《ツァラトゥストラは斯く語りき》

◆4月2日:春川フィル Jong Jin Lee指揮 ベートーヴェン《レオノーレ》第3番、モーツァルト オーボエ協奏曲(Yun-Jung Lee独奏)、リムスキー=コルサコフ《シェーラザード》

◆4月4日:釜山フィル マニュエル・ロペス=ゴメス指揮 ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲(Choon-Soo Chung独奏)、チャイコフスキー《マンフレッド》交響曲

◆4月5日:水原フィル Daejin Kim指揮 グリーグ《過ぎた春》、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番(Chi Ho Han独奏)、マーラー交響曲第7番《夜の歌》

◆4月6日:大田フィル ジェイムス・ジャッド指揮 Sung-hwan Choi《アリラン幻想曲》、ショパン ピアノ協奏曲第1番(Won Kim独奏)、ラフマニノフ交響曲第2番

◆4月7日:光州響 Hong-Je Kim指揮 サン=サーンス《サムソンとデリラ》より「バッカナール」、チェロ協奏曲第1番(Yeon Sun Joo独奏)、ベルリオーズ《幻想交響曲》

◆4月8日:KBS響(ソウル) ヨエル・レヴィ指揮 ブラームス ヴァイオリン協奏曲(ボンソリ・キム独奏)、交響曲第4番

◆4月9日:仁川フィル Chi-Yong Chung指揮 グリエール ホルン協奏曲(Hongpark Kim独奏)、ブルックナー交響曲第7番

◆4月11日:軍浦プライム・フィル Yun-Sung Jang指揮 リスト《前奏曲》、ドニゼッティ《ルチア》より、ヴァーグナー《タンホイザー》より「夕星の歌」、ロッシーニ《セヴィリアの理髪師》より「私は町のなんでも屋」(Gihoon Kimバリトン)、カセッラ交響曲第2番(韓国初演)

◆4月12日:江南響(ソウル) Sung Kisun指揮 R.シュトラウス《ドン・ファン》、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番(Julius-Jeongwon Kim独奏)、ルトスワフスキ 管弦楽のための協奏曲

◆4月13日:大邱響 ジュリアン・コヴァトチェフ指揮 R.シュトラウス《死と変容》、4つの最後の歌(Myung Joo Leeソプラノ)、シューマン交響曲第4番

◆4月14日:原州フィル Kwang-Hyun Kim指揮 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番(Yekwon Sunwoo独奏)、マーラー交響曲第1番

◆4月15日:京畿フィル Shiyeon Sung指揮 ドヴォルザーク チェロ協奏曲(ソン・ミン・カン独奏)、ブラームス交響曲第4番

◆4月16日:特別ゲスト参加公演 香港フィル 18日大阪シンフォニー・ホール公演と同一プロ

◆4月18日:全州響 Hee-Chuho Choi指揮 チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番(Kyu-Yeon Kim独奏)、ラフマニノフ交響曲第2番

◆4月19日:昌原フィル Tae Young Park指揮 R.シュトラウス《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯》、ロンバーグ フルート協奏曲(Soyoung Lee独奏)、ストラヴィンスキー《春の祭典》

◆4月20日:ソウル・フィル ティエリ-・フィッシャー指揮 イサン・ユン《大管弦楽の為の序曲》、ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲(クリステル・リー独奏)、チャイコフスキー交響曲第5番

◆4月21日:済州フィル In-Hyeok Jeong指揮 Choi Jeong-hun大管弦楽のための《Darangshi》(世界初演)、クーセヴィツキー コントラバス協奏曲(Sung Minje独奏)、マーラー交響曲第1番

◆4月22日:公州市忠南フィル Seung-up Yoon指揮 ラヴェル《ラ・ヴァルス》、ブラームス二重協奏曲(Hyuna Kim、Woo Jin Kim独奏)、ショスタコーヴィチ交響曲第5番

◆4月23日:富川フィル Young Min Park指揮 ヴァーグナー《ヴァルキューレ》より「ヴァルキューレの騎行」、プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番(Minson Sohn独奏)、R.シュトラウス《死と変容》、《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯》

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300席規模のホールが21世紀のスタンダードなのか [音楽業界]

数日前に書きかけてほーり投げていたもんをアップしますです。ネタは、ええと、去る火曜日の話です。

ひところ葛飾厄偏舎で練習をしていた、やくぺん先生的には文字通りの「レジデント・クァルテット」のクァルテット・セレシアが、お久しぶりにそれなりに大きな会場で演奏会を行うということで、これは聞かぬわけにはいくまいと、手土産にそろそろ季節もオシマイの苺大福など抱えて参上いたしましたです。場所は、「台東区生涯学習センターミレニアムホール」なる場所。

正直、台東区にあること以外はよーわからず、とにもかくにも最寄り駅という地下鉄日比谷線入谷駅の上野寄りの出口を出て、言問通りを真っ正面に聳える天樹方向に延々と歩く。思えばこの道、根津に庵を結んでいた頃にNJPが文化会館からすみだトリフォニーへと本拠地を移転し、それまでは藝大の間を抜けて上野公園口まで歩くだけで済んだのに、都バスで根津駅前から延々と寛永寺裏と谷中霊園の間を抜けてJR跨いで、浅草かすめ、天樹なんてもんが聳えるなんて思ってもいなかった鄙びた押上で曲がって錦糸町まで向かっていた途中。ってか、この辺りをふらつくなんて、あの頃以来じゃあないかしら。途中で不安になって、和菓子屋さんに入って苺大福買って、「ミレニアムホールって、こっちで良いんですよね?」と訊ねると、2つ先の信号を右に曲がってバーミヤンがあるからそこ、ってお応え。へ、バーミヤン、ですかぁ…

ったら、この区立総合文化施設、確かに目印としては「バーミヤン」の看板がいちばん判りやすい。というのも、河童橋食器問屋街の最北他となる通りに面した施設の2階にしっかりと格安中華屋さんが入っていて、一見するととてつもなく巨大で立派なバーミヤンにすら見えるわけであります。あ、外観の写真を撮らなかったなぁ。ま、こちらの建築事務所さんが落成直後に撮影したらしい最もカッコイイ外観の写真をご覧あれ。
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で、このステキな写真左側2階のガラス部分が「バーミヤン」になっていて、今は前にしっかり看板が出ております。んで、その奥が、ミレニアムホールなる300席の公共ホールになっている。施設全体の案内はこちら。
http://www.city.taito.lg.jp/index/kurashi/gakushu/syougaigakusyuucente/

昨今の公共文化施設、図書館から集会場からホールからなにからなにまで一緒にした巨大コミセンみたいなもんをドカンと作る、という傾向というか流行がある。去年、キチの街ヤマトに誕生した「大和シリウス」もそんなもんでありましたっけ。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
で、この台東区の会場、2002年に出来ていて、完成当時の永田音響さんのレポートはこちら。これで「音楽ホール」としてどんなところか、よーくお判りでしょ。
http://www.nagata.co.jp/news/news0201.htm

21世紀に入ってオープンした300席の音楽用ホールといえば、2003年のハクジュホールを誰でもが思い出すでしょうし、少し遅れて2006年に名古屋にオープンし現在も日本のクラシック音楽興行シーンの颱風の目のひとつとして君臨している300席ちょっとの宗次ホールがある。めんどーな議論は省略するけど、ぶっちゃけ、21世紀に入って規模が縮小の傾向が隠せない「クラシック音楽専用ホール」の成功例は、どうやら公共民間を問わずに300席ということになってるのかしら。先頃オープンして話題の新浦安も、この規模だしさ。札幌のふきのとうホールはもうちょっと小さいけど、街の規模からすればまあ、同じくらいということでしょ。

おっと、話が先に行ってしまった。要は、恥ずかしながらはじめて去る火曜日に足を踏み入れた台東ミレニアムホール、とっても良い空間なんですわ。300席の公共ホールとは思えない、所謂シューボックスで天上の高い、タップリした空間。昨今大流行の「コンサートスペース」というか、「マイクロホール」というか、個人が自分の敷地に建てちゃう100席以下のホールでは不可能な、空間の響きそのものをきっちり味わえる。同じ規模ながら、天上の低さが如何ともし難いサントリー・ブルーローズの関係者さんなど、「いやぁ、知らなかったけど、スゴく良いホールがありますねぇ」と感心なさってましたし、今や日本のクァルテットの聖地となった「良すぎる公共ホール」サルビアホールでシリーズを行うプロデューサー氏も、「ここ、良いじゃない」と仰ってました。

確かに、この空間、クァルテット・セレシアとすれば普段活動のベースとなってるサロンやコンサートスペースとは違って、タップリした容量の「ホール」での弾き方が要求されるという難しさがあったことは否めません。だけど、やっぱり最低限でもこの規模の空間でやってくれないと、正直、団体としてのキャラは判りにくいところがある。その意味で、とても有り難い経験をさせていただきましたであります。ほれ、綺麗なステージでしょ。
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なんでこのホールが使われないのか、自分が存在を知らなかったのか、関係者の皆さんが口を揃えて不思議がっておりましたが、ひとつの理由は、使用料金がもの凄く安くて会場稼働率が極めて高いことにあろそうな。公共ホールであることの良し悪し、というわけにもいかないけど、やっぱりそれなりの事情はあるわけでんな。

もうひとつ、ホールとして敢えて苦言を申せば、ロビーにも裏にも、やたらと殺風景な張り紙が出ていること。この調子。
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とか、こんなとか
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どうも、管理する方々が絵に描いたようなお役所仕事をなさっているようで、サービス業というよりも「公共施設の管理」に徹していらっしゃるのがありあり。実際、使い勝手など、極めて融通が利かない部分があるとの声も。ま、安いんだから仕方ない、といえばそれまでなんだけどねぇ。

是非とも聴いてみたいという方は、都響の副首席クラスを並べた弦楽四重奏団の演奏会がありますので、そちらをどうぞ。
https://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/detail.php?id=3094&year=2017&month=5

「時代は小型化、コンパクト化、ミニチュア化」…なーんて広告代理店風の言い方をする気はないけどさぁ。

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豊洲大橋が稼働している [ご当地五輪への道]

まさかもう使うことはあるまいと思っていた「ご当地五輪への道」カテゴリー、風雪に耐え数年ぶりに復活パート2でありますっ!この話のまる4ヶ月後の続き。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2016-12-30

連休前に締め切りがある原稿を午前中に全部入れ、とはいえなんせ予定している校正がまだ来ない宙ぶらりん状態。気分は完全に「終わったおわったぁ」なんで、久しぶりにチャリンチャリンと大川端北の隅っこから遙か南の外れ、湾岸のど真ん中(?)、帝都トウキョウでもっと暇で閑散とした観光地であり、風が弱く天気の良い午後なら最高のノマド場として知る人ぞ知る(あまり知られても困るんだけど)晴海客船ターミナルまで詣でるのであった。

んで、清澄通り沿い月島駅上のHotto Mottoで弁当買って、運河渡ってちゃりんちゃりんと晴海島に入り、トリトン横を延々と埠頭まで下って行く。この辺り、今やすっかり湾岸の高層マンション街になりつつあり、まともな文化振興財団のない中央区という立地を逆に利用した民間NPOトリトンさんの地域文化活動展開も、今や不可欠なものとなりつつある。あれだけ文句を言っていた東京都が、オリンピックに向けてトリトン・アーツ・ネットワークに「地元で頑張ってて偉いで賞」みたいなもんを下さるなんて、ホントに時代はかわるものよなぁ、なーんて思いながら真っ直ぐ行くと、おおお、暫く来ぬうちに、国際展示場が撤去され更地になって四半世紀、銀座東京駅から最も近い僻地だった晴海埠頭脇にニョキニョキとクレーンが建ち上がっているではないかぁ。
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それどころか、まだ未開通の筈の豊洲大橋を渡って盛んにトラックが出入りしており
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ホテル・マリナーズコート側の歩道にはお歩道が設置されておらず、埠頭にアクセス出来なくなっている。おいおい、なんてこった。

しょーがないから反対のピカピカのガラス建築湾岸署側に渡り、豊海側のマッカーサー橋へと向かうこっちはまだ使われていない橋の前を抜けて埠頭へと向かう。四半世紀も放置された挙げ句、両側がすっかり工事現場になってしまった中を右へ左へ。防災訓練会場だった辺りはこんなん。
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ちなみに、この地域「オリンピック」なるもんに向けての開発のデベロッパーさんはこちら。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2016/07/20q7s300.htm
日本国の大手ゼネコンさん総ざらえでんがなぁ。これがオリンピック!

埠頭には海保も練習船も一切おらず、珍しくも、なのか、毎度お馴染みなのか、スッカラカン。ターミナルも、こちらは毎度お馴染みのスッカラカン。嗚呼、男がひとり、トランペットを対岸の寂しく佇む豊洲に向けて吹き鳴らすばかりなりぃ。
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都心部方向を眺めれば、すっかりしっかり「高層ビル建築現場」でんがな。
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180度振り向けば、そろそろみんな忘れてる豊洲なんだかしらない場。
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間を結ぶ豊洲大橋は、盛んにトラックやらミキサー車やらが往来する。
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これが21世紀17年目のトーキョー・チャチャチャ、オリンピック・チャチャチャ!

これといったオチはありません。無論、特に感想もありませんっ。キッパリ。

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キアーラのCD出ます [演奏家]

もの凄く個人的な話題です。お知らせ。

ええ、カルミナQのマティアスとウェンディのお嬢さんキアーラ・エンデルレは、東京湾岸の方ならちょっとだけ知ってるかもしれないチェリストでありまする。って、トリトンのアウトリーチで中央区の小学校でカルミナQと一緒に弾いたりしてるのであります。ことによると、日本でのキアーラの演奏って、これだけかな。

なんだか「好々爺が友人の娘の成長を書いてるブログ」みたいな一連のキアーラ・シリーズはこちら。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-12-16
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2009-06-06
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2013-03-14
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2014-06-19

んでもって、そのキアーラがとうとう、というか、やっと、というか、CDを出します。こちら。
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https://www.musiques-suisses.ch/en/Ernest-Bloch/Kammermusikwerke-fuer-Violoncello/id/765
ブロッホの作品集で、スイスって、こういう自国の作曲家の録音や演奏に助成金が出るんですよねぇ。現代音楽は楽譜仕様やらJASRACやらにお金がかかるからたいへんになる日本とは真逆な状況でんなぁ。

ご覧のようにこのディスク、パパのマティアスとの共演も入っております。アンコールみたいにちょこっとだけですけど、ピアノ三重奏とかガッツリした曲はなかったのかなぁ。

蛇足ながら…キアーラの先生であるシュテファンの昨年夏の急病以来、カルミナQは実質的に必要最小限の活動を別のチェリストで行う以外は殆ど活動をしていないとのこと。キアーラも代打で弾いた、という話も伝わってきます。シュテファンの恢復を心から祈りつつ、キアーラの音楽を聴かせていただきましょう。

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ジョン・アダムス弦楽四重奏第2番についてなど [弦楽四重奏]

本日、今や関東地区に於ける弦楽四重奏の聖地となった横浜の東端、鶴見のサルビアホールにて、満員の聴衆を集め、ジョン・アダムスの弦楽四重奏曲第2番の日本初演が行われました。
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これが書かれたときのご報告。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2014-12-24
演奏したのは、言うまでも無く、アダムスとは関係の深いアタッカQでありまする。

数年前に発表されて、「ちょっと長いけど、それなりに良い曲じゃないか」と評価されている第1番に続くアダムス2曲目(といっても、弦楽四重奏のための舞曲集がありますが)の弦楽四重奏曲、その間に世界的なヒット作品となっていて、この先、常設弦楽四重奏団をオケの定期に招く際には定番になりそうな「弦楽四重奏と管弦楽のための《アブソリュート・ジェスト》」を挟んでの創作ということで
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2014-08-20
中身としてはどんなことになってるやら、楽しみであったわけでありまするが、ま、結果から言えば、直接は関係はない。とはいえ、内容的にはやっぱりがっつりとベートーヴェン繋がりでありました。アタッカQセカンドの徳永さんに拠れば「今、アダムス氏はベートーヴェン中毒なんです」とのこと。

2つの楽章から成る20分程の作品で、両楽章共にベートーヴェンのピアノ・ソナタ作品110のふたつのモチーフから始まり、変容していく、という音楽。第2楽章の終わりには《ディアベリ変奏曲》からの引用も聴こえるし、アタッカQの皆さんに拠れば、第九のモチーフじゃないかなぁ、なんて思える部分もある。
とはいえ、古典派、ロマン派的な意味での「変奏曲」ではありませんし、使われる引用箇所も誰でもそれと判るテーマそのものなどではありません。ですから、いくら待っても「♪てらら・とんとんとん・てららららぁ」なんてメロディは出て来ませんから、期待しないよーに。それっぽい音型が、ミニマムと言われても言い返しようのない繰り返しの中で、弦楽四重奏の響きにぐにゃぐにゃに歪んでいく、って音楽です。

なんせ楽譜が手元にあるわけでもない状態で練習を眺め、本番を聴いただけなので、果たして作品から来る印象なのか、アタッカの演奏がそういうものなのかなんとも判然としないところはあるのだけど、とても興味深かったのは「fやpで表記される音量の変化というより、強度の変化としか言いようが無い響きの変容」が極めて重要な要素になっていたこと。しばしば古典派のマスタークラスなどで、偉い先生が「ダイナミックスの質の違い」ということを盛んに仰ることがありますけど、ま、もの凄くモダンな意味だけど、同じような「音色感と一体となったダイナミックス」の多彩な変化がかなり本質的な部分になっているなあ、と思ったでありまする。

なお、昨年の初演以降、アタッカと並ぶアダムス作品の特別な解釈者と作曲者が認定しているセント・ローレンスQが演奏圏を独占していたそうですが、それが切れ、早速アタッカQも演奏を始め、今回は2回目だかの演奏だそうな。無論、アダムスからのレッスンというか、共同作業は行ったそうで、練習の時も、「この部分はもっともっと、って言ってたよねぇ」などという声がステージから漏れておりました。ちなみに、まだ楽譜は出版されておらず、セント・ローレンスQの初演からアタッカQの演奏の間でも随分と弄られた部分があrそうで、本日の日本初演はことによると将来的に出て来るであろう出版譜とはちょっと違う、改定途中の版だった可能性も高いです。その意味では、本日聴けた方は、貴重な経験をなさったかも。

この先、様々な団体が演奏するかどうか、ともかくリズムの把握がきちんとしていないとグズグズになるし、なんせ一度落ちると直すところが全くなさそうなむずかしー曲みたいなので、果たしてポピュラーになるやら。過激派アタッカじゃない演奏だとどんな風に聴こえるか、ちょっと想像がつかないなぁ。

[追記]

立ち話でのアダムスに関するネタをふたつ。

◆今、アダムス関連で最も話題の、秋にSFオペラで初演が予定されている新作《大西部の娘》ですが、既に無事に作曲は終わっているそうです。

◆アダムス現在鋭意作曲中なのは、なんと、いよいよピアノ協奏曲だそうな。「誰が初演するんだろーねぇ」というのが専らの話題でありました。

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ロシアは煙のなかに… [音楽業界]

ソウル・アーツセンターのオペラハウスで、韓国国立オペラの新演出《ボリス・ゴドゥノフ》を見物して参りました。
http://www.nationalopera.org/ENG/Pages/Perf/Detail/Detail.aspx?idPerf=500390&genreid=88&year=2016
どっかでやった舞台をまるごと買って来て「新演出」で御座い、と仰る初台のなんちゃって新演出とは違って、演出家がちゃんと最初から全部作る、ホントに、ってか、まともな「新演出」でありまする。一説に拠れば、東アジア地域での引っ越し公演ではないこの作品の「新演出」は、なんとまあ岡村&小澤&二期会の日本語での上演以来とか。へええええ、まあ、東京ではゲルギエフ様が自分の手兵連れていくつものヴァージョンでやってるので、なんかいつもやってるみたいな気がしていたけどなぁ。

考えてみれば、民衆のパワーで就任の経緯がアヤシいと噂される皇帝を追いやってしまう、という次の大統領選挙真っ最中のソウルで上演するには余りにもぴったりな作品なんだけど、今回の上演はクリュイタンスやカラヤンでお馴染みのリムスキー=コルサコフ版がベースだったようで、改定初演版の革命シーンで終わってこの先の政治混乱を予見させる、というもんではありませんでした。無論、こんな政治状況になる遙か昔から決まってた上演ですから、たまたま、ってことですけど、こういうたまたまがとっても意味ありげに見えるんですよねぇ。

ま、それはそれ。で、今回、日本政府や一部マスメディア、ネット上のアベちゃん勝手連サポーターさんなどがまるで明日にも戦争だ、という空気醸し出し毎度ながらの失政隠し、滅茶苦茶法案審議目眩ましをする真っ最中に関空からソウルまで1時間ちょっと飛んで来た最大の理由は、演出でありまする。無論、アジア最強の韓国オペラ合唱パワー、世界を席巻する男声歌手人の層の厚さ、ゲルギエフやふたりのペトレンコに続くロシアが生んだ新しいスターオペラ指揮者コチャノフスキー、などなど、いろいろな理由はあるわけだが、やっぱり演出のステファノ・ポーダをきっちり眺める最高のチャンスだということ。カーテンコールで、指揮者とボリスの間にいる長髪のにーちゃんです。
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このイタリア人の演出家さん、所謂、ドイツの小さな劇場で「オペルンヴェルト」のすれっからしというか、ちょっと斜に構えすぎたというか、余りにもマニアックというか、まあとてもじゃないが日本のオペラ批評では考えられないような厚いバックグラウンドと豊富な知識と溢れる教養を前提とした方々がなんのかんの喜んだり貶したりするところで育ってきてる演出家とはちょっと違う。なにせ、今回のプロダクションでも、「演出、装置、衣装、照明、振り付け」となってる。つまり、舞台上で起きることをほぼ全てひとりで仕切っていて、指揮したり歌ったり踊ったりしてないだけ、って方。今時、こういう総合的な仕事を出来る若手演出家って、どれくらいいるのかしら。基本的に「舞台の美しさ」から始まる美術から出て来たラテン系というと、ポネルみたいな在り方のモダン版と思ってもそう間違いないかも。ともかく、頭でっかちで自意識過剰(だけど、議論する側からすればもう猛烈に議論しやすくネタ満載で楽しい)、というのではありません。

今回の《ボリス》、なによりも印象的なのは、黒を基調としたスタイリッシュな衣装(よく眺めると、それぞれの政治的な立ち位置を反映した舞台装置と関連した衣装になってます)で重苦しく暗い装置のロシアと、白を基調とし奇妙なほど明るいポーランドとの対比。とりわけ、ロシアが舞台となる間はずーっと漂っている煙が、装置の一部となっている。このオペラ劇場の上下左右に動く巨大な舞台をしっかり利用し、いくつもの巨大な箱が上がったり降りたり、上手下手に水平移動したりする中でステージが展開するのだけど、ロシアのシーンは常にうっすらと、あるいははっきりと煙ってます。その煙にいろいろな照明が当てられることで、登場人物のモノローグやら対話の動きの中で舞台全体が赤くなったり青くなったり、或いは白くなったりする。

そんな意図が極めてはっきりしているのは、修道院の青年が偽ドミトリーになる決意をする場面。歴史書記家さんが秘密を語るのを聞く間、若い修道士は上から煙を吹き出しながら降りてきたデッカい球体を引っ張って前後に動かし、部屋を煙で満ちあふれさせていく。ロシアの混迷がどんどん深まっていくのを象徴するような動き。なるほどねぇ、と思わされるだけではなく、視覚的にもとっても綺麗なんですわ。ともかく、煙に光を当てるのがとっても巧みな舞台です。

たた、ひとつ問題があって、この演出、煙ったいんです。比喩ではなく、文字通り、煙ったい。舞台の奥の方や袖、それどころか客席でも、咳をする人が絶えずいる、ってことになる。なんせ、幕間に明るくなった客席を眺めると、なんとなく煙ってるんだもんさ。ほれ。
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ま、そんなこんな、ポロネーズのシーンを含めた舞踏の振り付け(太極拳みたいなモダン舞踏の動き)ともかも含め、演出家の意図が隅々まできっちり透徹した舞台で、「演出家がしっかり仕事をするとはどういうことか」を眺めたい方は必見です。どこかとの共同制作でもないようだし、映像も収録していた感じはないので、これだけのプロダクションがあと週末2回でお釈迦になってしまうなんて、ホントに勿体ない。演出家がその場にいないと維持再現は難しそうな舞台だし。

さて、明日明後日、午後3時からソウル・アーツセンターで上演がありますので、お暇な方もそうで無い方も、是非ともソウルまでいらっしゃいな。失礼ながら、某ドイツの著名劇場日本公演に500ユーロ払うより、遙かに意味あります。これホント。

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