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プロの仕事のバーンスタイン《ミサ》 [現代音楽]

NYCはアッパー・ウェストサイド、リンカーンセンター主催の「モストリー・モーツァルト・フェスティバル」2018年音目玉のひとつは、生誕100年が世界中で祝われるレナード・バーンスタイン《ミサ曲》の上演であります。
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http://www.lincolncenter.org/mostly-mozart-festival/show/bernstein-mass

この上演、どういうわけか昨年くらいから盛んに出版社のブーシー&ホークスが盛りあげてる「バーンスタイン生誕100年」イベントの一覧表の中に記されておらず、小生としましても某一般誌に昨年の大阪の井上道義プロデュース公演の記事を書いたときに「この作品、来年に向けてシカゴ、ロサンジェルス、ロンドン、パリなど世界中で上演されることにあっているが、何故か作曲者に所縁の深いボストン、ニューヨーク、そして初演されたワシントンDCでは上演は予定されていない」ってなことを記してしまった。そしたら、シンガポールでのマレー半島初演はあるは、この夏のニューヨークでの上演はあるわ…あさかブーシーさん、1年前に状況を把握していなかったとは思えないんだけど、どういうことなんでしょうねぇ。

てなわけで、遙々大平洋跨いでマンハッタンまでやって来た次第。

NYフィルだって、昨年から「バーンスタイン交響曲全曲演奏」とか、それなりにこの作曲家祭りに参加しているわけだが(メトが《キャンディード》やったり《クワイエット・プレイス》をやったりするかと思ったら、やりませんでしたねぇ。シティオペラが生きてたら《キャンディード》やったろうになぁ)、ヤープ新監督が喜んでやりそうなこの作品、何故かやらない。で、手を挙げたのは夏の風物詩、モストリー・モーツァルトでありました。
この音楽祭、長く「夏のシーズンオフにモーツァルトやって涼みましょ」ってもんだったわけだが、数年前に「リンカーン・センター・フェスティバル」という、シュトックハウゼン《光》の「木曜日」のミカエルの世界旅行とか、ヴァインベルクの《旅行者》とかをやってた今時のインな演劇なんぞをメインにした夏の芸術祭を取り込むような形になったようで、今年はなぜかニナガワ・マクベスなんかもやってます。

プロダクションも「リンカーンセンター・フェスティバル」のやり方を踏襲して、自分らでオリジナルを作るのではなく、どこかでやったものの引っ越し公演が基本。今回の《ミサ曲》は、その意味では「モストリー・モーツァルト」の色彩が強いもので、数ヶ月前にロスフィルがデュダメルで定期でやったプロダクションを持ってきて、オケはモストリー・モーツァルト管で、指揮は音楽祭の監督のルイス・ラングレー、というもの。会場はリンカーンセンターからセントラルパーク挟んだ反対側のアーモリーかと思ったら、エヴリー・フィッシャー・ホールあらためデヴィッド・ジェフィン・ホールって、NYPのホームグラウンドじゃあないかい。

そんなこんな、2日間ある公演の初日が先程終わり、大雨が降って一機に涼しくなったけど湿度は100%みたいなブロードウェイを歩いて戻ってきたわけでありまする。ま、明日のNYTに批評が出るでしょうから、それはそれであとで貼り付けるとして、ヴィーン、大阪、シンガポール、そしてニューヨークとこの作品の上演を眺めてまわったやくぺん先生としますれば、寝る前にひとこと言っておきましょうぞ。乱暴に言っちゃえば、今回の紐育版、極めてプロっぽい上演でありました。

コンツェルトハウスという空間での上演を真後ろから聴いたんで、なにやってるか判らんままに終わった感が強かったクリスチャン・ヤルヴィ&オーストリア放送響公演、井上道義という強烈な個性に演奏者がともかく引っかき回されてあれよあれよで終わった大阪公演、最良の意味でのアマチュアっぽさと司祭役(DGのヤニック録音でも同役をやってる方)及びフィリピン人キャストのミュージカル型演技が意外なほど説得力のある舞台を創り上げたシンガポール公演、と眺めてきたあと、「自分らが何をやっているか完璧に判っているプロがやる演奏とはこういうものだ」と見せつけるような、良くも悪くも取っても整理された、判りやすい演奏でありました。

歌手は司祭からストリートシンガー役までオペラ系歌唱で、マイクは一切使わない。オーケストラはニューヨーク地区の腕っこきのフリーランスを集めたモストリー・モーツアルト管で、なんとなんとコンサートマスターには、懐かしやボロメーオQ創設第2ヴァイオリンのルッジェロ・アリフランキーニが座ってるじゃあないかぁ!うぁぁ、お久しぶり、すっかりオッサンになったなぁ。
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指揮は音楽祭の監督のルイ・ラングレーで、なんせメトなんぞも振ってる堅実なオペラ指揮者さんでもあるわけで、デュダメルやらヤープのカリスマ性はないかもしれないが、オケは必要な部分をしっかり鳴らし、バランスも完璧。ドナ・ノビス・パーチェムの修羅場で長いクレッシェンドを作って音楽的に大きな盛り上がりを作り、その後の司祭の狂乱の場に繋げていく手腕は流石でありました。

このように水準が高いプロっぽい演奏で、フラワー・ジェネレーションから1970年代初頭を思わせる衣装やダンス、そしてなによりも「ミサ曲」とは何かが判った演奏家や聴衆…ってわけで、「ミサを執り行う司祭が、自分の行うミサという祭事行為に対しいろいろ考え、疑問に思ってることを、さらけ出す」という演劇という色彩が強くなる。そう、みんな悩んでる、僕だって司祭だから判ったような顔をしているけど、ホントは悩んでる。だから、そんな悩んでいる僕が居ると言うことでみんな、疑問に思って入ることは許して欲しい。君も僕も、みんな悩んでるんだよ…

無論、ベートーヴェンの《ミサ・ソレムニス》で悩んだことをナポレオン戦争からヴェトナム戦争に背景を変えてやっちゃった、ということは誰が聴いても判る。中身も、まるで《モーセとアロン》みたいなもんだ、というとこも誰にだって判る。ただ、バーンスタインがバーンスタインである所以は、黄金の羊の踊りで疲れて寝てる人々の前で無力感を表明して終わりになるのではなく、「みんなおかしいと思ってるんだ、だから、そう思ってない若い人達に託そうじゃないか」と宣言しちゃえるところ、なんだろーなぁ。

つまり、この上演、ひとつの時代を背景にした悩める司祭の物語としては、とても良く出来てた、ということです。

じゃ、それが21世紀の10年代も終わろうとする今のわしらになんなのか、といわれると…ま、それは眺めた人それぞれ、ということでありましょう。

今日の上演でいちばん面白かったのは、狂乱した司祭役が聖書をぴりびりにするシーンで、客席から拍手が揚がったこと。へええ、このシーンにこういう反応が出来るんだなぁ、ってちょっと吃驚したですね。

本日は3階最後列から、舞台全体を眺める形で俯瞰しておりました。
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明日の公演は、レッジェロに手を振れるくらいの平土間前の方ですので、どんな風に観えることやら。

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マンハッタン無宿再び

大平洋越え、アラスカの南で大陸に入り、エドモントン上空からミネソタ、ミルウォーキーの北でミシガン湖を跨ぎ、遙かデトロイトを眺めつつエリー湖を渡り、バッファローの南でNY州に入るや一気に南に舵を取り、ニューアーク空港上空を通り越してアトランティスの海に出て、マンハッタンをぐるりと巻くようにJRKに到着しました。なんか不思議な道だこと。
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昨年の11月以来、お嫁ちゃんは…2年ぶりくらいかしら。

今回は、商売でもなんでもないのだけどもう一種意地みたいになっちゃってるバーンスタイン《ミサ》の記念年唯一の作曲者本拠地での上演を眺めに来ただけ。ホント言えば、昨年夏、ラヴィニアでの「トーキョー・スタイル」ベートーヴェン・サイクルで黄金期メンバー最終公演となるパシフィカQのサイクルを聴くついでに、ちょっと寄る筈だったんだけど、シミンのご家族にご不幸があってサイクルが中止になり、渡米そのものを中止せざるをえなかった。そのリベンジで、お嫁ちゃんに足りなくなってるNYエナジーを補給に来た、ってのがホントかな。
更に言えば、そもそもこの時期、世界音楽教育者学会だかがジョージア(アメリカ合衆国の州にあらず)のバクーであって、お嫁はそっちに行くつもりだったのだけど、前回のグラスゴーの大会の内容がどうにもちょっとなぁ、北京とかせめてタシケントくらいの手近なところでやってくれるならまだしも、イスタンブールか北京で乗り換えていかねばならない面倒な場所なんで…と参加を止めてしまった。んで、それならマンハッタンいこーぜ、って、要は昨年来の結婚30年記念年シリーズのひとつになってしまったわけでありまする。

ってなわけで、毎度ながらの四半世紀の定宿に連絡したら、なんとまぁ、「その時期改装中でやってません、ゴメン」とのこと。「その代わり、お客様には私らの姉妹ホテルをご紹介しましょう」ってことで、地域としてはいつもと同じ、値段もまぁ、安全と安心は金で買うこの街のこと、これくらいは仕方ないだろーなー、という我が屋が使う宿としては最もお高いランクながら、マンハッタンでは部屋の広さや場所を考えればリーズナブルなところに泊まってる次第でありまする。

たしかに、丁度やら部屋のつくりなんぞは、いつもの定宿にいるのとまるっきり同じで気持ち悪いくらい。要は、アッパーウェストサイドのまともな夫婦ものが住むようなアパートの普通の調度、ってこと。問題は、定宿が基本はレジデンスも居る(というか、居た、でんな)アパートタイプなんだが、ここはホントのホテルで、キッチンや電子レンジどころか、冷蔵庫すらありませんっ!つまり、麦酒買って冷やしておいたり、テイクアウトの中華や近隣の世界一のスーパーのサラダを買ってきて、マンハッタンサイズですからひとりは胃がない夫婦とすれば3食分はあるもんを冷蔵庫に入れておいてチンして喰らう、ってことが出来ない。これ、食い物と宿が滅茶苦茶高いこの街とすると、そーとーに厳しい。果たしてこの先、どうなることやら。

この宿は、なにやらそれなりに有名なところで、特に1階のレストランは朝ご飯のエッグ・ベネディクトで有名で、定宿にいるときにわざわざ喰らいに来たこともあるくらい。だから、別に悪いわけじゃないけど、やっぱり気になっていつものところまで2ブロック南に下り、1ブロック西に歩き、ブロードウェイ越え、改装中という定宿を眺めてきたら、あらまぁ、店舗の回転が速いこの街、定宿にしたころからお世話になっていて、今や某在京オケの看板広報へと出世した女史がこの街に短期滞在していた頃に飯食った角のギリシャ料理店がとうとう潰れて、妙にお洒落なフレンチが入って数年頑張っていたのだが、無くなってしまって無難なイタリアンになってる。911数週間後に訪れた際にリンカーンセンター室内楽ソサエティの若手枠に入ったパシフィカQと延々話をした日本料理店も中華になってら。バス停前のデュランリードがなくなってしまってるし…

いつもの宿は、中は光が灯っていて、どうやら内装工事だけみたい。
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恐らく、遙かに眺めるトランプタワーに象徴されるアッパーウェストサイドの部屋代高騰に呼応し、お高くなるんだろうなぁ。もう10年も前、リーマンショック直前の経済加熱期にももの凄く高くなって、別の宿を探したこともあったっけ
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-12-04
またあの再来、マンハッタン無宿再び、ってことになりそうだけど…そもそも90年代、0年代に比べるとこの街に来る用事が圧倒的に減っていることを考えれば、そろそろ潮時ってことなのかもしれないなぁ。

世界最高のスーパーで$10ちょっとの牛が喰うような葉っぱだらけのステーキ・サラダを買い、冷蔵庫がないのでいちばん小さなオレンジジュースを買い、いつもと反対にブロードウェイを渡り、宿に戻ってくる。
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わずか数日のマンハッタン、爺婆初心者には「若い頃の街」になりつつあると感じつつ、長すぎる今日(いつから戯けた名前の休日になったんだ、ニホン国は?)はオシマイ。

故郷でもない街との関係って、いつかは疎遠になる知り合いに毛が生えた友人みたいなものなのか。葛飾住まいの永井荷風は、江戸川と国府台を眺めつつ、マンハッタンと対岸ニュージャージーの夏を懐かしく思うことがあったんだろーかなぁ。

凪の海 跨ぎ至って 夏無宿

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大川端盛夏模様 [新佃嶋界隈]

このところ、とんとなくなった「新佃嶋界隈」カテゴリー、久々の登場でありまするぅ。

北緯30度くらいの東アジアの常識から考えれば、本来はいちばん太陽が地面をガンガンに照らして暑くなるのは7月の半ばくらいな筈で、実際、北京だのハノイだのはその頃がいちばん暑いという。日本列島の夏が8月に入った来る世界大運動会の頃が最も暑くなるのは、梅雨という雲の固まりで太陽がカバーされているからで、それが6月に終わってしまえばもうどうなるかは狸や猿が考えたって判ること。

てなわけで、もう「暑い」と言ったらひとり50万ドン罰金徴収、とでも言いたくなるような灼熱の帝都、皆々様、いかがお過ごしでありましょうか。

やくぺん先生ったら、去る火曜日早朝に遙か人類最南端の文化都市から戻り、明日の夕方には遙か東海岸はビッグアップルに向けこの島を発つです。帝都湾岸地区滞在実質6日間の間に3本の原稿をやっつけねばならず、なんとか昨日にいちばん面倒な奴は初稿を入れたものの、当然ながら世間は連休らしく編集者さんからの返事はなし。そのまま次の作業に突っ込まねばならぬのだが、なんせテープ起こしが必要な作文で、頭をパーにしてテープ起こしするべぇかぁ、でも葛飾オフィスまで行くと往復だけで熱中症になりそうなんで、全館中で最も涼しいエレベーターに揺られ、灼熱の太陽に曝された帝都をシンゴジラくらいの視点から眺めるここ大川端縦長屋勉強部屋に来ても……まるっきり頭が働かぬ。

だから、無駄話ですっ。

やくぺん先生の現世の仮の姿が蟄居する縦長屋の足下、佃といえば、今年は3年に1度の例大祭であります。もう先月から1丁目のあちこちにはこんなものが張られ
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冬からゴロゴロと荷物引き摺って戻って来たら、町内全体が御神域と化す高貴なる1丁目と、下々の者が跋扈する新開地2丁目の境界には、こんなもんが建ち上がってる。
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やがて佃堀に埋められた柱が掘り返され、この絵の向こうにお祭りの幟が翻り、誰でも知ってる広重の「佃の祭り」風景となっていく。
https://blog.goo.ne.jp/krsw888757/e/7bad7e6bbadb76b7781e11fdb86cc497

同じ町内2丁目とはいえ、地べた民だった頃は福沢さん×5は吹っ飛んで行ったんだけど、諸処の事情で住吉さんとは微妙な関係で睦は勿論のこと町会にも加わっていない縦長屋住民とすれば、誠に以て失礼ながら、上から見下ろすだけの「隣の祭り」になってしまった。ま、これが今の「都心回帰」の実体でありますから、良いも悪いもないでありましょう。

この季節、1丁目のもうひとつの大イベントといえば、こちらは毎年開催される「佃の念仏踊り」であります。去る金曜日から本日日曜日まで開催され、独特の踊り方があり、音楽もテープなんぞではなく生演奏、って「地域無形文化財」っぽさ漂い、実際に日本財団なんぞからも助成金が出てたようなローカルながら妙に知られたイベントでありました。
https://centraltokyo-tourism.com/spot/detail/801000034
これが、おお、もう11年も前のお話。
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2007-07-15
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2007-07-10

ありました、なんて過去形にしてるのは、これが今年はちょっと面倒なことになっていた。こちら。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000130982.html
町会のことなど全く判らなくなってしまった今、ましてやお隣の町のこととなれば、実際に何がどうなってこんな面倒なことになってるか、全く判らない。遙か錦糸町にお住まいの方に「大変なことになってるんですねぇ」と言われて始めて知った次第。いやはや。

で、所謂「盆踊り」初日の午後5時頃、いつもならば既にもうテープ流してオバQ音頭、ってこともなかろうが、そんなもんが前座のように舞われる子ども盆踊りはダラダラと始まってる筈の頃、1丁目を通ってみれば、こんな様子。
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おいおい、なんだこりゃ、ホントにやるのかぁ。腕章巻いたメディアが走りまわり、まるで盆踊りなんてやってないみたいないつもの夏の夕方っぽくその辺にいる1丁目住民にマイクを向けている。んで、例大祭のスター八角神輿が収まる住吉さん境内ではなく、町神輿が鎮座する大川端のかつての佃の渡し乗り場の横、向こうはやくぺん先生宅御用達の佃煮の田中屋さんなんかがあり、雀が群れ、冬にはじょびおくんなんかも姿を見せる藪の前で、かしこみかしこみ申していらっしゃる人々が。
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なんなんねんっ?

君子危うきに近寄らずと、知らんぷりして通り抜け、その後も今に至るまで、外の熱中症になりそうな暑さを理由に佃堀辺りまでも出向いておらず、その後はどーなったか知りません。メディア報道に拠れば、こんなことになってるらしい。
https://mainichi.jp/articles/20180714/k00/00m/040/042000c
上の写真の1時間後くらいのようだが、「踊ろうとする住民はいなかった」ってキャプションはオソロシーでんなぁ。

さても、最終日の本日はどうなっていることやら。明日のNY便のチェックインを済ませたら、ちょっくら地べたに下りて、眺めてきましょうかいね。…でも、暑くてイヤだなぁ、外出るの。

[追記]

日が暮れても暑くて、とても部屋から出る気がせず、スイマセン、結局、最終日の夜にどうなってるか、眺めに行きませんでしたぁ。来月の別団体盆踊りレポートを待てっ!

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タイで国際ピアノコンクール開催…なんだけど [音楽業界]

ちょいとコンクール絡みの話を急にせねばならなくなり(話、ってか、相談に応える、ということなんだけど)、作文作業の真っ只中で泥縄勉強をしていたら、こんなもんが出てきました。
https://www.music.mahidol.ac.th/tipc/fileslink/5th_tipc_general_information.pdf

タイのバンコク郊外、数年前にオープンしたときに大植英次指揮東フィルの世界ツアーが最後を飾る演奏会を行った、Prince Mahidol Hall, College of Music, Mahidol University Salayaであります。期間は、この週末からの1週間です。今日になっても審査員団の名前がPDFファイルには入ってないのが、なんともノンビリしたところでありますが…

興味深いのは参加者で、なんと、日本人はひとりもいませんっ!
https://www.music.mahidol.ac.th/tipc/fileslink/preliminary_result.pdf
これはこれで、別の意味での「ジャパン・パシング」でんなぁ…うううん。まあ、藝大のコンクールがありますよぉ、という掲示板みたいなところでも、このコンクールの告知は見たことなかったと思うしなぁ。審査員の顔ぶれが判れば、いろんなことが判るんでしょうけど。

なんにせよ、昨日のデュダメル&ベルリンフィルといい、「日本」という隅っこの島国無しでアジアの音楽業界が動き出している感じがする今日この頃でありまする。

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ベルリンフィル秋のジャパン・パシング東アジア・ツアー [音楽業界]

火曜日の早朝に帝都湾岸に戻り、なんのかんので今、かなりギリギリで原稿やってます。で、スイマセン、全然、当電子壁新聞どころじゃありませんっ。

んで、ひとつ、ニュースのみ。昨年からちょろっと小出しにしていたネタです。ベルリンフィルのこの秋の東アジア演奏旅行がきっちり日程が出たとのこと。もうとっくに出ていたみたいなんだけど。ツァー日程と場所は、こちらのページの11月のところをご覧あれ。
https://www.berliner-philharmoniker.de/en/concerts/calendar/events/cat/tour/
しかし、話はズレちゃうけど、ペトレンコって今年のザルツからプロムスの夏の終わりの最初のツアーでフランツ・シュミットの第4交響曲持って歩くんですねぇ。いやぁ、スゴい時代になったなぁ。

んで、アジアのツアーは、噂通り、指揮者は何と、デュダメルですっ!で、メイン演目はマーラーとショスタコの両第5番なんだけど、それのオマケプロというか、前プロが、バーンスタインでありますっ!マーラーには《ディヴェルティメント》で、そっちはまだいいのだが、ショスタコの前プロは驚くなかれ、これをツアーに持ってくるかぁ、と驚嘆しまくるバーンスタインの交響曲第1番《エレミア》でありまするっ!

マーラーの日は、台北からデジタル・コンサートホールで生中継もあります。こちら。おお、日本語のページがあるじゃんけぇ。
https://www.digitalconcerthall.com/ja/concert/52081

言うまでもありませんが、日程をじっくりご覧になった方はお判りのように、タイで始まり台湾、中国本土とまわるツアー、日本には寄りません。ちなみに台北は、メディアがあれだけ煽ったけど結局昨年は実現しなかったペトレンコVSデュダメル新世代対決が1年の時差で、バイエルンVSベルリンでマーラー5番直接対決ということになったわけですな。

これだけのことが起きてる台湾やら中国本土、どうして日本語の音楽雑誌は取り上げてくれないんだろうなぁ…もう、ジャパン・パシングと自虐してるときじゃないでしょーにぃ。

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マダムYのサロン [演奏家]

ダウンのコートを羽織っていた南半球から毎度ながらに寝られない夜行便で早朝に東京湾岸に戻り、余りの湿気にぶっ倒れそうになり、ともかく帝都滞在6日間の間に3本の原稿の目安を付けねばならぬので、やっと帰って来たかと突っつきまわすブンチョウ君たちを振り切って、緑色の堅い実がどんどん大きくなり公道に巨大な日陰をつくりつつある柿の木聳える葛飾オフィスにプチお籠もり状態でありまする。

そもそも梅雨がなければいちばん暑いのは7月だという事実は他のアジア圏各国を眺めれば判ることながら、これだけ早く梅雨が明けてしまったトーキョー、どうなることやら。ともかく、灼熱の帝都を更に暑くするような勢いの演奏会に行って、戻って参りました。こちら。
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https://www.njp.or.jp/concerts/2792

楽団員がプロデュースするアンサンブルで室内楽定期を開催する、というのは世界中のオーケストラでは常識的なやり方ではありますが、何故か在京、というか、日本拠点のメイジャー・オーケストラでは案外とやられていない。まあ、オーケストラが自分でホールを持っていてそこにボールルームやらレクチャールームなど、やろうと思えば勝手に室内楽がやれる場所が空いてる、という環境にないのが最大の理由なんでしょうけど、ベルリンフィルでもゲヴァントハウス管でも、わざわざホール新設の際に室内楽用のヴェニュもちゃんと用意するくらい、オケが室内楽コンサートの主催者になるのは常識。

そんな中で、数少ない「楽団が主催するオケメンバーの室内楽」を、もうなんのかんの10シーズン以上続けてる(んでしょ?)NJPは、偉いというかなんというか。シリーズが始まった頃は当日プログラムを書かせていただいた身とすれば、ここまで続いているのはホントに嬉しいことでありまする。

このシリーズ、最初は試行錯誤もあり、団員さんもどのように考えて良いかちょっと戸惑っていた感じはあるけど、端から眺める限り、今やすっかり団員さんたちにとって「純粋に好きな音楽をやらせて貰える」場所になってきてるみたい。特にこのところのラインナップたるや、オーケストラの様々な楽器があるからこそやれる多彩な室内楽作品を並べ、見せ方も極めて多彩になってきて、敢えて言えば2018年現在で帝都でやられてるオーケストラの主催イベントとしては最も尖ったものになってる。なんせ前々回は「クァルテットと朗読」
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2018-05-21
前回は《月に憑かれたピエロ》メイン、そして今回は、上述のように弦楽四重奏中心にコントラバスとフルート、クラリネットもちょろっと加わる、というオケならではの編成の「灼熱」の作品だらけだわさぁ。あらためて演目を眺めると…

★ケンジ・バンチ:新月と夜明け (弦楽四重奏、フルート) Kenji Bunch: New Moon and Morning (flute and string quartet)

★フィリップ・グラス:弦楽四重奏曲第5番 Philip Glass: String Quartet No. 5

★オスバルド・ノエ・ゴリホフ:子守歌とドイナ:映画「耳に残るは君の歌声」の音楽から Osvaldo Noe Golijov: Lullaby and Doina, from the Film ‘The Man Who Cried’

★アントン・ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章 Anton Webern: Slow Movement for String Quartet

★ジョヴァンニ・ソッリマ:”イタリアのヴィアッジョ”より「フェデリコⅡ」(弦楽四重奏) Giovanni Sollima: FedericoⅡ from “Viaggio in Italy”(String Quartet)

それにアンコールはこちら。
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各曲の間には、プロデューサーのヴィオラ奏者Yさんの喋りが入るわけですが、これがもぉ、なんというか、今時の「アウトリーチのセミナーでしっかり喋り方などを勉強しました」って若い連中の手慣れたもんとの極北、今日の演奏会を主催しているマダムYが、楽譜捲りながらグダグダとどぐろを巻く、って感じの、最高にゆるううううぃもんで、これだけの曲を弾くんだから吞んでるはずはなかろーに、まるでもう喋りだけで小さな墨田トリフォニー小ホールはどっかの地下のキャバレーになったみたいで、おおおおい、俺はコロナビール、そっちはバーバーバーねぇ、ってオーダー出したくなる空気。ホントに酒出せればいいんだけど、なんせ何事も御上の規制が厳しいニッポン国、残念だなぁ。

演目や演奏、それに醸し出される空気(基本、マダムYの知り合いばかりが数百人、って感じ)は、完全に「サロン」ですわ。んで、やってることは、今時のヨーロッパの夏の室内楽音楽祭で、シリアスなベートーヴェン・チクルスとかの合間というか、後というかに、半分野外みたいなところで聴衆がワインやらビールやら煽りながら聴く「ジャズ」なんぞの演奏会とほぼ同じ。エベーネQなんぞが開いちゃった禁断の扉でもあるのだけど、あのマッタリした空気感がしっかり再現されてるのは(マダムYはそんなこと狙ってないだろうけど)、極東の島国では始めて経験しました。

マダムYのまったりトークに拠れば、最初は《像のババール》をやろうと思ったが流石に編成が大きすぎる。で、何の勢いか「ロックやろう」ってことになり、楽譜あれこれ探してるうちに、こういう演目になったとか。なるほどさもありなん、ってラインナップで、それも「演奏家」という発想からじゃないと出てこないような(「現代音楽」業界の発想とはちょっと違った)バンチとか、いやぁ、21世紀の弦楽器でちょっと娯楽風音楽やるって、こういう方向にいてるんだよねぇ、というカタログを眺めるようでありました。

これが€23くらいで聴けるんだから、トーキョーの音楽業界、ぜーんぜん悪くないじゃんっ!正に世界標準の灼熱の夜、マダムY、お疲れ様でした。

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メルボルン大会結果速報 [音楽業界]

メルボルン時間で日曜日午後3時過ぎに、2018Musica Vivaメルボルン国際室内楽コンクールのピアノ三重奏部門の本選が終了、結果が発表されました。

1位:トリオ・マーヴィン
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2位:トリオ・ガオン
3位:アマティス・ピアノ・トリオ

以上です。他のふたつの本選進出団体が超名曲、みんなが知ってて逆にいろんな文句も言い様のあるラヴェルを弾いたのに対し、優勝団体はなんとなんと、ヴァインベルクを弾きました!ヴァインベルクの弦楽四重奏全曲演奏に付き合い、台湾で行われてるサイクルも追いかけてる「ヴァインベルク偉くし隊」のやくぺん先生とすれば、これはこれでもうなんとも嬉しいことでありまするが…どうなんだろうなぁ。YouTubeにはいくつか上がってますので、ま、ご関心の向きはどうぞ。トリオ・カンジンスキー、なんて懐かしい連中です。まだ頑張ってやってるんだなぁ。大阪からもう何年になるんだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=nFYd2aA0bm4
まあねぇ、本選は「これまでに弾いてない曲ならなんでもいい」という規程があるのだから文句を言うことでは無いけど、それにしても、スゴい時代になったものだ。うん。

なお、総合グランプリは弦楽四重奏本選の後に発表になります。委嘱作品賞もまだ発表されておりません。続報を待てっ!

※※※

スイマセン、結果発表の後、部屋に戻り、終わった終わったで地元ビールとニュージーランド白ワイン、水餃子と饂飩でプチ打ち上げしてました。んで、弦楽四重奏及び総合優勝の結果です。弦楽四重奏部門は…

1位:ゴルドムンドQ
2位:エリオットQ
3位:カリストQ

ま、順当な結果であります。そーでしょーねぇ、という感じ。エリオットQは、まだいくつか修羅場を潜って貰いたいし。

んで、総合グランプリは、トリオ・マーヴィンでした。これもまあ、順当でしょう。弦楽四重奏は、過去にアマリリス、ノガと優勝団体を出している流れからすると、ぶっちゃけ、かなりキャラが被る団体の3連覇ということになり、「ドイツ系真面目団体が勝つメルボルン」という空気が出来ちゃわないといいんですけどねぇ。まあ、その前はパイゾだから、たまたまなんでしょうが。

ちなみに、聴衆賞はトリオがガオン。弦楽四重奏がバウムです。後者は、正直、ちょっと吃驚。次回以降、聴衆賞のやり方がかわるんじゃないかしら。

てなわけで、メルボルンの夜は更け行く。次は…何年後か情報が錯綜していて分かりませんっ。あたしゃ、火曜の朝には東京湾岸に戻ります。

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メルボルン大会本戦出場団体ひとくち紹介 [弦楽四重奏]

先程、セミファイナルが終わり(W杯サッカーではありませんっ!)、日曜午後の本選進出団体が決定した2018Musica Viva メルボルン国際室内楽コンクールでありまするっ。

本選進出団体は以下。

※ピアノ三重奏(日本時間午後2時より):ガオン、アマティス、マルヴィン

※弦楽四重奏(日本時間午後7時より):カリスト、ゴルドムンド、エリオット

放送はABCがどうやら映像ライブ配信もするようです。音はこちら。映像はどこじゃ?
http://www.abc.net.au/classic/features/micmc-2018-details/9898612

さても、だからなんだ、じゃ現地中継の意味もないんで、ブックマークやれってんじゃないが、ひとことだけ各団体についてのコメント。

★トリオ・ガオン:ヴィーンのアボやマイスル氏がやってるコンペ(かつてアルモニコも優勝したやつ)で勝ってきた、韓国人のヴァイオリンとピアノにオーストリアのチェロが加わったヴィーン拠点の団体。2020年代を席巻しそうな勢いがある韓国系ピアノ三重奏のトップランナーになる可能性あり。

★アマティス・トリオ:アムステルダム拠点で、中国系でフランツ・リスト・コンクールのファイナリストだかのもの凄く弾けるピアニストさんの実力がやたらと目立っている団体。

★トリオ・マルヴィン:ベルリン拠点の東欧系団体で、前述のふたつに比べると高い所でのバランスの良さがウリ。

★カリストQ:クリーヴランドで元クリーヴランドQの名教師ピーター・サラフ氏の元、ものすごくガッツリ勉強している若い連中。ラヴェルは冗談ではなくクリーヴランドQプチコピーだった。これは落とすわけにはいかないよねぇ、って感じ。来年のバンフに来そう。

★ゴルドムンドQ:言わずとしれた、ロンドンの雪辱戦!ベートーヴェンのラウンドで日本戦のベルギーみたいなこともあったが、ここまで順当に来た。

★エリオットQ:この数年のコンペ界での苦労人、悲願の優勝旗に立ち塞がったのは、やはりライバルのゴルドムントであったかぁ…

以上、日曜午後、お楽しみあれ。

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