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メンバー交代情報 [弦楽四重奏]

いっそのこと別カテゴリーを作るかと思うことも屡々の、恒例のメンバー交代情報であります。

★シンプリーQ
昨年くらいからいよいよ本格的なブレイクが始まったヴィーン在住の上海出身団体。2011年秋の北京大会の時点で結成数年くらいだったから、そろそろ10年くらいなんでしょうかねぇ。北京で特別賞を獲りヴィーンへの留学の道を付けた段階でチェロ君が脱離(その後、最後の八王子カサド・コンクールで優勝!)。ヴィーンのマイスル教室で学び、チェロを探し(藝大&ヴィーン音大合同のハイドン弦楽四重奏全曲録音にも参加してます)、2シーズン前に創設メンバーの第1ヴァイオリンとヴィオラ、それに中国人のお嬢さんとフィンランド人のチェロ、という形になってあちこちのコンクールに積極的に参加、結果を出し始めていた。要は、上海Qフォメーションですな。

んで、ちょっと前に、セカンドのお嬢さんが国に帰って仕事をすることになって新しくオーストリアのお嬢さんが加わる、というオフィシャルな発表がありました。
https://www.facebook.com/simplyquartet/
わ、最近は公式ページがFacebookなんですねぇ。中国では大丈夫なのか、このフォーマットで。

どうやら、国には戻らずにヴィーン拠点でやっていく腹を決めたのか。まあ、現実的な判断だとは思うけど。

★クァルテット・ベルリン・トウキョウ
こちらもドイツ拠点の団体。創設メンバーのヴィオラ嬢が抜け(フィンランドのオケにポストを得られたようです)、その後、今や日の出の勢いのヴィジョンQから移ってきた半分アジア系のヴィオラ君が入っていたのだが、このたび新たなヴィオラを迎えました。
https://www.quartetberlintokyo.com/
どうやらクスQのコールマンのお弟子さんのようで、うううん、どんどん世代は交代していくのぉ、婆さんや。

来年早々のふきのとうホールレジデンシィには新メンバーで参加です。

てなわけで、ま、メンバー交代というのは弦楽四重奏にとって健全な在り方なのである、と考えるべきでありましょう。それにしても、ますます「住むのはヨーロッパで稼ぐのはアジア」になってきてるなぁ、弦楽四重奏業界も。ううううん…

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【急告】日曜日にベンソン・プア氏のラウンドテーブル [音楽業界]

告知です。来る日曜日、上野じゃなくて北千住の方の藝大で、シンガポールのエスプラネード創設時の責任者にして前CEOベンソン・プア氏を囲むラウンドテーブルが開催されます。こちら。
http://ga.geidai.ac.jp/2018/10/12/benson1021/
あまり派手な告知はしていないそうですが、別に参加者を制限しようというわけでもないらしいので、ご関心の方は是非どうぞ、とお知らせする次第。

ベンソン氏がどういう方か、書き出せばもう大変なことになるわけだが、この記事あたりが適当かしら。
https://www.channelnewsasia.com/news/lifestyle/after-15-years-we-have-a-good-track-record-esplanade-s-benson-9293514
要は、文字通りの多文化国家として半世紀ちょっと前に誕生したシンガポールを、今のような形の日本以上の「先進国」にした第1世代の、文化行政担当のトップの方です。季節のない島国の都市国家で、文化というものは人間が生きていくうえで必要不可欠、上手くいけば国家のアイデンティティたりえるが、一歩間違えば国家を崩壊させる最大の要因にもなり得るものを扱い、それなりの成功や失敗を積み上げてきた方であります。アジア圏では知る人ぞ知るカリスマです。

実は、昨日、教室に招聘したお嫁ちゃまと一緒に飯食ったんですが、なんせ小さな社会、ディック・リーは同級生、メルヴィン・タンは先輩だけど彼は直ぐにイギリスにいっちゃった。そうそう、ヴァネッサ・メイのお母さんも同じ学校で、彼女は学生オーケストラでコンミスだった。え、私はクラリネットだよ(笑)…って調子。

そういう世代が、なんのかんのでマレー連邦から追い立てられるように独立した雑多な烏合の衆を取り纏め、今の形にまでもってきた。そして、ようやくこの8月に隠居となり、悠々自適の最初に遙々極東の老島国まで来て、経験を喋って下さるという。

文化とは何か、社会とは何か、はたまた「国家」とは何かを考えながらブンカをやってきた20余年の現場経験(その前はホテルマンだそうですっ!)は、今の迷走ニッポン文化政策を真面目に考えている方なら、是非とも質問したいことはいっぱいあるでしょ。是非どうぞ。
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日時:2018年10月21日(日) 14:00~16:30
会場:東京藝術大学 千住キャンパス第7ホール

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同業者達は世界を股にかける [売文稼業]

21世紀も10年代に入り、いろいろ世の中も変化しているなぁ、と感じさせられること多々ある中で、とりわけ目立つようになってきたことのひとつが、「なんか最近は世界のあちこちで顔を合わせる同業者が増えてきたてないかい」って実感であります。

情報鎖国、日本語という言葉の壁でがっちりガードされた我がニッポンのコンサートやオペラの会場ですら、おやまあぁ、というようなNon-Japaneseの同業者知り合いにばったり遇うのも珍しいことではなくなった。先頃も、オペラシティで指揮者コンクールのセッションが全部終わったところでロビーで主催者側の方と翌日の記者会見についていろいろ時間やら何やら確認していると、「ああ、いたんだ」と声をかけられた。だれじゃろ、と思ったら上海在住で上海フィルの広報の手伝いなんかもやってる若い中国の同業者君(中国の同業者氏には年寄りは全くおらず、みんな「若い」なんですけど)。一緒に連れてるのは知らないアングロ・サクソン系の若いプチ肥満君で、若い同業者はみんな中国一人っ子世代体型なのかぁ、と突っ込みたくなったけど、まあ、それはそれ。「彼はアメリカン・レコード・ガイドにこれを書く予定、やくぺん先生はO友?あそこ、編集長かわったでしょ…」って、探りを入れられてしまったし。

翌日の記者会見にも彼らは来ていて(どいつとは言わないけど、下の写真に2人とも写ってます。日本の大企業まともなサラリーマンっぽい格好じゃない奴ら、といえばバレちゃうかな)
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とはいえ流石天下の民音さんといえ、記者の側が外国語で尋ねてくることは想定外だったのか、意外にも静かにしてました。今や国際コンクールの記者会見、英語と北京語は対応出来るようにしておかないとマズい、ってことなのかしらね。

いやぁ、みんな、簡単に東京に来るようになったなぁ、LCC様々なのかしら、とか思ってたら、先程、当電子壁新聞でも何度かご紹介したモントリオールのロバート氏から連絡がありました。曰く、「台中の《リング》サイクルの記事で必要な情報なんだが、日本のオケで《リング》サイクルを2度通した団体って、あるのかい?」

うううん、初台も二期会も基本オケは毎回違う可能性があるし、最初の初台に最後だけ入ったN響はノモリはサイクルだけどその後もその前も舞台では通したことはないし、オケの企画として全部やった新日本フィル&朝比奈も、シティフィル&飯守(全部やったんだっけ?)も、その後にピットでやったという話はない。やってるとしたら二期会なんぞで60年代から飛び飛びにやってるなかで東フィルなんかが通しているかもしれないが…。いずれにせよ、《神々の黄昏》は朝比奈NJPが日本初演で直後にベルリンのトンネル・リングがあったわけで、上演回数が極めて限られてる作品だから、そこから調べるのが手っ取り早そうだなぁ。

ってなわけで、なんのかんのやり取りしてたら、「なんだ、おまえ、水曜日に台中にいたのか。私は1階の真ん中後ろ辺りにいたぞ!」とのこと。やくぺん先生は最上階の1列目真ん中だったんで、そりゃ判らんわさ。そういえばロバート氏とは、香港フィルの演奏会形式チクルスでも《ジークフリート》の日に会場でバッタリ会って、終演後に飯を喰いに行ったっけなぁ。

世間では「国際化が進み…」と気楽に言うけど、世界中の同業者と当たり前のように主要会場で顔を合わせるようになってくると、枕詞じゃないわなぁ、と思う今日この頃でありましたとさ。

日本の聴衆では、そう、ソウルで《パルシファル》があったとき、顔見知りにお会いしたっけ。ま、なんのことはない、「ヴァーグナー狂とシュトックハウゼン信者は世界のどこにでも行く」って別のネタになっちゃいますな。ちゃんちゃん。

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塩害と帝王襲来 [葛飾慕情]

新暦ながら神様がいない月も半ば、狂ったような暑さや南洋みたいな湿気が押し寄せる秋とは思えぬ日々も流石にもう終わったか、葛飾オフィスに聳える巨大柿の木もすっかり色付いて
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…と言いたいところだけど、確かに色付いてはいるし、もう一部はすっかりジュクジュクになって、街往く見知らぬ人から「これ、獲っても良いですか」と声をかけられる今日この頃なんだけどさ…今年はちょっとオカシイのでありまするよ。

ご存知のように、先月終わりくらいから次々と颱風が襲来し、関空を水没させかけた颱風は荒川放水路向こうの新開地葛飾も吹き荒れ、巨大柿の木も無残、こんなことになり
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それに続く、やくぺん先生があまちゃんワールドに行ってたときに襲った颱風は、もの凄い南風を吹き込んだ翌日には強烈な熱波。京成電車が塩害で終日全面ストップになるという新開地住民踏んだり蹴ったりのことになったようだけど、我が葛飾オフィスも塩害被害は他人事ではなく、町工場と十字路に面した南側の葉っはが次々と枯れてまだ落ちるには早いのに次々と落ち始め、南側の枝が剥き出しになってしまった。
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生き残った柿の実は低くなったとはいえ北緯35度の太陽をまともに浴びることになって、瞬く間に熟成が進む。ちょっと風が吹いたり、町工場に出入りするでかいトラックが下を通ったりすればボタボタと落ち、こんなん。
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蜂さんたちとすればこれはこれで有り難い状況なのかもしれませんが、いやいや、こりゃ困るわなぁ。

そして、普段の半分も残っていない柿の葉の向こうに、こいつらが出没するようになりました。
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そー、葛飾オフィス巨大柿の木上空の秋冬制空権を完全把握する帝王、ニッポン列島固有種、我らがヒヨちゃんでありますっ!

この甘くて美味しいもんはわしのもんじゃぎゃああああ、と雄叫びを挙げながら、複数ヒヨちゃんずがおっかけっこを始めてる。無論、枝にとまっての雄叫びも。
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誰を相手に叫んでるんじゃ、雀たちも向かいの変圧器にレストラン開業後のお家作りの下見を始めてるけど、あそこまでぎゃーぎゃーしなくてもいいのに。まだ可愛らしいけど中身は大阪のオバチャンたち真っ青のめじろん夫婦らは飛び回ってるわけでもないしさぁ。

ためにためた取材内容を作文に落とし込むプチお籠もり作文週間とあって、開け放った窓の外を眺めているばかりもいかないものの、それなりに気配を眺めていると、夕方くらいになってまた一騒ぎやっとる。あ、なるほど、あいつらか。
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そうそう、毎年のことながら、柿の実争奪戦の直接の敵は、むく軍団だったっけ。

なんせむく軍団といえば、正に「軍団」としか言いようがない数で勝負の人民解放軍的な集団。体躯からは想像出来ない、おまえはベクターノズルを備えてるのかと突っ込みたくなるような超優秀な運動性能を誇る空中機動の勇たるヒヨちゃんたちも、単体で突っ込むには多勢に無勢になる宿敵でありまする。

さあ、この先暫く、飛翔巧者ヒヨちゃんVS我が名はレギオンむく軍団の巨大柿の木上空制空権争奪戦、どうなることやら。

ってか、そんな手出しのしようが無い自然界の闘いよりも、今年は不作で風が強く実の形も悪いとはいえそれなりの数がある柿の実がどんどん熟れていくこの状況、どーしたもんか。11月下旬に短い渡欧から戻って来てからで大丈夫なのか。ううううん…

なんにせよ、今年もやります柿の実採り入れ大会。その節は皆々様、よろしくおねがいいたします。ホントに数が少ないんだけどねぇ、今年は。

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民音指揮者コンクール最大のリニューアルは… [音楽業界]

昨日、無事に第18回民音国際指揮者コンクール、もとい、東京国際音楽コンクール〈指揮〉、が終わりました。結果はこちらをご覧あれ。
https://www.conductingtokyo.org/18th/

1967年から3年毎にきっちり開催され続けているコンクールって、案外、世界にありそうでない。だいたい、途中でちょっと様子がおかしくなって年度が開いたりとかあるんだけど、そういうことが一切無くずーっつ続いている。ほれ。あ、前回が上がってないけど、ちゃんとやってます。
http://www.min-on.or.jp/activities/pdf/concour.pdf
国際的、とされる指揮者コンクールとしてはアジア圏で唯一だそうで(このジャンル、良く知らないんだが、民音さんはそう仰ってます。確かにオーケストラというインフラが前提のコンクールですからねぇ)、実際、上海の評論家君と、アメリカン・レコード・ガイドのライター氏が本日の記者会見にも来てました。なんでそういう奴らと神楽坂某専門誌の編集長が交代した話をするんねんっ!

やくぺん先生などにすれば、「民音コンクール」といえばもうひとつの勇たる「室内楽」というのがあったわけだが、90年代初めにアマネットQが優勝してその勢いでバンフに乗り込んで優勝した芝の郵便貯金ホールでやった大会を最後にそっちは終わってしまい、ハレーVSブロドスキー、イグレッグVSレニングラード、という伝説の闘いも今や殆ど誰も知ることのない歴史の彼方。ちなみにイグレッグQって、第1ヴァイオリンは現都響コンマス、第2ヴァイオリンは現群響コンミス、ヴィオラは元都響首席でソリスト、チェロはソリストの近衛家お孫さん、という今から思えばとんでもないメンツだったんだわなぁ。ふうう…

何故か民音さん、指揮者コンクールだけはきっちり続けて下さって、恐らくは世界で最も歴史ある国際指揮者コンクールのひとつとなっている。なんせ、ミュンヘンARDコンクールやジュネーヴ・コンクールには「指揮部門」ってないし。ブザンソンなんぞがよっぽど特殊と考えるべきなんでしょうねぇ。

で、そんなこんなの旧民音コンクール、一応商売もん原稿をやるのでまともなことは書けないのだけど、絶対表の原稿には書けない吃驚をふたつ、でもかなり重要なポイントを記しておきます。

ひとつめは、民音の方が誇らしげに仰ってた事実。曰く、「今回から私どものコンクールもジュネーブの国際音楽コンクール世界連盟に加盟いたしまして…」。
えええええ、これまで加盟してなかったんだぁ。いや、別に加盟してないからどうだってんじゃないし、ロンドン大会みたいに意図的に加盟していないところもあるわけで、それはそれでご自由になんだが、これだけちゃんとやってるところが入ってなかったのはどうしてなんじゃろうかね。日本では浜松も大阪も、神戸、はたまた仙台も加盟してるのに。考えられる理由は、20世紀には世界各地でかなりきちんとした予選をやっていて、そのやり方や本選の審査員の配分などが連名の規程とは合わないというところもありそう。

流石に今日のレセプションで「どうしてなんですか?」と関係者に尋ねるわけにはいかなかったけど、いずれ誰かにちゃんと質問しないとなぁ。

もうひとつの驚きは…些か「ううううん…」的な部分も大きいのだけど…今年からこの大会も企業スポンサーを取るようになったことです。無論、これまでもアサヒビールさんという大きなスポンサーはあったのだけど、今回からは他にもメイジャースポンサー、それに企業サポーターという名前のスポンサーが1ダースほどが加わりました。両者の違いはなんなのか、これは民音の方にお尋ねしたら、単純に額だとのこと。

勿論、スタッフが仰られる「企業の皆さんにこういうものに関心を持っていたきたい」というのは誠にもってそのとおりで、それはそれでよろしいことだし、ああいう場所で会社の名前が呼ばれて社長さんがお辞儀したり、表彰式の雛壇に並んだり、表彰状渡したりすることで「おおお、ブンカに貢献してるぞ、弊社も」と実感していただくことは極めて大事なことであります。
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それはそれで全て納得した上で、それでもやっぱり……うううん、民音さんまでが企業のスポンサー獲得競争に参戦してきたのかぁ、と思わざるを得ないのでありまする。はい。

とにもかくにも、そんな新機軸で変化し続ける民音指揮者コンクール、優勝者コンサートは5月に予定されておりますので、ご関心の方は情報に目配りしておいて下さいませ。

さて、明日からは作文週間じゃあ。すっかり熟れきった柿の実が落ちるのを眺めながらの、葛飾プチお籠もり。

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多摩の丘陵にイムジン河が響く晩 [音楽業界]

午前1時過ぎに羽田に戻り、なんのかんので2時半過ぎくらいに湾岸縦長屋に帰着。数時間ひっくり返るように眠ったらブンチョウ君たちが朝だ朝だ起きろ起きろと騒いでくれて、ぼーっとした半分ゾンビ頭海胆脳味噌で午後にちょっと人に会い、その足で遙か東京都下、多摩の丘陵に行って参りました。今は湾岸に戻る京王線の車内。ガラガラです。我が青春を過ごしたNear Tokioは多摩県の東隅っこの秘境調布も、駅が地下化されて随分と立派になったものだ。初めて納税をしたのはこの駅前の税務署だったなぁ。まだ売れてないヨーヨー・マを初めて聴いたのもここのグリーンホールだったっけ。

なんで糠味噌頭引っ張ってそんなところまで行ったかといえば、こちら。
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当私設電子壁新聞でも皆様に情報提供を御願いしたこの話の結論を眺めに行った次第。
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2018-08-31
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2018-09-07
で、当稿は、情報をいただいた皆様への領収書みたいなもんです。はい。

秋の釣瓶落しの夕暮れもすっかり宵闇となる頃に到着した京王多摩センター駅は、多摩の過疎化という話ばかりを聞く今日この頃、どんなに淋しい場所になっているのかと思いきや、なんとまぁ、駅前は学生や若い人で溢れてるし、駅の蕎麦屋に入ったらお家に帰る前のオッサンらが一杯引っかけていく場所になってて一見さんなんて座りゃしない。いやぁ、多摩市、うちのお嫁ちゃんの研究室になんとかならないかなんて話を持ってくる必要もない盛況じゃないのぉ、なにを心配しているのよ、市役所の皆さんは…なーんて思いながらダラダラとパルテノンへの参道を昇っていく。と、今や多摩地区インバウンドの重要な拠点になってるらしいサンリオ・ピューロランドへと左に曲がる角の先に至るや、一転して人影も疎らになり、夜半の神社に向かうような空気になって来たぞ。肝試し的な寂しさ、とは言わないけどさ。

やうやう到着した多摩の芸術神殿、正面左側のコンサートホールの方から入ると、なにやら人は列を成している。並ぶのは熟年ばかりで
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うううううん、昨日の若い人だらけ、それも無骨極まりないヴァーグナーだろうが顔を輝かせてるお嬢さん達がいっぱいの台中の状況を思い浮かべるに…良し悪しの問題ではなく、いやぁホント、ニッポン社会、歳を重ねてござるわなぁ、と思わざるを得ないのであーる。ふうううう…

アーツセンターそのものは金曜の晩とあってかいろんなイベントをやっているようで、それなりの人の賑わいがあることは確かでありますが、サンリオ帝国までの道の華やかさとは比ぶるもなく、良く言えば質実剛健、地に足が付いたローカル・アーツセンターの週末でありますな。そうこうするうちに開場となり、その頃には意外や意外、別の場所に行くのかと思ってた若い学生さんやら子供やらも我らが光州響のチケットもぎり場にやって来るではないの。へええええ。

結果として、客席はまあ、7割弱の入りくらいかしら。主催は韓国光州広域市&光州文化財団とオケそのものなんで、日本側でお手伝いをなさってるマネージャーさんよく頑張ったなぁ、と立ち話をするに、やはりなかなか手強い公演で実売チケット数はちょっとここでは言えないくらいだそうな。指揮者の音楽監督金洪才さんがなんでもいいから沢山の人に聴いてもらうことが第一と仰り、地域のアマオケや大学などにも随分と働きかけをしたり、大手新聞の東京版に招待を出したりしたそうな。その結果が、いかにも大手新聞の招待欄で楽しみにドボはち聴きに来てくれそうな熟年層と、いかにも学生オケとかブラバンやってそうな若い人達、それに明らかに光州市がお招きした関係者、というお祭りっぽい空気になってる。腕に「報道」という黄色いでっかい腕章巻いた、これまたいかにもあたしゃカメラマンは本職じゃないけど重たい一眼レフ持たされちゃって、って感がありありの半島からの記者さんらしきお嬢さんも走りまわってる。

そう、この空気、まるで4月のソウル・アーツセンターで開催される「オーケストラ・フェスティバル」、所謂「韓国の地方都市オーケストラ・シリーズ」の会場に漂うもんじゃあーりませんかっ!ほんと、一瞬、ここはソウルかと思ったぞ。無論、日本の人気ピアニストをソリストに迎えたラフマニノフという切り札もあるし、それ目当てのお客さんもいらっしゃるみたいだけどさ。

かくて賑々しく始まった光州市交響楽団手打ちの東京公演、まずは問題の冒頭の序曲、ってか交響詩、曲目解説執筆時に殆ど情報がなく、手探りだった作品でありますが…ひとことでいえば、ええええ、なんというか、そう、ショスタコーヴィチの交響曲11番とか12番、もっとぶっちゃけ、交響詩《10月革命》みたいなもんです。なんせ例の民衆歌がフルオーケストラでガッツリ鳴っちゃうわけで、もうそれだけで盛り上がれる人はガンガンに盛り上がれる。ある意味、期待通り、予想通り、思ったまんまの曲でありました。作曲者さんは、ホントに真摯にこの歌をモダナイズした、というもの。

以降、ラフマニノフ、ドヴォルザークと続き、良くも悪くも一昔前の半島オケのロシア・ローカルオケみたいな強烈に叩きつけるフォルテで盛り上がり、指揮者さんの知的なコントロールでじっくり押さえる部分はそれがどんどん内に込められてひたすら炸裂を待つ、って芸風のオケ。所謂「爆演」ってのともちょっと違うんだわなぁ。

なーんて音楽で、寝ちゃおうとしても頭ぶん殴られて起こされるような音楽が続く。んで、アンコールはどうするのかと思ったら、なんとなんと、フルオーケストラが奏でるは、大河多摩川ならぬ《イムジン河》でありました。一切の説明はなし、終演後に表に曲目が貼られたりもしない。そんなん、みんな知ってるでしょ、ってことなのかしらね。

今や伝説の人物となっている老マネージャーさんと、今の日本の人はどれくらいわかるのかしら、と話したら、昔の韓国のオーケストラはね…という長い話になりそうになって…

かくて、パルテノンの参道の彼方、相模原を背に秋の夜に浮かぶ神殿を後に、「♪イムジン河みずきよくぅ~」と口ずさみながら谷間の駅へと下って行く週末の多摩の夜は更け行く。
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イムジン河を口ずさみながら鴨緑江まで列車で行ける日は、やくぺん先生が生きている間に来るのであろーか。

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台中の《齋格飛》は観る価値ありっ! [音楽業界]

台北は桃園空港の古い第1ターミナルのいちばん隅っこ、LCC溜まりのゲート前におります。楽桃航空さんで深夜過ぎに羽田に戻る弾丸ツアー、台湾島の神無月はまるで湿っぽいヨーロッパの冬の初めみたいな肌寒さ。今時のピカピカなアジアの空港じゃなく、一昔前のシェレメチェボかブカレスト南か、って薄ら暗さ。

一昨年に台中の立派な国家歌劇院がオープンし、その開幕フェスティバルの目玉として《ラインの黄金》が上演され、ホントにサイクルになるのや信用できんなぁ、と思ってたら無事に昨年は《ヴァルキューレ》が上演された。以降、このパドリッサと仲間達の愉快で楽しい《リング》、どうやら国慶節の休みの時期に一作つづ上演を続けることになったらしい。偉いぞ、台中市、凄いぞ、台湾文化省!んで、3作目たる《ジークフリート》を見物に参った次第。
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今は香港やら韓国、シンガポールなんぞはネット上であっさり必要なチケットが購入出来るし、中国本土も手はないではないけれど、台湾のチケット購入は案外面倒。んで、台湾に深い関わりをお持ちになる某氏に御願いし、購入していただきました。貴重な切符でありまする。ありがとうございます。

さても、そんなこんなで10月10日は辛亥革命から何年になるか知らぬが、とにもかくにも目出度い国慶節の台湾島に朝っぱらに到着し、なんでか知らんが市内大渋滞の台中に到着したのは昼前。ちょっと宿でぶっ倒れ、午後5時開演に向けてオープン当初は随分と話題になった単なる四角形の箱なのに晴海トリトンみたいにくにゃくにゃして方向感覚失調症になりそうな劇場に至り、昨年とほぼ同じ最上階の1列目ほぼ真ん中の席に着く。これで日本円6700円くらい、どうも舞台から距離が遠くなるとお安くなるようで、結果として極めてお得な値段付けになってるなぁ。妙に物の分かった劇場ならいちばん高い席にされかねない場所だもん。

舞台そのものは、もう随分前からDVDやBlu-rayになっていてそこら中でいくらでも買える「メータのバレンシア《リング》」まんまです。実はこの演出、ルフトハンザの機内で《ヴァルキューレ》を途中まで眺めて、あああこれはもう結構だは、と放り出し、当然ながら他の作品は手を出していなかった。で、昨年、これは映像ではアホらしいけど実際の舞台ではそれなりに説得力があるじゃないの、と思い、また今年もノコノコ出かけてきたのでありまする。

実質的には「IMAXシアターみたいな映像の前で演技している」に近い背景のCG処理とか、既にバレンシアでの初演から10年にもなり、アップデートされてるのかと思って眺めてたんだが、オソロシーことにYouTubeにまるまるアップされてる映像を拾い見ると
https://www.youtube.com/watch?v=BaF8zdfS0q8
おやまぁ、実質同じじゃないですかぁ。いやぁ、これをちゃんと再現したのだから偉いなぁ、正に現代の総合芸術の頂点としての《リング》サイクルを若い人にガッツリ見せるなんて、凄いぞ台湾当局、偉いぞ台中市!

演出は、もうこの映像を眺めれば判るように、「見世物」に徹した大スペクタクルです。金の無いヨーロッパの中規模都市の劇場で気鋭の演出家さんが知恵を絞っていくらでもやりようのある無茶な作品から自分らなりに意味のある「解釈」やらをしてくれる頭がよさそーな、これが俺の解釈だ、さあ議論をしてくれ、って舞台の極北。予算ジャブジャブ、高さや本火をジャンジャン活用するサーカスのような動き、おまえらそれやっちゃうかと呆れる瞬間もあるド派手なCG映像(ヴァーグナーがつまらない最大の理由たる、延々と昔話を繰り返しているところなどは、過去の映像をしっかりと舞台の後ろに投影して「ここは回想シーン」ってしちゃいます)、抽象性と具体性がグチャグチャになったギャグぎりぎりの装置や衣装など、《リング》を知らないけどテレビゲームや今時の中国資本ハリウッド映画なんぞでなんとなく「わるきゅーれ」とか「英雄ジークフリードの大蛇退治」とか耳にしたことがあり、キャラクターの感じもなんとなく判ってるような判ってないような人々を相手に、ともかく判りやすく、面白く、5時間を過ごさせてあげますから木戸銭払って座ってなさい、って舞台であります。

そういうやり方だと、それこそヨーロッパ最前衛の演出家がやりたがるような「リングの政治と暴力」とか、「女性による救済というゲーテ直系の独逸浪漫派的世界観」とか、そんなめんどーなことはなーんにもなくなる。ぶっちゃけ、21世紀に入って出て来た世界2大「見世物系《リング》」の一方の雄で、もう一方の雄たるメトのルパージュ演出(鳴り物入りで始まったが余りの装置の大規模さに足を引っ張られてしまってるなぁ)よりも、遙かに成功していると言えましょう。
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特に、《ジークフリート》という作品の中心にある「父の形見の名剣を自ら鍛える英雄」とか「恐怖の大蛇との戦闘」とか「森の鳥の声が判るようになる奇跡」とか、極めて神話的な物語素がモロにまんま現れる部分では、この娯楽に割り切った見世物演出は極めて効果的なんですわ。いやぁ、手を叩いてゲラゲラ笑いながら見物すれば良い、ホントに誰でも判るハリウッド映画だわな。

だけど、その「誰でも判る」をきっちり見せるために、どれだけ大変な努力が成されねばならないか。これをここまで再現出来た台中の舞台スタッフと、現代舞踏やらのバックグラウンドは、文化都市として大いに誇るべきものでありましょーぞっ!

《ジークフリート》という作品、そういうギミック大活躍な娯楽大スペクタクルを経て、最後の最後にヴァーグナーが生涯で書いた最も凄い音楽に至るわけで、そこまで来ればもう演出も何もない、ぐぁんばれ歌手さん、負けるなオーケストラ、としか言いようがない。その部分に関しては…ううん、まあ、充分敢闘賞はさし上げられる水準になっていたと申せましょう。無論、初台やメト、バスチーユとは言わないまでもそれなりに巨大な空間にNSOが響かせる音楽は、リンデン・オパーくらいの小さな空間でバレンボイム御大がガンガン鳴らすようなもんとは違うのは当たり前でありまして、そこに文句を言っても仕方ない。3年目ともなれば、おおおヴァーグナーっぽいぞ、という響きがする瞬間も出て来るものでありまする。この作品、1幕最後とか、ポリリズムとまでは言わないけど、複数のパルスが同時進行していく部分がかなりあり、一昔前の神格化された巨匠ヴァーグナー指揮者では全く見えなかったそういう部分が昨今の若手棒振りさんの手にかかるとしっかり見えてくる傾向にあるわけだが(一昨年のメルボルンでのインキネンのサイクルでは、その辺りは極めて明快でした)、流石「台湾の若杉弘」たるリュウ・シャオチャ御大、よく頑張っていたと申せましょうぞ。

ま、ともかく、スカラの黒歴史たる《ボリウッド・タンホイザー》を筆頭にこれまで何度も酷い目に遇わされてきて、もうこいつらは信用せんとも思い始めていたパドリッサと愉快なバルセロナの仲間達、彼らのやってることがいちばん上手く作品のキャラクターとマッチしたのが《ジークフリート》だった、というのはとても納得。これならば、やくぺん先生が最も苦手とする《神々の黄昏》プロローグから1幕の無意味な程長い時間も、なんとか楽しませてくれるかもしれぬなぁ、と思わんでもない。

台中大劇院の《ジークフリート》、明日金曜日もあります。日曜日の最終公演はそこそこ席が埋まっているそうですが、その気になれば日本列島から弾丸旅行も出来ますよっ。なんか、来年の国慶節も台中で《諸神黄昏》見物になりそう…かなぁ。
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指揮のコンクールというもの [音楽業界]

昨日から、某専門誌の依頼で民音の指揮者コンクール取材に張り付いております。
http://www.conductingtokyo.org/

得意ジャンルではないどころか、そもそも独奏コンクールは殆ど取材などしたことなく、指揮なんぞに至ってはなんでコンクールなんぞあるのか理解してないとーしろー、某音楽雑誌新編集長とすれば、隠居宣言して暇そうにしていると思ったかのかなぁ。なんせコンクール取材というのは猛烈なタイム・コンシューミングJobで、時間対効果でいえばブラックもブラック、暗黒の墓穴のようなお仕事ですから。東京都の最低賃金の100分の1くらいになるんじゃいか、冗談じゃなく。

ま、とにもかくにも昨日午後からオペラシティのコンサートホールに座って、9人の若者が依田くんコンマスを務める東フィルの弦楽器たっぷり入ったでっかい2管編成の前に次々と立ち、ハイドンの《熊》ベーレンライター版スコアを手に、何故か第2楽章101小節から先を20分程の時間で「練習」する姿を眺めております。本日もこれから出かけて、また午後1時から5時前まで、もう9人が同じ事をするのを延々と見物する。指揮者さんはマイクを仕込まれていて、オケに出している指示はホール中に聞こえるようになってます。客席にテレビ画面も置いてあって、正面からの姿も見える。
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審査員の先生は、外山雄三審査委員長以下、尾高忠明、スダーン、ラザレフ御大、なぜかヴェルナー・ヒンク様やらドンスク・カン氏、それに舞台上管楽器の後ろに陣取る髙関&広上。業界からはザリン・メータ氏がアナウンスされていたのだけど、元サンフランシスコ響事務局長さんに交代になった。

驚くなかれ、昨日は1次予選初日頭から200人を越える聴衆がおり、なんのかんのハクジュなら満員じゃないか、というくらいにはなった。うううん、室内楽のコンクール初日頭なんて両手の数だけ聴衆がいれば万々歳なことを考えれば、やっぱり指揮という花形商売は関心も高いのかなぁ。いいなぁ、凄いなぁ。

中身に関しましては、一応は商売もんなんで書くわけにはいきませんけど、思ったよりも面白いです。昨日はロシアとかベラルーシとか、なぜか東欧系の奴らが何人もいて、ニッポンの音大でちゃんと指揮習って、「もう、あたし、体の全て使ってきっちりキュー出ししちゃいますからっ」って子なんかとはまるで「指揮」という作業でやろうとしていることが違うなぁ、これをどう比べろというのよ、としろーとには頭を抱えるような状況でありますが、ま、審査員の皆さんには慣れたもんなんでしょね、そんなこと。

ただ、ベルリンで学んでるなんて奴は明らかに今時のヨーロッパの「歴史的なバックグラウンドを前提にした再現」が体に入っちゃってて、響きを出来るだけ短くさせて響きが濁らないようにとさかんに指示したりしてるんだけど……これってさぁ、「じゃあ、弦楽器のプルト半分にしますから、後ろの人達、ご苦労様でしたぁ」ってなる筈だわなぁ、プロのお仕事なら。そういうことは許して貰えないみたいだし、ピッチも変えろとも言えないみたいだし。「時代楽器によるショパン・コンクール」なんてものまで始まってる昨今、どういうオケにでも対応出来ねばプロの指揮者としては困るという考えは納得しますけど、どうなんだろうなぁ、難しいこってす。

ま、日曜日の本選は自由曲なんで、ここでいきなりピッチ落として楽器減らしてヴィブラート減らさせてハイドンやったりする奴がいれば、それはそれで面白いんですけど…

なお、やくぺん先生の個人的な最大の関心は、本日の午後2時過ぎに登場するスンウォン・リー君でありますっ。韓国から23名の応募があったなか、唯一初台まで招聘された半島代表若手であります。だれじゃそいつ、とお思いでしょーが、そおおおお、なんのことはない、ノブスQの創設メンバーのヴィオラ君でありまするよっ!
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2017-12-13
昨年12月、涙涙のドヴォルザーク作品106で、韓国から出現した最初のメイジャーに行くかもしれない弦楽四重奏創設ヴィオラメンバーのポジションを去ることになったリー君、そのときから「奴は指揮者になるんだ」とは聞いていたんですが、まさかもうこんなに直ぐに、こんな場所で出会うとはねぇ。

コンクール取材でこういう勝手な思い入れのある参加者がいるのは良いことかどうか、なんとも言えないところなんですけど、個人的には「ぐぁんばれぇ!」としか言いようがない。本日、深夜過ぎに台中に出かける前のボロボロの頭をひっぱって初台まで行く気力も沸いてくるというものでありまする。

民音あらため東京国際指揮者コンクール、やくぺん先生が台中に弾丸《ジークフリート》見物に行ってる明日明後日は《弦楽のためのレクイエム》が課題曲となる2次予選。そして2日間、新日本フィルを前にファイナリストが練習を行い、日曜日が本選でありまする。お暇な方はどうぞ。

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