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公開ラウンドテーブル「博物館法改正を考える」速記メモほぼまんま…でした [指定管理者制度]

本日の記事は滅茶苦茶長いですよ。アートマネージメントに関心の無い方は、ここで読むのを止めて、窓の外の冬初めの空でも眺めることをお奨めします。

師走になってやっと銀杏も美しく紅葉した江戸の内をちょっと越えた本郷台、かねやすの向こうの某国立大学で、「なぜ文化は政策を必要とするのか-文化が拓く新たな公共性-」なる壮大な題で、日本文化政策学会第1回年次研究大会が開催されました。
遙か湾岸からチャリチャリと40分もかけて辿り着いた週末のキャンパスは、何を想ってか子供にピースサインをさせて有名な真っ赤な門の前で記念撮影をする親やら、紅葉を愛でてついでに谷に下って谷根千歩きをするリュックと帽子の熟年一行やら、初冬の淡い光に映える紅葉を写生するアマチュア画家さんの一群やら、まるっきり観光地。紫式部学会、なんて典雅なものから、考えただけで気分が滅入ってくる我らが文化政策学会まで、キャンパスのあっちこっちで学会やってる。それにしても子供連れが多いこと。

昨日土曜日は、遙か湾岸晴海のTANでNPO評価委員会の現場助手をやってる東大の学生君を筆頭に、千葉大、京大、跡見女子大などの大学院生さんたち5人が修論レベルの研究の中間発表をなさって、関係者同僚先生方がいろいろ突っ込む、という非公開セッションでありました。だから、内容も非公開とさせていただきます。なお、文化科学研究所の山田真一先生も日本の音楽業界の現状を纏める発表をなさるはずで、予稿集にはレジュメも掲載されてるんだけど、お風邪を召されてキャンセルになっちゃった。残念。音楽の特殊性を諸芸術業界の方々に知っていただく良いチャンスだったんだけどなぁ。

明けて本日日曜日は、朝っぱらから今回の研究会のハイライト、「緊急!公開ラウンドテーブル:博物館法改正を考える」が行われました。

当電子壁新聞をご覧の方々のうち、アートマネージメント業界の方や学生さんなんぞは常識として心得ていらっしゃるでしょうけど、どの程度の方が「博物館法改正騒動」なんてことが起きてるとご存じかな。
音楽ホールやクラシック音楽業界の方には、そもそも「博物館というものはちゃんと法律によって存在のあり方を規定されてる」なんてこともご存じない方は少なくないでしょう。ってか、殆どの日本国民が、博物館には法律があるなんて知らないだろーし、ましてや改訂を巡って博物館業界、学芸員らの世界では大騒ぎになってるなんぞ、ムシャラク政権の行方やら、ポーランド新政権誕生でEU統合がどうなるかやら、どっか遠くの国の内政問題と同じ程度の関心でしょーねぇ。小生だって、この研究会の最後にある法哲学の井上達夫先生による「公共性とは何か」というレクチャー(実はあたし、こういう空理空論が大好きなんです)が最大の関心で出かけてるわけですし。

さて、日本国には「博物館法」というものがあります。これ。ってか、これだけ。http://www.houko.com/00/01/S26/285.HTM
別に「帝国戦争博物館」とか「国立民俗博物館」とか、国家権力のプロパガンダとして建設されるミュージアムを管理する法案ではありません。ごく当たり前の公立ミュージアムのあり方を規定している法律です。で、その法律のお陰で、日本国の公立博物館美術館は、教育委員会が管轄する教育機関であって、それゆえに学芸員などがきっちり配置されるようになってるわけです。ほれ、音楽関係の皆様、ビックリしたでしょ。いいなぁ、スゴイなぁ、偉いなぁ、美術館は御上が制度としてその存在をきちんと守り、規定してくれてるんだなぁ、ってね。

戦後創られたこの法律、今回、教育基本法の改定に伴い、50年ぶりに改正されることになりました。次期通常国会への法案提出を目指してます(今の国会の情勢では、世の中がまるで関心なぞ持たないこんな法律の扱いは優先度が極めて低く、果たしてどうなるやらまるで判らないそうですけど)。その改正の中身を巡って、博物館美術館業界が大揺れに揺れている。有り体に言えば、美術館の学芸員の間で、自分らの身分やら立場がどうなるのか、極めて具体的な不安や心配を巻き起こしている。
本日日曜日午前中に成された議論は、文部科学省お役人の栗原祐司さんや改正法を創る現場に関わっている東京都歴史文化財団職員の佐々木秀彦さんも加え、東大の小林真理先生を司会者に、藝大の熊倉先生やら、富山大学の名物大熊敏之先生やら、讀賣新聞から高知の大学に行かれて関西のアートマネージメント学会では有名人の松本先生やら、総計8名のパネリストが参加し、わいのわいの喋ったわけです。

実は、議論というか、ラウンドテーブルの流れを毎度ながらの速記で叩き込んだメモがここにあります。正直、余りに専門的な技術論(学芸員養成は学部でいいのか大学院なのか、という議論など)の一部は、小生自身が速記を止めちゃった部分もあります。当壁新聞読者にはチンプンカンプンな文脈もあるでしょうけど、美術業界ではこういうことが問題になってるんだよ、となんとなく判って貰うために、2時間以上のラウンドテーブルの速記メモをほぼまんま貼り付けちゃいましょ。久しぶりの長大な記事です。こりゃーしょーもない議論だ、と思って途中で速記を止めちゃった発言者のものもありますので、内容はダンダラであります。悪しからず。ま、晴れた初冬の朝っぱらから、教会にも行かずにこんなことをやってた輩共がおった、ということ。では、お暇な方はどうぞお読みあれ。
なお、たかがウェブに挙がってるもんですから、文責を問うたりしないよーに。引用なんかしても、これが正しいなんて保証はどこにもないんですからね。速記メモにつき誤字脱字はご勘弁を。

ちなみに、メディアはだーれも来てませんでした。恐らくは当電子壁新聞に挙がる以上の内容は、一般に外に出ることはないと思います。だれか真面目な学生さんがもっと真面目に速記してて、それを自分のホームページにアップする、なんてことはあるかもしれませんけど。公開ラウンドテーブルなんで、ともかく公開しちゃいます。

小生の正直な感想を述べさせていただけば、ラウンドテーブルで小林先生が洩らされた意見と同じで、「いいなぁ美術館は、音楽ホールなんて職員からディレクターに至るまで御上による身分保障なんぞ皆無な無法地帯だもんなぁ、いいなぁ、いいなぁ、法改正で資格なんぞが騒動になるなんて、美術業界は夢みたいに恵まれた世界だなぁ…」。そこで思考停止。だって、自由資本主義がまるで20世紀前半のように跋扈する弱肉強食のクラシック音楽業界からすれば、余りにも恵まれた夢のような宇宙の議論なんだもん、アホみたいな感想から先なんて、頭が進まんです。

なお、指定管理者の問題は案外議論されず、議論した方は「法改正よりも指定管理者や平成の大合併の法が博物館改革の突破口になるのでは」と、とてもポジティブに取り上げようとしていました。なるほどねぇ、指定管理というのは、ちゃんと制度がある文化施設ではそういう風な取り上げ方になり得るのね。勉強になりました。

                       ◆大事な追記◆
只今、12月4日午後2時過ぎです。先程、ある方から、「公開ラウンドテーブルの速記をそのままアップしていることに、主催した方が難色を示されていらっしゃる」という連絡がありました。
小生としましては、全くの公開(研究会会員のみに開かれたものではなく、きちんと広報もされている無料イベント)の場での発言を記録し外に出すことに、なんら問題あると考えません。公開の場所で喋ることのプロのような方々が集まり、公開ラウンドテーブルをやってるのですから。
とはいえ、どの組織も守ってくれないフリーの売文業者としましては、そのようなご意見に対してはあっさり頭を下げざるを得ません。
というわけで、12月2日夕方から同4日2時過ぎまでの30数時間アップされていた「速記メモほぼまんま」部分は、全面的に削除いたします(この先に原稿用紙にして数十枚くらいの速記録がまんまアップされてました)。ちなみに、この間の当電子壁新聞ヒット数は三千数百程度ですから、ま、社会的影響力は皆無です。ご安心を。
なお、ラウンドテーブルの感想ならばかまわない、というような御意向があるそうですけど、自分の意見を商売にしている評論家さんならまだしも、小生の如き何の立場も影響力もないジャーナリストの意見など記したところでまるで無意味です。小生の意見などダラダラ記すつもりはありません。なんせ、ジャーナリストとは「間に入って伝える」ことしかすべきではない存在なわけですから、伝えるな、といわれれば命取られたも同然。

どうしてもご覧になりたい、という方は、小生の個人メールアドレスをどっかから探すか、『音楽年鑑』に掲載されております小生の住所まで連絡ください。個人的に一太郎ファイルをお送りいたします。個人的なやりとりなら問題はないのでしょうし。でも、ワードのファイルにはしませんよ、愛国者ですからね。わぁっはっはっは!
正直、わざわざそんなことをしなきゃならないような速記録じゃありませんけど。

この事態に対しては言いたいことはいっぱいあります(掲載してくれるな、と仰る方に怒る気もありません。そういう立場の方はそういうものなのか、と思うだけです)。ま、それはこんな場所じゃなく、厄偏庵で酒飲みながら、ライブでやりましょ。ご連絡をくださった皆様、有り難う御座いました。


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にあむ

はじめまして。
え~、こちらのブログには今着たばかりでして、指定管理者制度のカテゴリに91の数があって驚いています。(^^;)
私は博物館法に関しては、演劇人の平田オリザ氏の著作で存在を知りました。
平田氏はそこから「劇場法の制定を!」と続けているのですが、ググっても劇場法について考察しているのは演劇の人ばかりのようです。
こちらで、もしくはクラシック音楽関係者で劇場法について書いたり話したりしている人をご存知でしたら、教えてください。
よろしくお願いします。
by にあむ (2007-12-17 00:17) 

Yakupen

にあむさま、正直、「指定管理者制度」というカテゴリーは、一昨年の栗東騒動のときにその関連専用で出来たようなものなんです。現在は既に第2期をどこがどうなるか、どうするか、というところに話が移っていて、どっかにも書きましたが、以前にもましてこんな個人運営電子壁新聞でも情報の流れを慎重に眺めねばならない展開になっており、閑散としております。
話題がなくなったわけではなく、実際、数時間前まで某地方文化財団の方とビール飲みながら指定管理がらみの話をしてたんですけどねぇ。

もとい、で、本論の方ですが、正直、クラシック音楽関係者で「博物館法」に近いものをやれ、という議論をしている人は、ほぼ皆無です。基本的に「興行」から来てる世界ですから。水戸芸術館のように学芸員というタイトルを持った制作・企画職員を抱えているところもありますが、法律的な根拠はなにもなく、法律的な身分を作れという声も特にありません。内心、あったほうが良いに違いないとは思いつつ、いかんせん時代の流れに逆行し過ぎる…というところでしょう。余り参考にならずにスイマセン。ちょっと周囲に尋ねてみます。クラシック音楽には、平田オリザ氏に相当するプロバガンダが出来る方は、残念ながらおりません。

ホントにお役に立たずに、申し訳ないです。
by Yakupen (2007-12-17 00:43) 

にあむ

>>基本的に「興行」から来てる世界ですから。
「非常時には館長と興行主で責任ある行動をするから、消防法の収容人数規制からは自由にしてくれ!」
という気概は、生まれそうにありませんか。
私は、日本のクラシック楽壇は欧米を手本とするあまり近代化に失敗したと思っています。
動詞としての「音楽」と名詞としての「音楽」を並べ、その差異から見えてくる余剰価値からの収入確保が出来ていないと思うのです。
明治初期に滅亡した「見世物小屋」たちと同じ道を歩んでいそうで。
by にあむ (2007-12-17 20:42) 

Yakupen

にあむ様、小生は「音楽でどう稼ぐか」という議論は正直不得意ですし、あんまり関心もないので、真っ当な議論は出来ませんが…

クラシック音楽の世界では、「ホールのキャパシティを越えて聴衆が押しかけてしまう」などという状況は、まず、99%起きません。恐らくご存じだと思いますけど、聴衆からのチケット収入は、演奏会を成立させるために必要なお金の動きの中で、多くても2割から3割程度です。ですから、ちょっとやそっと聴衆を増やしたところで、そもそもが黒字にはならないんです。
つまり、今のクラシック音楽のマネージメントは、「興行」のシステムはとっくに成り立たなくなっています。
クラシック音楽ホールのディレクターの仕事の7割は金を集めることで、ある時期のデスクワークの殆どは助成団体に助成申請書を書くことになってます。あとは、ボードとの交渉。演奏家との交渉は、そうですねぇ、まあ全仕事の3割くらい、ってかんじだろうか。

いい加減なものいいだし、こんなことは小生じゃなくて本職の人がいくらでもいますから、そういう人が何かを言うべきなんでしょう。なんであれ、残念ながら、消防署に消防法を無視させろ、と申しても、それで増える聴衆は微々たるもんです。それよりも、そんなことをして、結果として次から消防署から施設使用許可を取り消されたりしたら、もうそこはホール業をやれなくなる。そのことに対して興行師さんは責任がとれないでしょ。それに、公立ホールの場合、やっぱり「人の命」の問題になりますからね。ホール管理側とすれば慎重にならざるを得ないでしょう。

なんかお応えになってないなぁ。
by Yakupen (2007-12-17 22:00) 

にあむ

>>残念ながら、消防署に消防法を無視させろ、と申しても、
平田オリザ氏の「劇場法を!」の趣旨は、
博物館(狭義の意味で博物館、美術館、動物園、水族館、植物園etc.)は自分たちの裁量で収容人数を決めることが出来る(フランスから「モナリザ」が初来日したときや上野動物園にパンダが来たときの混雑振りは今でも語り草になっているほどですし)、
しかし演劇(や演奏会)での収容人数は藝術と全く関係ない消防法によって規定されている。
博物館法自体には一長一短があるでしょうが、博物館は国から収容人数については「自分のことは自分で決めることが出来る、一人前に扱われている」ですが、劇場はそうではないから社会的に一人前に扱われるようにならないと、
だと思います。
また一般の企業では利益を挙げるためには基本的に2手段あって、
単価を上げて利益をあげる、しかしこれは現実問題難しく、もう一つの
単価は下げるけど数を増やす「薄利多売」というやり方がある、
しかしこれが収容人数の限界で頭打ちになる、
だから劇場法の制定を、という意見も書いてました。
ホールのキャパを超える人が集まる1%の演奏会のときは、受付開始から○分で完売したことを勲章のように語る風潮がありますが、実はその姿勢が商人から呆れられていることに気が付いているのでしょうか?売れるのに品物が用意できずに被る損。
理由があってのことだとはわかりますが、だからこそ余計に一般商業人が無関心になるわけで。

>>本職の人がいくらでもいますから、そういう人が何かを言うべきなんでしょう。
そういう人が一般人に全然話しかけないのが諸悪の根元なわけですが
親しい人にしか現実を話さない、意見を聞かない風潮ってのは、こうやってコメント欄を開放している社会や人とはかけ離れているなぁと残念でなりません。(笑)

それでは。
by にあむ (2007-12-17 23:53) 

Yakupen

にあむさま、まあねぇ、話すのが面倒だから、話をするためには前提となることが多すぎるから話さない、ということはあるんで、お許しくださいませ。

ええ、蛇足ながら、うちの嫁さんは、某公共ホールの音楽部門のディレクターとして平田オリザ氏と形の上では昨年度まで同僚でした。小生も嫁も、平田氏とは同じ学校で、学生時代から動向から知らんでもない人です。彼は、劇場という特殊な場所の問題を一般の方々に喋るために特別の努力をし、格別の才能を発揮してくれているわけで、非常にありがたい方であります。昨今、業界の最先端で言われ始めている「地方公共団体のクラシック離れ、演劇への接近」という現象の理由のひとつとして、平田氏の功績が小さくないかもしれません。

なんにせよ、クラシック音楽の世界では、小生のような所謂「業界系ジャーナリスト」という動き方をしている人物は、他に殆どおりません。評論家さんや商業系ライターさんはいっぱいいるんですけど。それどころか、音楽ジャーナリズムの中に「産業としてのクラシック音楽」の在り方についてディレクターや興行師さんとまともに話が出来る人は、ほんの数人しかいません。新聞の文化欄記者さんでも状況は似たようなものです。世間に現状を伝えたくても、これじゃあ物理的に伝わりようがない。無論、その理由は、世間がそんなことに関心がないからなんですけど。

にあむさんのように関心を持っていただける方がいることを、心強く思いますよ。ホントに。
by Yakupen (2007-12-18 00:24) 

研究室の窓

文化政策学会の博物館に関するラウンドテーブルの速記録が削除されたことにショックを受けています。学会直後に読み、たいへん良い記録だと思っていました。あまりに詳細なので自分のブログではラウンドテーブルの詳細紹介をやめ、こちらのブログを紹介していました。私はまだこの学会に入ったばかりの新米会員なので学会内で発言権がありませんが、一人でも多くの方に聞いてもらったほうが良い内容だったと思います。どのような理由で問題とされたのか、不思議でなりません。これからもご活躍を楽しみにしています。めげないで下さい。
by 研究室の窓 (2008-02-24 17:43) 

Yakupen

「研究室の窓」様、コメントありがとうございます。

小生としますればなんだか大昔の話なんですけど、今、思い返しても、なんだかよくわからない話でありました。小生がひとこと小林先生に「のっけますよ」と声をかけておけば良かったのかもしれませんが、おそらく、そんなことしたら「載せる前に見せなさい」ってことになって速報になるまい、まあ人前でどうどうとしゃべってることだからまんま掲載されても文句は言えまいし、などと気楽に思ったのがいけなかったようです。

ご推察の通り、小生はぜーんぜん反省してません。また、小林先生に対して怒ったりもしてません。ああ、そういう考えの方なんだ、と思う。で、じゃあ今後はこの方にはどういう対応をすべきかな、と考えるだけであります。なんせ権威も権力もないフリーランスを一応20年近くやってるわけですから、その辺りの世渡りに関してはご安心を。めげっこないです。←なにをえらそーに!

ゲリラ的のどっかに出してしまえ、ということでありますれば、いくらでもご協力いたしますよ。「裏でのみ流布する・・・」というものはいくらでも存在してますからね。
by Yakupen (2008-02-25 09:47) 

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