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若いクァルテット鑑賞禁映画 [弦楽四重奏]

日曜日のNYパブリックラジオが主催した「ベートーヴェン・マラソン」既にあちこちに情報が広がってしまったような事情で掲載誌がなくなってしまったんで、もうなんでも書いちゃって良いんだけど、なんかそういう気にもならぬので、その前に本日月曜日に見物してきた映画のことをお伝えしましょう。
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先週くらいから全米各地で、なのかは知らぬが、少なくとも舞台となったNYCでは公開となった映画。題名はそのものずばり、”A Late Quartet”です。“The”じゃないところがなかなか微妙なタイトルですな。だって、取り上げられてるのはベートーヴェンの作品131だけなんだから。ともかく、これがトレーラー。

映画の紹介ってのは案外難しいですねぇ。ストーリーを追いかける類いの映画じゃないけど、やっぱり「さても、どうなるのかしら」ってのが全部判っちゃうとお嫌な方もいらっしゃるでしょうし。

このトレーラーでも判る範囲内でつらつら述べるに…ジュリアード音楽院を卒業するソリスト級に弾けるヴァイオリン奏者が、ヴィオラの美人さんと、さらには13歳年上の(って映画のどっかで言ってたと思う)ジュリアードのファカリティだったチェロと、ジュリアードを出たらNECに行って作曲の勉強をしようと考えてたヴァイオリン君とを束ねて、フーガ弦楽四重奏団を結成(あんまりにもまんまで、ありそうでない名前だぞ)。四半世紀に渡り世界中で活動を続けていて、このシーズンも香港から上海にまわるツアーが入ったりしてた(ああ、日本には来ないんだなぁ、アメリカの団体だからギャラが高くて客が入らないしなぁ…)。で、マンハッタンのどっかにあるチェロさんの家に集まって、さあ作品131練習すべーか、と始めたら、チェロが最初から4つめの音、どのレッスンでも必ず先生がポイントとして指摘するアクセントの付いた音のところで弾けなくなっちゃう。いやぁ、俺も歳だなぁ、などとお医者さんにみてもらいにいくと、パーキンソンの症状が出ている。さあ、どーしよー…

ってわけで、ここからすったもんだが始まり、チェロはすっかり気弱になっちゃって俺はもう辞める、俺の後釜に直ぐ座れるのは同じくNYベースらしい高名なピアノトリオでチェロを弾いてる韓国人の女性しかいない、って言い出す。ファーストとヴィオラは、いやいやそう言わずにちょっと長い目で見ようよ、ってなる。セカンドはヴィオラさんと夫婦で(できちゃった婚みたい)、やっぱりジュリアードでヴァイオリンやってて、アタッカQの3人と弦楽四重奏を組んでて(わけじゃないが、あたしにはそうとしか見えないです)室内楽をチェロさんに、ヴァイオリンをファーストさんに習ってる娘がいるんだけど、そのオッサンがチェロが交代するならこれを機にフーガQをファーストとセカンドをローテーション制にしてくれと言い立てる。もうここまで聞いただけで、うちの奥さんやらうちの若いもんなら頭を抱えてしまうような状況なんだけど、さらに事はどんどんと拗れていって、チェロを取られそうなトリオのピアノさんは怒り出すわ、夫婦は喧嘩するわ、セカンド&ヴィオラ夫妻の娘までこの泥沼状態にとんでもないとこから参戦してくるわ、おいおいおいいくらなんでもそれはないだろー、って状況になってくるわけであります。幸いにもマネージャーが絡んでこないのは、流石にそこまでやるととてもこの時間じゃ収まらないからでしょうねぇ。

最後は、メトロポリタン美術館のミイラ展示室奥の講堂での定期演奏会で作品131を弾くのだけど…そこからは観てのお楽しみ。お話としては予定調和の娯楽映画じゃあないですから、「てなわけで無事に丸く収まって、今シーズンもフーガQは安泰であります」ってわけじゃあない。←これって、ネタバレかな。

ぶっちゃけ、音楽が好きだったり、芸術が好きだったり、この類いの「アーティストの生き方」を扱った話が好きな方には必見でしょう。そういえば、丸谷才一の最期の小説も似たような内容でしたよねぇ。

ただ、ここからは当電子壁新聞の読者限定の発言になりますが、20代の若い音楽家の方々で、弦楽四重奏というジャンルに夢を抱き、これから頑張ってやっていこーと燃え上がっている方は、観ない方が良いかも。30代から40代で常設の弦楽四重奏をやってる方は(そんな奴、何人いるんじゃい?)、あまりにも身につまされるというか、あああああああるあるあると思うか、おいおいいくらなんでもそれはないだろーと思うか。どーなんでしょうねぇ。

なお、我らがアタッカQがちゃんと役者として出てきます(小生は気付かなかったんですが、アタッカのファースト嬢もちゃんと出てるそうです)、他にも知った顔が出てくる。アタッカQの徳永さんのコメントはこちらをご覧あれ。
http://keikotokunaga.tumblr.com/post/34439366064
何を隠そう、映画を眺めた直後に、舞台となった辺りで出演者のアタッカQの皆さんとお茶して、なんのかんの雑談しました。裏話はいっぱいあって、例えば、ジュリアード音楽院の場面は学内セキュリティの都合で撮影許可が出ず、実際は別の某所で撮影されたとか、作品に特定のモデルがあるわけではないとか。とはいえ、監督さんはアタッカQが作品131を練習する様子を追いかけるドュメンターリーを6年前に撮り、以降、このネタを暖めていた人なので、観る人が観ればあああああと思うようなモデルはある。ってか、誰がどう見てもクリストファー・ウォーケンはダヴィッド・ソイヤーだもんね(アパートの位置まで殆ど同じじゃないかい)。あのピアニストさんは、ぶっちゃけ、プレスラー御大ってことだわなぁ。ま、そんな風に思いながらニヤニヤ楽しめる方は、それもありでしょ。

グァルネリQが定期をやってたメトロポリタン美術館や、フリック・コレクションが出てくるし、みんなどうもマンハッタンのアッパーイースト辺りに住んでてセントラルパークは舞台のひとつだし、NY観光映画としてはもう涙ちょちょ切れ。これをリンカーン・プラザのシネマで眺めたのは、「東のエデン」を豊洲のシネコンで眺めるのくらいに本場もんでんねん。

来春には日本での公開も決まっているそうです(監督さんからの直接の情報です)。かの久石じょー先生の「カルテット」は青春映画だったけど、こっちは大人の映画ですから、そのつもりでご覧あれ。なお、サントラはブレンターノQで、その理由は最後のシーンで判ります。

以上、まとまったことを書くとネタバレになりそうなんで、ダラダラとどーでもいいご紹介でした。

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